まちライブラリー“とかとか”
2022年10月10日、枚方市にある樟葉宮表参道商店街の一角にまちライブラリー“とかとか”を開設しました。
まちライブラリーとは、「本」を通じて「人」と出会うまちの図書館。一般社団法人まちライブラリー代表理事の礒井純充さんが2011年に大阪市内にあるISビルの3階ではじめた取り組みです。
もともとそのISビルの4階に事務所を借りていたのですが、コロナ禍のロックダウンをきっかけに事務所に行くこともなくなりました。家の近隣をウォーキングしている日々の中で、まちなかには一休みしようと思っても気軽に腰掛けて休むところもないことに気付き、誰でも気軽に休憩できる場所を作ろうと思ったのが、とかとかを開くことになったきっかけです。以前noteに書いた地区の家やソーシャルデザインの取り組みも、とかとかの発想につながっています。
今では、赤ちゃんを連れたお母さんやこどもたちが訪れて、ゆっくりとした時間を過ごしていくのがとかとかの日常です。ときどき妻で童話作家のあやさんが絵本を読み聞かせることもあります。
とかとかを開設してから2年が経ち、その間イベントもたくさん行いました。そんな日常やイベントを通して、多くの方と出会うことができ、出会いによってまた新しい発想が沸いたり、新たな取り組みを行ったりしています。先日は、学校の先生や元先生、こどもや親が集い哲学対話を行いました。哲学対話もテーマを変えながら定期的に開催していこうと思っています。
場づくりについてですが、場づくりのために物件を借りると家賃などの経費を払うために収入が必要になり、そのことで運営が大変になることが多いようです。その点、とかとかはデザイン事務所の打ち合わせスペースをかねているため、とかとかの活動で収入を得る必要もなく気楽にできています。このように事務所やお店の一角を共有スペースにする取り組みがもっと広がってもよいのではと感じています。これは自分の土地だとか、自分が借りてる物件だというように場所を占有していることが、冒頭で書いた腰掛けるところもないまちを生み出しているではないでしょうか。
さて、ここで今考えているイベントの話をしたいと思います。2025年4月に近隣の店舗を巻き込んだアートイベントを計画中です。
その名は『まちアートくずは ピンクの他人プロジェクト』。
地元や近郊のまちにある「こどもアート塾 コロコロキッズアートクラブ」、「絵とつくる教室 いろのね」、「障害者アートに取り組む アトリエシロイト」「フリースクール 枚⽅こどもの舎学園」のこどもたちや利⽤者、そして地元のアーティストが店舗ごとにアート作品を制作し、展示する取り組みです。
プロジェクトの目的は、①住民同士や住⺠と店主との交流、②店舗間の交流(特に商店会に⼊っている店舗と⼊ってない店舗の交流)、③社会的に孤⽴しがちな⼈たちと地域の⼈たちとの交流。これまで会うことのなかった⼈たちが、知り合い、会話すること、そのきっかけとしてアートを活かします。
プロジェクトのテーマは、住⺠間、店舗間に存在している境界を少しあいまいにすること。障害のあるひとや不登校のこどもたちなど社会との関わりが弱い⼈と社会との境界をあいまいにすること。つまり地域に暮らす⼈たちを「⾚の他⼈」(全く関⼼の無い他者)の状態から「ピンクの他⼈」(ちょっと⼈を気にかける状態)にしようということです。
「⾚の他⼈からピンクの他⼈へ」というスローガンのもと、地域で暮らす⼈たちの意識の変容を仕掛けます。来場者にはピンクの⽸バッジやリストバンドなど配って⾝に着けてもらう。ピンクのアイテムを着けている⼈同⼠は挨拶をしようというゆるいルールをつくって「ピンクの他⼈」体感をする。ほら、山では行き交う人と挨拶するでしょう。そこには共有したい何かがあるのだと思います。
店舗の⼈たちへイベントの説明をするときには、アートを使って⼈を巻き込む「アート⼲渉」をしましょう、という⾔い⽅をしています。「アート干渉」は、イベントについて意見交換をしている中で、いろのねの沖明日香さんが使った言葉です。そうそう、それ!と思いました。ちなみに「ピンクの他人」は、あやさんの言葉です。あやさんにイベントの狙いを話したときにでてきました。
とかとかの開設からアートイベントの企画まで、自分の中では自然につながっています。何かをすると、何かにつながる。そんなことが実際に起こっていく日々をたのしんでいます。