6/7(日)

近所のきつつきバーガーに行くことにした。
この店には就活に失敗した学生や、クビにされた人しか雇わないという営業方針があるため、店員はみなしょぼくれていて雑な接客をするらしい。

店に入ると、客は誰もおらず、天井に張り付いたプロペラの回転音しかしない。
店員はぼくの来店に気付かないのか、誰も出てこない。

カウンターでメニューを見ると、きつつきバーガーセット以外、マスキングテープで×にされている。
よく見ると、セットメニューのポテトも、ドリンクメニューも全て同じように×にされている。
噂以上の店員のやる気のなさにたじろぐが、とりあえず注文しようとする。
しかし、店員が来る気配が全くない。


カウンターの奥を覗こうとすると、カウンターに置いてあるボタンに気付いた。
なんだ、あったのかと思い押してみると、パリーン!と皿が割れる音がした。
タイミングがあまりにもよすぎて、ぼくが割ったのか不安になる。
恐る恐る、もう一度押すと、またバリーン!と割れた。

「おい!誰だよ!」と怒鳴り声がして、制服を着た頬のこけた男が出てきた。
「いや、あの、注文を…」とまごついていると、
頬こけ男は「チッ」と舌打ちして、腹を掻きながら「それどころじゃないから」と言って裏に戻った。


面食らうが、段々ムカついてくる。
いくら仕事がうまくいかないからって、店員としての役割を果たせよ。
怒りに任せて、ぼくはボタンを連打した。



バリバリバリバリバリバリーン!!!!!!

大量の皿が割れる音が響き渡るが、連打する指を止められない!

ポチポチポチポチポチポチ!!!

バリバリバリバリバリバリ!!!

ポチポチポチポチポチポチポチポチ!!!

バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!

ポチポチポチポチポチポチポチポチ!!!!

ぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅ

ポチポチポチ

ぷぅぷぅぷぅ

おなら?

困惑していると、奥の扉がバターンと勢いよく開いて、さっきの頬こけ男が出てきて

「もう皿ねーんだよ!帰れよ!」と怒鳴られた。

帰り道、曲がり角を馬車が猛スピードで出てきて轢かれそうになった。

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