「PDCA」ではなく「PDPD」の地獄にハマる自治体の話
PDPD・・・・の繰り返し
全国の自治体を回っていると、「Plan Do Check Action」ではなく「Plan Do Plan Do」の繰り返しで、パンク寸前になっている組織を目にすることがあります。
地方自治体は地域のグランドデザインとしての総合計画(会社で言う経営戦略)を作ったり、さまざまな個別計画(公共施設の立て直し・修繕・廃止の計画や福祉の計画等いろいろ)を作ったり、そこから新たに事業(サービス)を作ったりします。ところがその効果検証が行われていないケースが多く存在します。
要は「何かを始める」ことはするものの、「何も見直さず」「何もやめずに」また新しい計画や事業が作られていくことが多いため、どんどん仕事が積み上がっていきます。
一方、以下のデータの通り、全国的に地方公務員の数は減ってきています、また、自主財源も減ってきている。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000608426.pdf
つまり、人や予算が減っているにも関わらず、仕事が積みあがっていき、組織がパンク寸前になっている。そんな疲弊した現場を沢山見てきました。
PDはするけれども、CAができてないため、不必要な仕事が削れず、また新たな仕事が増えていく。PDPDを繰り返し、沼にはまっていく。そんな苦しい光景が広がっています。
期限のない事業が乱発・放置
自治体の場合は単独事業というものがあります。これは国や都道府県から請け負ったサービス(例:国民健康保険等、国が法律や制度を作って自治体に運用を任せているもの)ではなく、自分達で考案・実施しているサービスで、始めるも続けるも辞めるも自分達次第というものです。例えば、農業・漁業関係者に農具や漁具を買う補助金を出すとか、地域独自の町内バスを巡回させるとか、100歳を迎えた住民に敬老金を出すとか、色々あります。
こういった事業を始めるときに、事業の期限(いつまでやるのか)、どうなったら目標達成なのか・どうなったらやめるのかという事を設定せずに、始めてしまうことが多い。
そして、立ち上げ当初のメンバーが異動してしまい、その事業の立ち上げ背景や目的等の情報が十分に引き継がれもせず、後任のメンバーがなんとなく進めていく。中には「この事業もう必要ないんじゃない!?」と思う職員がいても、やめるとなったら住民ハレーションを起こして担当者が住民からキツい言葉を浴びせかけられるし、やめるきっかけもないためダラダラ続けてしまう。こんなことがよく起きます。
「立ち止まる」「何かをやめる」ためにPの段階でC・Aの仕組みを作ること
ではどうすれば良いのかという話。
まず、PDPDになる原因は、計画を作るときに「どのように事業を進めればうまくいくのか」「どんな段取りで進めようか」という話はするものの、事業の期限・達成水準、事業の進捗を検証するタイミングやメンバー、検証した結果どうするのか意思決定する人等を決めていないことです。
つまり、いつCheck(検証)して、誰がAction(意思決定と現場への落とし込み)をするのかが決まっていないので、なんとなくダラダラと仕事を進めてしまいます。そうして仕事が積みあがるという地獄が始まる。
なので、大事なのはPlan(計画)するときに、CheckとActionの方法も計画すること。
・事業の目標(期限と達成基準)を設定して、検証する時期を設定する。
・自治体においては単独事業であれば必ず期限を設ける。
・検証するメンバーと、誰が意思決定するのかを決めておく。
・メンバーは個人名ではなく、役職や職名で設定する(退職や異動があるため)。
このようにしておけば、計画立てっぱなし、事業作りっぱなし状態が少しでも減ってきます(これらは所謂「行政評価」と呼ばれるものですが、行政評価を使いこなせている自治体が少ないのが現状です)。
地域に本当に大事なことに対して、人や予算、時間とエネルギーを割くために、まずは「何かをやめること」から始めることが重要です。そのため、「何かをやめるための仕組み作り」もしておかなければいけません。
因みに、一部の住民サービスがなくなると「なぜやめるんだ!?」と叫ぶ住民も出てきます。そこに対応するための仕組み作りも重要で、その方法についても各自治体と一緒に作ったりしています。このあたりは広報戦略もセットになってくるので戦略的にやっていく必要もあります。