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主体性_10:目はだまされやすい
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前回は、言葉を広める技術である『印刷』の歴史を見ました。
宗教的な信者たちは、教祖の言葉を『もっとたくさんの人に知ってほしい』と願うものです。
そのエネルギーが写経や写本といった文字の書写活動を生み、印刷技術を発展させました。
現代では、そこまで熱心な布教活動は稀ですが、実はSNSによく似た現象を見ることができます。
推しの活動をシェアしたり紹介したりするエネルギーは、内容こそ違うものの、『知ってほしい』という気持ちですよね。
いずれの活動も、自分が救われたことや『善かれ』と思う優しい気持ちがベースになっています。
さて、印刷によって『文字』は大量複製されるようになったものの、義務教育のない時代には字が読める人は限られていました。
そうした文字の読めない状態を『文盲』と呼びますが、知っていることを『明るい』、知らないことを『暗い』と表現するように、知恵は光に結びつけられます。
教育を広める啓蒙活動は、英語で『enlightenment』。
文字通り、明かり(light)をもたらす取り組みです。
あるいは、illustration /イラストレーションの接頭語である『ill』はillumination/電飾と同じく光に関係しています。
イラスト=図や絵は、文字がよくわからない人の理解を助け、光=知恵をもたらすものだったのです。
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現在の日本の文化がいかにしてつくられたかを、ルネサンス以来の大きな流れの中でひもときます。
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