ふと手に取る一冊の数行(チャンドラー人物事典 各務三郎 編著 柏書房)

(かがみさぶろう さん と読みます。)

 なんとなく面白そうだと思ってどこかで買った古本。ハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーの小説の登場人物についての事典 。
おそらく500ぐらいの登場人物についての記載かあるので適当に開いたページより。

Sternwood,Carmen カーメン・スターンウッド
スターンウッド将軍の次女。ヴィヴィアンは姉。
「二十歳かそこいらで、背はひくく、きゃしゃだが、意志が顔にあらわれていた。薄青のスラックスがよく似合っている。まるで漂っているような歩き方。枯葉色(タウニー)のきれいな髪は、毛先を巻きこむ流行のページ・ボーイよりずっと短くカットされている。目は青灰色(ストレート・グレー)でわたしを見てもほとんど表情に出ない…」(『大いなる眠り』第1章)(1939年刊 )
 邸をたずねてきたマーロウ探偵をからかおうとして、軽くあしらわれた。凶暴な猫に似て道徳的に縛られない奔放な女性。ガイガーに賭博の借金千ドルを要求されていた。
 親指をしゃぶる癖がぬけない分裂タイプの精神異常者で、ヴィヴィアンの夫リーガンを射殺した。

もう一人物、適当に。

Mitchell,Larry ラリー・ミッチェル
エスメラルダ Esmeralda を本拠にするジゴロで恐喝者。「ゆりかごの赤ん坊だってゆするだろうな」(『プレイバック』17章 )(1958年刊)とクラレンドン四世は笑った。
 身長六フィート一インチ、体重百七十五ポンドのほっそりした体格。うぬぼれの強い顔。ユニオン駅でマーロウ探偵が見かけたときの服装は、ポートワイン色のローファー、茶と黄のチェックのシャツ、クリーム色のスポーツジャケット。飾りハンカチは黄色。ベティ・フィールドの過去を知り、脅迫しにかかった。また私立探偵ゴーブルと組んでブランドンをゆすろうとしたが失敗。墜落死する羽目になった。

設定がスゴいっ!


のに、本編では違和感を感じさせずに先を読ませる文章と構成の技術。少年期をイギリスで過ごしたという作者のウイット。は、さておき、

ハードボイルドという欲望と本能に限定された小説世界において、こういった描写の効果は大きいと感じました。

分かり易い。伝わり易い。

仕事で疲れているときは、そっちを選びます。






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