俺はまだ いしいひさいちを知らなかった【いしいひさいち「ROCA:吉川ロカ ストーリーライブ」】

 俺は「いしいひさいち歴≒年齢」と言っていいくらい昔から彼の漫画のファンだ。祖父母の家に大量に単行本があったので帰省のたびに読み漁っていたのだ。

 そこで少し前に話題になっていた「ROCA:吉川ロカ ストーリーライブ」を読んでみた。そう、Kindle Unlimitedでね。

 いしいひさいち。朝日新聞の4コマで知っている人も多いだろう。俺も4コマしか読んだことなかった。「ROCA」は1本のストーリーを連続4コママンガで綴る形式になっている。

これは、
ポルトガルの
国民民謡『ファド』の
歌手を目指す
どうでもよい女の子が
どうでもよからざる能力を
見い出されて花開く、
というだけの
都合のいいお話です。

p2より

 女子高生・吉川ロカが「ファド」という全く馴染みのない歌の歌手になっていくお話。登場人物は主にロカと同級生の柴島の2人である。

 いやあのね。すごかった。すっっっごかった。
 「いしいひさいち、まだこんなのも描けんの⁈」って思ったあと、実はいつものいしい作品のテクニックで書かれていたことに気づくのだ。
 ラスト4コマの衝撃。でもこの落とし方はいつものいしいひさいちなのだ。絵柄もセリフもギャグもドライないしいだからできる演出。ギャグに巧みな作家はこういうのが上手いよなあ。実写映画化してもいいと思う。

 #75の演出もすごい。俺はファドのことを何も知らないから想像することすらできないけど、一体どんな歌声が響いているのか。これを通した編集さんも凄いよ。
 
 いしいひさいち、底知れない作家だぜ。

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