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交流拠点運営で人を繋ぎ、ワーケーション企画でにぎわい創出へ〜株式会社BRIDGE the gap 代表取締役 青野雄介さんが語る〜(後編)
縁もゆかりもない宮崎県小林市に、地域おこし協力隊として家族とともに移住した青野雄介さん(現・株式会社BRIDGE the gap 代表取締役)に、小林市でのまちづくりプロジェクトについてお話を聞きました。どうして小林市に移住し、なぜ小林市で働こうと決めたかの背景については、以下の前編記事をお読みください。
生産者同士の繋ぎ役という立場で、小林の農業を盛り上げたいと起業を決意した青野さんですが、もう一つ思い描いていたプロジェクトがありました。商店街の中心市街地活性化です。後編では、青野さんが携わったプロジェクトとともに、小林市の交流拠点とワーケーションの取り組みについて紹介します。
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小林市では市内企業が携わる事業と連携したい、または小林市で新規事業に挑戦したい、もしくは小林市に事業移転して地方創生に関わりたいという企業を広く募集しています。
まちなか複合ビル「TENAMU」構想プロジェクトに参画
シャッター商店街の空き店舗活用を考える中心市街地活性化の取り組みは、全国の地方都市で取り組まれています。
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車社会になってロードサイドの大型店舗が立ち並び、品揃いも豊富で駐車場も広いため、お客さんが皆そっちの店舗へ行ってしまう。品揃えも限られて駐車場も少ない地域の商店街は、不利な立場となります。
シャッター商店街の原因は分かりやすいと言えば分かりやすい。だからこそ、商業ベースで大型店舗と戦うより、地域の商店街ならではの違う価値が作れないかと考えました。
そんなとき、小林市のある方が「商店街に市役所機能を移してしまえばいいんだよ」と雑談中に言ったのです。その場にいた人たちは首を傾げていたけれど、僕はその言葉が頭の中で引っ掛かって離れませんでした。
商業店舗ではない人の集め方は面白いなと思ったのです。ちょうど岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」についての記事を読んでおり、「消費を目的としない人を集める」というオガールのコンセプトが繋がり、それを小林でも実現できないかと考えました。
オガールプロジェクトとは:
岩手県紫波町の公民連携基本計画に記された理念に基づき、国の補助金に頼らない持続的に発展するまちを目指す取り組みとして、紫波中央駅前に公民連携複合施設を設立。町役場や図書館・体育館の他に、飲食店や販売店、クリニック、ホテル、サッカー場、スポーツジムなどさまざまなサービス業が入り、人口約3万300人の町に年間100万人が訪れるまちづくりを実現した。
最初に、空き店舗を借りて「まちライブラリー」の構想を考えました。市民からの寄贈で本を集めてライブラリーを作ることにより、消費を目的としない人を集め、カフェスペースやキッズスペースを設けることで、訪問者同士で交流できる場を作る計画でした。さあ始めよう!と準備を整えて小林市に相談しに行った矢先に、さらに大きな構想についての話があったのです。
JR小林駅の駅前通りの中心地が長いこと空き地になっており、そこに地域のまちづくり会社が複合ビルを建てる。ビルの2階に生涯学習の拠点施設を作る計画があり、そこの運営をやらないかというお話でした。構想していたことを10倍くらいの規模感で行えるお話でびっくりしましたが、受けさせていただくことになりました。そして、管轄の小林市教育委員会と一緒に「コミュニティの創出」をコンセプトに、まちライブラリー・木育キッズスペース、チャレンジ機能を持ったキッチンスペースのある「交流スペース」としてオープンしました。
そのビルの1階はスーパーマーケットで3階から5階は賃貸マンション、2階は交流スペースの他、オフィススペースとなっています。駅前の中心市街地という立地もあり、賃貸マンションはすぐに満室になったそうです。
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ビルの名称は「TENAMU(てなむ)ビル」。「てなむ」は小林市の西諸弁で「一緒に」という意味です。
移住者の交流拠点、起業の準備拠点「TENOSSE」も運営
コンセプト作りから携わった小林まちなか複合ビル「TENAMUビル」の2階にある交流スペースの運営を株式会社BRIDGE the gapで委託していますが、もう1つ、委託運営している街なかのスペースがあります。小林市コワーキングスペース 「TENOSSE」です。
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「TENAMUビル」の目の前の通りを挟んだ向かい側にあります。小林市が整備したコワーキングスペースで、設立の目的は「起業の支援拠点」と「移住する人のための交流拠点」です。
この計画を聞いた当初は、正直コワーキングスペースとしての需要だけでは難しいだろうと思いました。ただ、僕の移住を「いいなあ」と言ってうらやましがってくれた元同僚たちが、容易に働く拠点を変えられない状況を見て、もっと気軽に移住できるための仕組みがあれば良いなとずっと思っていて、移住機能とコワーキングスペース機能が合わさった施設であれば可能性があるのではないかと思ったのです。
小林市コワーキングスペース 「TENOSSE」では、移住者を含む人たちの起業の準備拠点として使ってもらっています。これまでも飲食店、IT系企業などが、街なかに店舗を構える前の起業準備拠点として利用してくれました。また、複合型施設「TENAMUビル」よりも静かな環境なので、作業に集中したい人などが簡易オフィスとして使っています。「TENOSSE」では社会人が学び、交流できる定期的なイベントもしています。
設立当初から続けているのは、クリエイティブスキルを身につけるための講座です。その他に、年度ごとにテーマを設けたイベントも実施しています。コロナでしばらくイベント開催ができない期間もありましたが、今は「成長軸と変化軸」の2軸に添った企画に力を入れています。
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競争が激しく、達成できなければすぐに奮い落とされてしまう切迫感のある都市部と小林市では、働く人の環境もモチベーションも異なります。「成長」目的だけのイベントでは参加する人が限定されてしまうのではないかと思いました。そこで、地元で働く人たちが求めていることが何かを考え、「変化」ではないかと仮説を立てたのです。
小林市のような地方都市におけるコミュニティは地縁に基づくものが多く、濃いつながりで居心地の良さや助け合いも多いですが、変化が少なく、時には窮屈に感じてしまう方もいるのではないかと思いました。そのような中、いつもと違う視点・いつもと違う人間関係を求めている人がいるのではないかと考えました。
この仮説を基にTENOSSEのイベント担当スタッフが実施したのが「週末ぼっちのためのサタデーナイト」企画。小林にUターンした人、移住してきた人をトークゲストに迎え、参加者も交え交流するトークイベントです。同じ業界やキャリアの繋がりではなく、違う世界の人たちとの繋がりを求めているのが分かりました。そして、連続的ではない「変化」を感じたいのだと思いました。今後も「変化」を軸にした企画を実施していく予定です。
里山サウナでワーケーション!新たなプロジェクトも始動
山に囲まれた須木地区に、里山レジャー施設「すきむらんど」があるのですが、そちらで目下、新しいワーケーション「サウナ × ワーケーション」のプログラム開発も進めています。コンビニもない秘境地にあるので、豊かな大自然を体感することができます。
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「すきむらんど」には「かじかの湯」があり、フィンランド式サウナを備えた温泉施設として地元のサウナ愛好家の間では親しまれています。源泉を使った水風呂や自然を見ながら外気浴ができる空間など、サウナ愛好家からとても評価が高く、根強いファンも多いです。この「かじかの湯」をサウナの聖地として、過疎地でもある「すきむらんど」の失われたにぎわいを復活させるためのプロジェクトを開始しました。
さらに、「すきむらんど」には茅葺屋根の古民家ホテル「かるかや」もあるので、宿泊型の「サウナ × ワーケーション」を考えています。秘境地での滞在中は仕事とサウナに集中し、須木地区で生産される米や山菜などのおいしい特産品を堪能してほしいです。プロジェクトに一緒に携わってくれる企業も募集しています。
小林市で手掛けている事業は多岐に渡っています。
地域商社として、地域活性化をするための3要素を「地域内循環」「地域外からの人材・外貨獲得」「発酵(地域の方々をつなげることで化学反応を起こす)」と定義しました。まだ産声を上げたばかりの事業もありますが、しっかり形にして全ての事業で成果を残せるようになったとき、小林市にプラスのインパクトを与えられる状況になると思っています。
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