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7/7(火)
玄関を出るとトロッコがあった。
触ってみると、ちゃんと線路が敷かれていて動く。
ぼくは、まぁ正直けっこう急いでいて、14時から始まる占い師の専門学校生の恒例行事である人生ゲーム大会を見るために、電卓の森会館に行かなければいけないのだ。
ぼくはその専門学校のOB兼ToE(テクニック・オブ・エジソン。あまりにも占いをズバズバ当てる人に与えられる肩書き。エジソンは偉い人なのでエジソンという名前が冠されている)なので行くっきゃない。
今から普通に走って急げばギリギリ間に合うのだが、もしかしたらショートカットできるかもしれないと自分に言い訳して、トロッコに飛び乗った。
うっひょ~!!レツゴー!
我慢できずに叫んでしまった。
トロッコはマンションの階段をくるくると1階まで降りていき外に出ると、行き先の真逆の方に進み始めた。
いきなりだめだった。
降りようとするが、早すぎて降りられない。
しかも気づけば車道の真ん中を走っている。
全然信号無視もするので、クラクションやドライバーのヤジが飛んでくる。
恥ずかしかったので、トロッコの中にしゃがんで無人を装う。
静かになってきたので、頭を上げてみると、めちゃくちゃ長いカラオケ屋の廊下を走っていた。
部屋から漏れ出る青臭い歌声や重低音が一瞬ずつ聞こえる。
すると、正面に部屋の扉が見えた。
ぶつかる、という寸前で扉が開き部屋の中でピタッと止まった。
すると、音楽が流れはじめ、画面に「トロッコ採点チャレンジ」という文字が。
くるりの「ワンダーフォーゲル」を歌ったら81.611点と出て、「トロッコチャレンジ失敗・・・」となった。
どうなるのかと思ってたら、天井からまばゆい光が差し込んできて、裸の天使たちが舞い降りてきた。
天使たちが、ほらこっち、みたいな感じで促してくるので「いや、死にたくないですよ」と言うと、は?みたいな顔をされた。
ムカついて、思いっきり言ってやろうとマイクを掴むと、天使たちが慌ててこっちに向かって来た。
お構い無しに「死にたくねえよ!」と叫ぶと、天使たちは獣の爪に裂かれたようにバラバラになって消えていった。
そんなんなると思ってなかったので、ショックだった。
帰ろうとすると、レジで呼び止められ、会計すると1万2000円と出た。
「なんでだよ!」と言うと、「天使殺し代です」と言われた。