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思い出は形で残そう!/ お手軽3Dスキャンアプリ「Polycam」
今年になってnoteを始めてみようと思って何記事か上げてみたものの、実際のところ何を書いて良いのか、私の記事に価値があるのか、という疑問が払拭せずにいました。私は凄腕のエンジニアでもないし、ハッカー並みのプログラマーでもない。かといって新進気鋭のデザイナーでもないので、ある方面にかなり突っ込んだ記事は無理だなぁ、と。
それが今朝になって突然、私がいつも実践しているデジタルの活用方法を書きためていけば良いだけなのでは?と気づきました。さまざまなデジタルツール、機器は数あれど、それをどこまで使いこなせるか、というか使いこなす必要はなくて、こんな時にこんなツールがいいよ、というヒントを出せればいいかなと思います。
朝の気づきでした。
子供と作ったクリスマスケーキ
2019年のクリスマスは、子供たちと一緒にケーキを作りました。何日も前から、何を乗せようか、何味にしようかなど子供たちが話し合って作ったケーキ。
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できあがりはお店で売っているものとは比べ物にならないくらい見た目は悪いですが、せっかく一生懸命作ったケーキですから、写真以外にも記念に撮っておこうと、当時始めていたフォトグラメトリを使って残してみました。
それがこちら。
子供たちが力を合わせて作ったクリスマスケーキを、フォトグラメトリとARで残してみた。 #RealityCapture を使って3D化、Blenderを介して #vectary でUSDZフォーマットに書き出し。
— Kiyotaka Uchino (@k_uchino) December 25, 2019
新しい思い出の残し方だね。 pic.twitter.com/J61yBnFSyX
写真だけだと立体感、サイズなど分かりづらいですが、これなら回してみることができるし、何よりARを使って現実に重ね合わせられます。
フォトグラメトリ
では本題のフォトグラメトリです。複数枚の写真から、3Dのデータを作り上げる技術のことで、最近だと沖縄の首里城のデジタル復元や、パリのノートルダム寺院の復元などにも使われています。
技術的に詳しいことはここでは触れませんが、こちらの動画がわかりやすいというか、映像が綺麗です。
もっと簡単に作れないの?
と、ここまで書いたものの、まだまだ敷居が高い感じです。フォトグラメトリのソフトはありますが、そんなに簡単ではありません。そもそも英語ですし。一昨年くらいまでは、やはりまだマニアのものでした。
それがここ一年くらいで劇的に変わってきました。
その理由の一つがiPhoneにLiDARという機能が搭載されたこと。LiDARとは、赤外線を使って物体との距離を測定しながら立体をスキャンできるカメラのようなもの。実は自動運転にもこのLiDARの技術が不可欠です。
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またLiDARがあることで、暗いところでのピント合わせの精度も大きく向上していますし、あまりメジャーな機能ではないですが、今の携帯の性能アップに大きく貢献しています。
このLiDARを使うと、対象物の立体形状が認識でき空間を認識・記憶します。それにカメラで撮影した画像を貼り付ければ、3Dデータができるわけです。最初に話した複数の写真から3Dを作るというのとは別のアプローチになります。
※ただし、LiDARはiPhone 12 Pro、iPhone13 Pro、最近のiPad Proにしか搭載されていないので、多くの方はPhotoモードになると思います。
それらの技術を取り入れたアプリがここ一年でたくさん出てきているので、その中でお気に入りの「Polycam」を紹介してみたいと思います。
Polyscan
私のイチオシアプリです。
スキャンモードはLiDARとPhotoの2種類があります。Photoモードは上記の複数の写真から3Dを生成するタイプです。試した感じでは、大きな空間や部屋などはLiDAR、モノなどに対してはPhotoの方が精度が高そうです。
今回はこの本を積み重ねたものを使います。
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撮影の仕方(Photoモード)
まず、下のモードセレクターで「Photo」を選びます。
これでシャッターボタンを押せば撮影開始なのですが、Polycamのすごいところは、一度シャッターを押すと、iPhoneのジャイロセンサーが端末の角度の変化を感じ取って、その都度シャッターを押してくれるのです。
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なので、
1)iPhoneを持って被写体に向け
2)一度シャッターを押す
3)そのまま被写体の周りを一周
4)さらに角度を変えてあと数週
すれば、勝手に写真がたくさん撮れてしまいます。
全て撮り終えて完了を押すとこんな感じに。
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写真から3Dへの変換はクラウドでおこなうので、一度データをアップロードし待ちます。(写真の枚数にもよりますが大体30分〜1時間程度)
しばらくすると3Dができているのでダウンロード(自動でしてくれる)して画面で確認してできあがり!
アプリ内で指でクルクル回して回して見ることができます。
Polyscanが良い感じです。 pic.twitter.com/RT7Knzg1iq
— Kiyotaka Uchino (@k_uchino) February 2, 2022
自分のiPhoneやiCloudに3Dデータを保存
無料版だと、Polycamアプリ内のみで保存が可能ですが、有料版にすることで、さまざまなフォーマット、場所に保存ができます。
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3Dをやらない方にはあまり馴染みのないフォーマットばかりですが、videoを選ぶとこのようなビデオ形式でも書き出してくれますので、SNSで公開しやすいですね。
Polycamのビデオ pic.twitter.com/L89xMQHwrq
— Kiyotaka Uchino (@k_uchino) February 3, 2022
また、自分のアカウント内に領域ができるので、クラウドにアップすると共有がとてもしやすくなります
(下のリンクから実際に試せますよ)
そして、ARボタンを押せばARでも表示できるので、サイズ感も含めて表示したい場合は、現実世界に投影してもいいですね。
ようやくAppleのObject Captureを試してみたけど、今のところPolyscanに軍配かなぁ。(動画は実物とPolyscanで撮ったAR)
— Kiyotaka Uchino (@k_uchino) January 30, 2022
ただ、同じusdz形式だとかなり品質が落ちるので、結果は変わらなくなるという問題も。後々何かしらのアプリ制作につなげるならObject Captureも覚えて損はない。 pic.twitter.com/5fhkAZLlKz
残すものは人それぞれ
一緒に作った料理や学校で一生懸命作った工作などなど、形のあるものはたくさんありますから、このようなツールを使って記録として残してみてはいかがでしょう。
なお、LiDARを使うと、このような広いところも問題なく記録できます。かなり楽しいアプリですよ。