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結婚への道/お嬢さんを僕に下さいっていう話
親友pのおかげで、やっと結婚したい男性(今の夫)に出会えたkanae27歳。
夫も同い年で、親友が結婚したばかりというところで、かなり結婚を意識していたようだったので、話は早かった。
夫の実家にも訪問し、結婚したい方向であることは伝えた。
ただ、、、
最大の難関はうちの父親だ。
私の父親はとにかく思ったこと何でも言ってしまう。声がデカい。態度もデカい。だいたいジャイアンなのだ。
おうのび太!野球来いよ!
みたいなノリで、後輩や親戚をゴルフに誘い、そのゴルフの会の名前も「佐藤会」のように自分の名字をつけてるし、
結局自分が優勝して「佐藤会ゴルフカップ優勝」みたいな優勝カップを自分でもらっちゃって飾っちゃっている。
歌も好きで、空き地でのリサイタルは流石にやらないが、後輩や親戚の結婚式に出ては必ず歌を披露してしまっている。
(ちなみに歌声はボエ〜〜ではない。)
そして、よく人と喧嘩をする。
子どものころなどは、父の車に乗ることもあったのだが、ムカつく運転するドライバーがいると、父は必ず降りて行って大声で文句を言う。喧嘩ふっかけてしまうのだ。
母が「やめなさいって!」とよく仲裁に入っていた。
(私と妹は車の中で震えてた。)
そんな感じだから、夫がはじめて私の実家に挨拶に来る際は、波乱を予感していた。
kanaeさんを僕に下さい
などと言おうものならトチ狂って暴れ出して胸ぐらでも掴むんじゃないかと思っていた。
そして当日
夫と私で実家を訪れた。
客間に入る。
予想通り物凄い剣幕で夫を睨む父。
脅してるのだ、顔で。どうか怯まないでくれ、夫よ。こんな父だけど私は似てないから。私はこんな性格じゃないから!私と父は全然違う生き物だから!
だがそこは営業マンの夫。苦手な客にも怯まず向かっていく営業の経験が生かされ、父の表情はいくらか和らいだ。
そして話題は私が小さかった時の話に。
笑いをとろうとしたのか、父は私がうんちを漏らした時の話をした。
おいおい、これから結婚しようとしてる娘だよ?まだ彼氏におならも聞かせたことないんだよ?もちろんうんちだってしたことないって言い聞かせてるのに?
しかし、ここは和やかな雰囲気を最優先だ。
「やめてよ、パパー笑笑」
なんて言いながら笑顔を絶やさず頑張った。
そしてここぞというタイミングで、ついに夫が
「kanaeさんと結婚させていただきたいのですが」
と切り出した。
しばしの沈黙のあと、
「いいよ」
と父が一言だけ放った。
やった、最大の難関を超えた!ワイも、結婚できるぅーーー!!
その後もそこそこ和やかな雰囲気で談笑し、私と夫は実家を後にした。
私たちを見送る時、父と母と妹が、縦に並んでチューチュートレインの最初のところのダンスをして見送ってくれた。
(夫は、後にクセの強い家族だと思ったと言っていた。)
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そんな感じで、思ってたより、確かに、和やかに、結婚の挨拶は済んだのだ。
しかし、、、このあと大波乱の顔合わせ食事会が催されることとなる。