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本名で呼ぶということ

 子供たちがみているドラえもんのアニメを見ていて気づいたのだが、しずかちゃんは、ジャイアンを常に「たけしさん」と呼ぶ(*)。もちろん、ジャイアンの本名が剛田武(ごうだたけし)であることによる。   

(*編集部注:時期により、「ジャイアン(さん)」と呼ぶこともあったらしい)   

 しずかちゃんのキャラクター設定から推定するに、この本名で呼ぶことは、なんらかの意味で望ましいこととして描写されているものと思われる。

 そういえば、あだ名でなく本名で呼ぶことを話題にしたドラマもあった。TBSの「愛という名の下に」である。ハマショーの「♪ウォウオウオウウォオー」を覚えている方も多かろう。このドラマでは、「チョロ」という不本意なあだ名の付いている倉田篤(中野英雄)が自殺する直前に、好きだった藤木貴子(鈴木保奈美)に会いに行って、「いつも本名で呼んでくれたよね」という趣旨の発言をしている。

 あだ名で呼ばれることを嫌がっている人間にとっては、本名で呼んでくれることに特別な意味があるようだ。

 本名といえば、西洋が舞台のアニメでも効果的に使われている例があった。ひとつは、アルプスの少女ハイジの中で、ロッテンマイヤーさんがハイジの無作法ぶりを叱るときに張り上げる「アーデルハイド!」であり、もうひとつは、キャンディキャンディの中で、出自を思い知らせられるシーンでキャンディがその名を呼ばれる「キャンディス・ホワイト・アードレー」である。

 どうやら西洋には、不幸な少女は本名を呼ばれると身を正さなくてはならないというルールがあるようだ。

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