森を未来につなぐために、行動する(もりメイト倶楽部Hiroshima)~ハチドリ舎とのコラボイベント「山と海をつなぐ」その5
ハチドリ舎とみんなでつくる中国山地のコラボ企画「山と海をつなぐ」。第5回は、広島市で森林整備に取り組んでいる、もりメイト倶楽部Hiroshima・山本恵由美さんをゲストにお招きしました。
ゲストのプロフィール
もりメイト倶楽部Hiroshimaができるまで
環境に関心があった山本さんは、学生時代から葦で舟を作って浮かべたり、バックパッカーで世界を旅したりしてきました。帰国後、命を支える大切な食への関心から、農業を守ること、そして森林の現状を知りました。
森林は本来、林業者がすべきことなのかもしれない。だけど、都市に住んでいる人も森林の恩恵をたくさん受けている。だからこそ何かできないか?というところから、1997年に「もりメイト倶楽部Hiroshima」を立ち上げました。1996年から今も続いている広島市の「森林ボランティアリーダー養成講座」で林業技術の基礎講習を受けたのに、卒業後に生かす場がなかったのがきっかけとなりました。
最初の活動は安佐北区の共有林からはじまりました。初回からたくさんの人が集まっていて、「それだけ何かしたいと思っている人が多かったんだと
思う」と山本さん。認知度が上がるにつれて、地域からの差し入れも増えてきました。
ある程度自分たちの場所の整備ができるようになると、さまざまな地域へ出張して整備をお手伝いする活動も始まり、毎年一緒に作業している場所もたくさんあるそうです。
森を放置する問題点
戦後に全国で植えられた植林地は、木は細く高く密集状態になっています。中に入ると真っ暗で、下草も生えていません。根の力も弱いため、大雨が降ったら保水することができません。生物多様性を守る上でも大切なことです。人が手を入れた森は、人の関わりが重要です。倶楽部では間伐をしたり、木の直径を測ったりしていて、徐々に複層林の姿に戻っている地域もあるそうです。
もりメイト倶楽部の独自性
間伐材を山に残すことも多い中で、倶楽部では間伐材を持ち出して森林資源を活用しています。山へ持ち込んで現地で製材できる機械を導入して、板材に加工し、ベンチやプランターを作ったり、イベントで作ったものを売ったりしているそうです。
子どもたちに対しても、できることを一緒にやっています。森林や竹林を整備する意味を丁寧に伝え、実践する機会をつくっているそう。
会員の安全もとても大切にしています。保険もきちんとかけて、熟練の方から技術を教わり、技術向上にも努めているそうです。その活動が認められ、2023年度には広島市民賞を受賞しました。
活動を続ける理由
共同作業を通じて、みなさんがとてもいい顔をされているのが印象的でしたが、もちろん楽しいことばかりじゃないのも事実です。だけどやめないのは、「未来を創る活動だから」と山本さん。「酸素を吸って、水を飲んで、食べ物を食べて生きている以上、自然を守り育てなくてはと思っています」と。都市で暮らしている人たちが、山・川・海に関わることができるということに、希望を感じました。山本さん、ありがとうございました!
次回のお知らせ
次回は、6月5日(水)19時~21時。海の話を漁師さんにお聞きします。ゲストは、大崎上島町の中村守幸さんと福山市内海町田島の兼田寿敏さん。一緒に活動する仲間たちの参加もあるかも?!こちらもぜひご参加ください。
詳細URL:https://hachidorisha.com/event/240605
(レポート:みんなでつくる中国山地百年会議・中尾圭)
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