コンテナ化する世界
最近、駐車場のような敷地に、コンテナが積みあがっている風景をよく見かけます。コンテナ型の貸倉庫のサービスが増えているようです。
「コンテナハウス」なんていうのもありますよね。カバー写真のように、コンテナを改造してドアや窓をつけたりして、内装をすれば立派な鉄骨造の家になります。
東日本大震災の際、仮設住宅として輸送用コンテナが活用され、注目されました。(但し、日本でコンテナハウスを建設する場合は、JIS鋼材を使用した建築専用コンテナを使用する必要があります。)
●データセンタもコンテナに
つい最近、クラウドサービスの Azure で急伸している Microsoft が、こんな発表をしていました。
Microsoft が 海上輸送用コンテナサイズのポータブルデータセンタを製作し、あらゆる場所に設置可能とするためSpaceXの通信衛星と接続
日本では、データセンタというと大きな建物の中にあるイメージですが、世界的には、コンテナの中に空調やサーバを設置した一体型のものが主流になりつつあります。サーバコンピュータのメーカ各社が、オールインワン型のコンテナデータセンタソリューションを提供しています。
Delta Power Solutions コンテナ型データセンタ
実は日本でも、データセンタ事業を成長産業とするため、コンテナ型データセンタの設置について、建築確認申請不要となる特例を認めています。ただ、日本人は立派な建物に入っていないと安心できないせいか、なかなか普及はしていないようですが。
●コンテナのメリットとデメリット
建物や設備をコンテナ型とするメリットは、以下が挙げられます。
① 建築工事としては、基礎を用意すればあとは積み上げて組み立てるだけなので、工事期間が短い。
② 工場で内部を作り込むため、品質が安定する。
③ 移設の際に輸送しやすい。
④ 同じ鉄骨造の建物と比較すると、低コストとなる。
一方、デメリットとしては以下が挙げられるでしょうか。
① 建設工事で、重量物の搬入や運搬が必要となる。
② 形状が画一的で、自由度が低い。
③ 運搬しやすいため、盗難対策が必要。
④ コンテナハウスの場合、木造よりは高コストとなる。
住宅用途の場合は、デメリットが大きな障壁になるかもしれませんが、ビジネス用途の場合は、工期の短縮が圧倒的な利点となるでしょう。特に蓄電池設備などは、ターンキーソリューションとしてコンテナ型のものが増えています。
SAFT Intersium Megawatt Energy Storage System
●地上にコンテナ群が広がる未来
考えてみれば、海上輸送のような環境に耐えられるわけですから、丈夫さで言えばこれに勝るものはなかなかありません。そして、もちろんちゃんと使うには基礎は必要ですが、一時的であれば、最悪地面を固めて直置きでも、コンテナ自身が形状を保持できるので使えます。
特に、今後大災害が増えてくる事を考えると、
被害を受けにくく、壊れても部分的に交換可能で、置けばすぐ使える
というコンテナ型のメリットが大きくなってくると考えられます。自動運転が普及すれば、移動型のコンテナオフィスやコンテナ店舗も増えてくるでしょう。
そう考えると、数十年先の未来像は、都市部には高層ビルが集中し、それ以外の地域はコンテナが立ち並ぶような風景になるのかもしれません。