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【コロナウイルス感染症と漢方医学(傷寒論)】

2022年8月上旬
私の身近なところでも次々にコロナ感染者が増えている。

発熱や喉の痛み、咳などの風邪の症状だけで治る人が多いが、中には重症化する知人や後遺症で生活に支障をきたしている友人もいる。

SNSやブログでも後遺症に悩んでいる人が多く見受けられる。

後遺症は、重度の倦怠感、息苦しさ、頭痛、味覚障害、臭覚障害、関節痛、筋力低下、鬱、睡眠障害、発疹、浮腫、胃痛、胸背部痛、胸焼け、心痛、下痢、脱毛、帯状疱疹、顔面麻痺、四肢麻痺、記憶障害、集中力低下、認知症、視力低下、緑内障など様々だ。

コロナ感染症は、感染率と重症化率と後遺症を考えただけでも"ただの風邪"とは言えない。

高齢者の死亡率は平均インフルエンザの36倍で、感染率はインフルエンザの約10倍である。

2022/9/2現在、コロナによる月間死亡者数はインフルエンザの年間死亡者数ほどにもなった。

政府は経済(カネ)を回す為と財政出動を極力抑える無意味なプライマリーバランスの為にコロナ対策を放棄している。

それでも実質的な対策を打たない政府は弱者への切り捨てを始めていると認識する必要がある。

私たちのいのちは平等であり一人一人のいのちの尊厳を守らなければならない。
そうなって初めて民主主義は機能する。
そうでなければ、それは独裁的全体主義や民主主義の姿を装った権威主義でしかない。

強者を優勢的に扱い、少数者を切り捨てる社会は、その過敏なセンサーを失い社会そのものを破壊へと導いていく。


今から2000年ほど前に中国後漢の時代に著された「傷寒論(しょうかんろん)」という漢方の古典書がある。

傷寒論は急性病(風邪)の治療を経過別に論じたもので、漢方医学の基礎になっている。

経過別とは、風邪の初期症状からコロナでいう後遺症など、風邪から始まる諸々の病の治療をいのちの状態に合わせて論じてある事。

傷寒論の著者である張仲景は序文にこう著している。(抜粋要約)

「現代の文武を修学している人々は、医術の研究に心をそそがない。本来ならば、医術を極めて、上は君主や両親の病を治療し、下は貧しい人々や賤しい人々の難儀を救い、そしてまた、このかたわら、自分自身の健康を保って長寿を全うすべきであるが、そのようにつとめないのは何故であろう。不思議なことである。」

「今の世の人はただもっぱらに栄華と権勢とを互いに競い合っておいまわし、権豪を羨望して休むことも知らずに働き、ただ名利を得んとひたすらにつとめている。
外側だけを飾り、中身を蔑ろなし、外は華やかだが内はやつらせている。
こんな事では健康を保って、長寿を続けることはできないのだ。これは皮がないのに毛がつくことを望むようなもので主客本末を転倒している。」

「病気になって変わり果てた姿となってから身内が集まりわいわいと泣きわめく。いたましい事である。世の中の人は皆名利に迷って、自分というものがどんなものであるか悟らない。自分の生命を惜しまず、このように軽率に振る舞いながら、それでいてどこに栄華権勢があろうぞ。」

「私の一族は200にあまるほどあったが、建安元年から10年も経たないうちに死亡する者が3分の2にも達した。その中で10分の7は傷寒(風邪感染症)にかかって死んだ。」

「その昔、死亡者の続出した事や年若くして空しく死んでいくのを救う手段のなかったことを歎じ、こんな事ではいけないと、そこで真剣になって古人の教えを探し求め、諸種の薬方を採り集めて、傷寒卒病論を著した。」

とある。

傷寒論は2000年前の書物だが、現代社会と何も変わっていない事が伺える。
さらに論じてある病状がコロナと非常に似ている為、当時も同じような感染症が流行ったものと思われる。

傷寒論には患者の状態に沿って100以上の薬方が記してある。漢方では病名ではなく身体に合う薬方名が書いてある。

漢方治療は、望診や触診や問診、治療者の経験と直感、薬方とその反応をみて処方していく実践的な医学である。

傷寒論には基本の薬方(生薬の種類と量と処方の仕方)が記されているが、実践する場合それを患者の状態に合わせて変えていく必要がある。

患者の状態が変われば生薬の量や種類も変えていくので、薬方の基本はあれど完全なオリジナルの漢方薬になる。

少なければ生薬一味、多い場合は十何種類、生薬にもよるが量は少ないと0.25グラム、多い場合では何十グラムと使う。

薬局などにエキス剤などが売られているが、基本の薬方で売られている為応用が効かない。
また薬は合えば薬になるが合わねば毒になる。これは自然界の法則である。

漢方薬は副作用が少ないと言われているが、全くもってそんな事はなく、自分に合わない生薬が入っていると即毒になる。
また、薬が合っていても量が足りないと効かないのである。

毒になる場合は本当に恐ろしく病気を悪化ささたり新たな病を招いてしまう。
最悪の場合は死に至らしめてしまうので、本当に注意しなければならない。

漢方は身体だけでなく、身体を通して精神にも作用するので、私自身、鬱的な症状を治療することもできた。

私は漢方の勉強を9年前に自然農の川口由一さんについて一年間勉強した。
本来、最低でも3年は勉強してから処方しなさいと言われていたが、私自身の症状が重く、我慢できず一年で処方を開始し、古典書と身体と薬方の反応をみてこれまでなんとか治療してきた。
3年ほど勉強した後に家族の病も治療することになった。

以下は私自身の病も含めて、治療することができた病を思い出せる分だけ書いてみる。

風邪、激しい咽頭痛、高熱、インフルエンザ、慢性肩こり、慢性頭痛、目眩、吐き気、味覚障害、嗅覚障害、関節痛(リウマチ的な)、筋肉痛、神経痛、鬱、躁、便秘や下痢(急性、慢性)、腹痛、生理不順、生理痛、腰痛、不妊、高血圧、低血圧、浮腫、不安症状、不眠、歯痛、歯ぎしり、耳鳴り、つわり、体力低下、食欲低下、怒りっぽい、泣き虫、発疹、筋肉痛、手足ムズムズ、動悸、頻尿、熱中症、二日酔い、子供の風邪症状や発疹など、西洋医学では原因不明の病も含めて治す事が出来てきた。

これまでの治療は漢方薬であっても法律上は医師免許が無ければ他人に処方してはならないので身内だけの治療になっている。

半年ほど前に妻の咳が止まらなくなった時や、一月ほど前に夫婦でこれまでに無い激しい咽頭痛に襲われた時も漢方で治療する事ができた。

病はなるべく早くに治めた方が良い。
病が身体の奥深くに入ってしまうと治療も難しくなり、慢性化してしまうとその分治すのに時間がかかる。

漢方はいのちをみる医学と言われるが、どういう事だろう。

例えば腹痛の場合、民間療法などでは腹痛に効く薬は〜草といった具合に、症状=薬となっている。

しかし漢方の場合は、腹痛にも熱性の腹痛と寒性の腹痛、元気のある人の腹痛と元気のない人の腹痛などがあり、その別がつけられているので、一概に腹痛=〜湯(漢方)とは言えないのである。

漢方薬の生薬は木の実や草や根っこ、鉱物や動物や虫や骨など、自然界にあるものをそのまま使うので、西洋薬のようにある成分だけ抽出して部分的に使う事はない。

自然界に生かされ、そこから生まれたこの肉体であり、私たちだからこそ、自然界の恵みによって完全に治すことができる。

もちろん自然界の物なので、合えば薬だが合わねば毒になる。漢方治療では決まった答えはないので常に治療者が問われるのである。

また漢方薬は直ぐには効かないと言われるが、そんな事はなく、生薬とその量が合えば速攻で効く。
今回、激しい咽頭痛に襲われた時は生薬の量が足らず、段階的に量を増やしていき、最終的(2日目の夜)に最初の2倍の量を煎じて飲んで素早く治癒せしめる事が出来た。

また慢性的な病や、代々続く家系的な病、遺伝的な病も治癒する事ができる。

慢性化した病はそれなりに時間がかかるので覚悟が必要だ。
また家系的な病も時間はかかるが、次の世代に引き継がせないよう、治療していく事ができる。

慢性病の治療は、傷寒論でも出来るが、それとは別に金匱要略(これも張仲景著)という別の古典書に著してある。

傷寒論も金匱要略も後の人が付け加えてある薬方があり、それでは治せない事が多々あるのでその見極めも必要である。


そもそも病にはいったいどいう意味があるのだろうか。

例えば自然界では、環境が整えばそこに必要なものが自然と発生する。

例えば、庭に生ゴミを放置した場合、そこがウジ虫にとって良い環境ならばウジ虫が発生する。また、畑に大量の肥料を投入すると、虫や病気やウイルスが発生する。

生ゴミが無くなったり、肥料の成分が無くなれば、必然的に虫や病気やウイルスはいなくなる。

また山の木を伐採するとはげ山でも草や木がどんどん生えるが、これも地球のバランスを取り戻そうとしている働きだと言える。

人間の身体でも同じ事が起こっている。

身体の状態、環境が、あるウイルスや菌にとって住みやすい環境ならば自ずと発生する。逆に住みにくい環境だと発生しない。

発疹などは身体が内なる毒を排出する為に身体が自ずから起こしている事であり、それも調和を取り戻すための営みと捉える事ができる。

漢方治療は、ウイルスや菌を敵として抹殺したり、発疹などを抑え込むようなものではなく、生薬で患者の身体を立て直し、ウイルスや菌が住みにくい、また身体に溜め込んだ毒を素早く排出させる事のできる本来の健康な身体の状態にする治療のあり方である。

そう考えると、コロナウイルスがこの地球に発生して人類に多大な影響を与えているのも故あっての事であり、それは私たち人類のあり方、生き方が問われているのである。

私たちは一刻も早く偏った利益の追求、自然破壊や搾取を止め、真理である私たちが生き生かされている所、全てが一体の営みをしている事を悟らねばならない。
その真理を悟り、一人ひとりが自らを問い直さない限り、不幸は続いていくだろう。

人類にとって、病を治してくれるものは既に自然界に存在しており、その自然界のめぐみを人類が上手に受け取れるよう日々学びを深めていかねばならない。

いのちの医学である本来の漢方医学は、洋の東西を問わず、人類の病を治す事のできる普遍の医学であり、いのちの道に沿った医学である。

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