俺とゆる体操との出会い ⑥
運動科学総合研究所から足が遠のきはしたが、高岡英夫の著作だけは
相変わらず目は通してはいた。
お金が続かなくなったとはいえ、運動科学の理論については
インターネット掲示板での批判はあるとはいえ、頭から「インチキ」とは
断言できなかったからだ。
極意を利用した高岡英夫氏の武技や、スポーツのパフォーマンスを映像を通してだが、目にしたことが有る。
自分が認識している武術の技とはかなり異質の次元だった。
自分が習っていた空手との比較になるのだが、一般的な武道の動きが
固体(ガチガチ)だとすると、彼の武技は液体(ゆるゆる)
「酔拳みたいなだなあ」とつぶやいた事を今でも覚えている。
合気については、はっきり言って素人の見解だが
あれが、仮に誰にでもできるとはいっても、あれだけの事が出来るのは自分の中では凄いと思わざるを得ない。
また、著書で
「武術で得た主要極意を他の種目に応用して、30日間のスキー練習で
全日本のデモンストレーターを負かした」
ということを述べていたが、このスキーも映像で拝見した。
自分は、親父に仕込んでもらっていたので
このスポーツの困難さが分かるのだが、映像で見たスキーも「異質」
正に「液体に近い物体が雪面を滑っている」という状態。
緩斜面とはいえ、高岡英夫氏が回転して滑っているのに、直滑降で滑っている
人を打ち負かすのを見ると、「これトリックとかインチキとかしようがないだろ」と思ってしまう。(直滑降で滑っているのが例え一般人であったとしてもである)
これらを踏まえ
「・・・確かにそういう面はあるんだけど・・・・・
・・でも、これって本当にインチキなんだろうか・・・・
一概にそうは言えない気がする」
という当時の自分の直感らしきものが、運動科学を完全に捨て去ることを
拒否していたのかもしれない。
また、声優を目指していた時に、ボイストレーニングを受けていたことが有った。
このボイストレーニングの理論の根幹となっているのが
ゆる体操と少し似通っていた部分があり、
余分な力を抜くこと
身体を緩ませること
が、声の調子を上げていくということを体感できていた。
「鍛える」とは逆の方面からのアプローチが
自分の能力も向上になることを経験したことはやはり大きい。
そして、高岡英夫の著作は、文体に大分変化が出てきた。
からだには希望がある。
この書籍発行時点での運動科学のメソッドを紹介した本だが、
文体も昔に比べ、語り口調を基本とした柔らかい文体になっており
突飛な表現もかなり押さえられたものに。
(高岡先生も、そういったインターネット掲示板の
批判というのも目を通され、普及するうえで改善した部分も有ったのかな)
そして、自分にとってエポック的だったのが、
著作『究極の身体』
これこそ運動科学の集大成!
人間の身体は本来どういう在り方なのか?そして、究極の身体とは何か?というテーマに対し体育学的な切り口もかなり入っていて、「身体への学問的追求」がこれでもか、という位に濃縮されていた内容だった。しかも、読みやすく、新しい知識が入ってくる・・・・そんな本中々ない。
この頃から、DS討論会で展開されていたような声も少しずつ
無くなっていたような気がする・・・そして、運動科学の根幹を成す
ゆる体操もこの頃から大きく変わっていくことになり、自分が再び
運動科学への関わり合いを深くすることになるのだが、この話は、また次回に。
追記)
※合気については、「合気という奇跡」
スキーについては、「ゆるスキー革命」
というDVDが有ります。「ゆるスキー革命」は
https://www.undoukagakusouken.co.jp/video.html
にもある通り、現在も一部書店にて購入は可能です。
他にも、宮本武蔵の武技の解説とか、ヒクソングレイシーの
極意を解説したビデオもあるんだけど、絶版になっているのが
惜しい、てか、個人的にはDVD化して欲しいと思っている。
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