エグゼクティブが "守れて当たり前" の約束を大切にする理由
「データ分析×人×ビジネス」の軸で記事を書いています。
私はリアルな情報のアップデートという行為を、不定期ではありますが行うようにしています。これは「自分の目でみて、聞いて、触れて実感する」ということなのですが、百聞は一見に如かずというやつですね。具体的には展示会や講演会みたいなところへ顔を出すみたいなことです(これ自体は大したことじゃありません)。また、そういうのをやりたくなる時期というのがあって、このタイミングではお声かけいただく外部ベンダーの方々との商談も積極的に参加するようにしています。 ※普段は外に出ず、誰とも会わずみたいなライフスタイルです。
実は2024年10月現在がまさにそのタイミングなのです。
こういったときに、いつもよりも多くの方々とお会いするのですが、改めて実感したことがあります。それはタイトルにあるよう「エグゼクティブが守れて当たり前の約束を大切にする理由」というやつです。
先に言ってしまうと、その理由とは「意外にも多くの人が約束を守れない」からです。より正確な表現をすると、「これくらいは仕方ないよな、、、」という小さな配慮ができる人は少ないということです。以前何かの本で以下のようなことが書かれていたのを思い出します。 ※正確な引用ではありません。
「例えばすれ違った人が物を落としたり、お年寄りが重い荷物をもって大変そうだったりするとき、多くの人が”気にする”と思います。しかし、そこで実際に声をかけたりできる人は本当に少ないものです。」
理屈として「こうすべきだ」というのは、ほとんどの人が理解できるものです。ただ、それを実践することは非常に難しい。日常的にも、ポテトチップスの食べすぎや良くないと分かっていても、ついつい食べてしまいます。毎日少しでもいいから歩いた方が健康にいいと分かっていても、例えば10分でも毎日続けるのは大変です。
このように本当に大切なことというのは、実は意外なほどシンプルで当たり前なことだったりします。でもそれをやるのが難しい。続けるとなると、よけいに難しいことでしょう。
さて話が脱線しすぎる前に、ビジネスにおける話をしましょう。
例えば、以下のようなシーンはよくあることです:
上司と部下とのやり取りで、二人で決めたアウトプットを「何日の何時に共有する」という約束を守れない。予定外のことが起きて、1時間ほど遅れてしまった。
お客様との商談時に「この資料は"すぐに"お送りしますね」と約束したが、2~3日後に渡すことになってしまった。社内で関連資料を集めるのに時間がかかってしまった。
打合せの時間に毎回1分くらい遅れて参加している。お客様先への訪問時に、ロビーでの集合がいつも最後であることが多い。
いずれも「簡単な約束を守っていない」ですね。もちろん、予想外の事態というのはありますし、これ自体がわるいと責めることは一概にできないと思います。しかし、こうしたことが「体感的にけっこうな頻度でやっている」と思われる人は要注意です。
実は上の2つ目の例は、つい最近、現実に起こったことです。ある方が資料をすぐにお送りしますと言ってくれて、それから3日以上経ってしまい、未だに送られてきていません。おそらく社内的な基準で「見込みが低い」から優先度を下げて対応されてしまったのでしょう。営業のステージ管理をする今どきの会社らしいといえばそれまでです。
しかしながら、いかなる理由(効率的に業務を進める仕組み)があろうと「一度、相手と約束したことを守らない」というのはどうでしょうか。これはビジネスとしての品格に欠ける行為で、私はこういった方と一緒に仕事をするのは難しいな、と思ってしまいます。 ※念のためですが、その方を非難するのではありません(それぞれに色々な事情があるので、一側面的に何かをいうのは失礼と承知しつつも例示させてもらっています)。
これは印象深い一例なのですが、これ以外にも「ん?」と違和感を感じるレベルの出来事が多いのですね。いずれも、誰でもできるような簡単な約束なのです。
そういった実経験を通して、改めて「やっぱりシンプルなことをちゃんとできる人が強い」ですし、自分もそうなれるように気を引き締めないとな、と痛感させられたわけです。これも自分以外のことで、直した方がいいことは簡単に指摘できるのですが、いざそれを自分自身がやろうとすると難しい。だから、こういうのは「出会う人それぞれが、常にお互いに学び合い」何だろうなと思います。
私は読書が好き(?)で、かなり多くの本を読む方です。そんなこともあって「エグゼクティブの作法」みたいな本も、それなりに読んできたと思います。どなたも共通して書かれているようなことが、今回の記事でも語っているような「小さいこと・シンプルなことを愚直にやる習慣がある」みたいなことです。商談時間ピッタシに集合したことを理由に役員になった、ような話も記憶にあります。たったそれだけで?と思うので、少しオーバーな表現をされていたのかもしれませんが(笑)
昨今「仕組み化」や「効率化」というのがどこでも主張されています。もちろん、これは重要なのですが、根っこの部分で「ビジネスの品格を高める」という所作を忘れてはならないと思うのです。これは換言すれば「人としての、相手への配慮」ではないでしょうか。挨拶1つとっても、挨拶だけで商談が成立するとかそんなことないですし、実際には挨拶なんてどうでもいいことかもしれません。それでも昔から「挨拶は大切だよ」と経験的に受け継がれてきたことなわけですから、何か説明できない意味があるのでしょう。
おそらくこういう類のものは「小さな積み重ねで長年かけて醸成されていく”何か”」なのだと思います。そして、そういうものは目に見えた単純効果として現れません。だから見えないものを信じるといいましょうか、基本的なことに目を向けるという姿勢(マインド)そのものが重要なのだと思います。