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現実的な人生

現実的である人生のことを考える。


最初に見えるのは、宙に舞うほこり。

窓からぼやけて差し込む気怠いクリーム色の太陽に、沈んでは浮かぶ微小サイズのほこり。極小の光子に弾かれ、不安げに漂う塵芥、その頼りないものどもを囲うのは時の止まった灰の部屋。

君は住んでいる
死に緩やかに至る
灰が積もる遺跡

君はそこで残りの人生を見つめて費やす。

現実的な人生とは、そういった類のものだ。言うなれば足にまとわりつく泥、それに気を取られ、既にその他すべてが泥になっているのにも気付けない。自分の体すらも泥と化していて、刻一刻と失わられていることに気づかない。

小さな遺跡で――それは君以外にとってはなんの価値もない――過去のものを撫でながら、歌が歌えない。目も見えず、足が気怠く、ああ、しかし撫でることしかできない……。

現実的な人生よ。
おお現実的な人生よ。

そこはしかし、何故か泣けるほど暖かくて落ち着くのだ。

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