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田房永子:著 『男社会がしんどい』を読んで
「女の敵は女」って、よくわからない理論を槍玉にあげてる人をたまにみるけど、男の敵も男だと思う。っていうか敵って認識したらだれでも敵になると思う。男とか女とか関係なくて
去年、私は、あの人は敵だなって考えを手放すことにした。そういう考え方ができるようになったのは田房永子さんの漫画やコラムの影響もあると思う。
物心ついたときから女であることが苦しくて、
小学生の時に
「次、生まれ変わるなら、男でうまれたい?女でうまれたい?」
っていう友達との会話の時に、
心の中で
「ぜったい男でしょ、そっちのがぜったいぜったい得じゃん、何言ってんの。」
って毒づいてた。
当時、この手の話題が流行っていたのか、よく友達との会話にあがってた気がする。輪廻とか死生感に興味が湧く時期ってあるよね!
その毒づいてた小さな私はずっと私の中にいて、
それはきっといわゆる女の敵な女であった
「女性の社会進出」や「自己実現」は、すごく奇妙でイジワルな言葉!
って田房永子さんはこの著作で書いてる
一枚の絵で表現されててそれがすばらしいのだけど著作権の関係もあるしここに載せない。買って読んでほしいマジで。
内容は
「自己実現のために」「社会進出する女性」は
・労働を「自分磨き」等とはき違えている
・夫の収入でやっていけるのにやりたがる
・たいした仕事もできないし飽きたらやめる
・頭がお花畑
というようなことが書いてある。
私は、そういう女性を心底軽蔑してた。だから、そういう人に出会うと無自覚に攻撃的になっていた。
というか、私は現時点で4つの項目ばっちりあてはまったりする。自分の中にそれがあるからそれが嫌いだったのだと、読んでいて気がついた。目から鱗だった。
男社会がしんどいと思っているのに、
結局、男が中心の社会の考えを私も内在化してしまっている。
いろんな読み方があるから、いろんな目から鱗があると思う。新しいメガネをこの本は与えてくれる。
『男社会がしんどい』発売以降もSNS上ではいろんな炎上がおこって、それを横目でみてきた。
あ、これも、田房さんが書いてた「加害者側のすりかえ」だ。って、思った。それを指摘している人もいて、あ、みんな気がつき始めているのだ。と思った。
いくつか目についた炎上を書き出してみる
SNS炎上のひとつめ
水原希子さんに、ニホンジンじゃないから意見をいうなっていう誹謗中傷。
私は、水原希子さんは、すばらしい女性だなとずっと思っている。
この炎上の発端は、あまり誰も批判してこなかったルッキズムについての発言だ。あたらしい価値観の表明。なのに、書けるのは美人の嫌味だろ?とか、日本を馬鹿にするのか?とかいう、完全に加害者側のすりかえ!
あとやっぱり特筆すべきなのは…
木村花さんの自殺。誹謗中傷の被害者が初めて大々的に報道された。きっと今までもたくさん涙をのんできた人はいる。スマイリーキクチさんとか!
そこそこ報道されるけど、ここまで世論が動いたのは初めてじゃないのかな?
コロナ禍で、様々な演劇関係者も炎上していた。
アメリカでも白人至上主義、ヘイトやレイシズムをなくす運動が果敢に行われているけど、
これも声をあげるときに炎上するのは「加害者側のすりかえ」っていう定義にあてはめて考えると、わかりやすい。
なんでこんなに議論が活発になったのだろう?と考えた時。COVID-19が蔓延したからこそだと思う。
コロナ禍中に、さまざまな差別が可視化されて、問題を発言する空気になったのではないかと思っている。
このタイミングで『男社会がしんどい』が発売されたのだ。おもしろいなあ。すごいことだと思う(めっちゃ語彙力ない、笑)タイムリーすぎる。
世界が、一新しようっていう、空気だと思う。
これを、分断する空気とはあまり思いたくない。
だから意見を私も言おう。noteに書こうと思った。
様々な炎上を対岸の火事を眺めるように指をくわえてずっとみてきた。傍観者の方がどんなに楽チンか。
もう一つ特筆して書いておきたいのが、
伊藤詩織さんの誹謗中傷をめぐる裁判。
荻上チキさんらがリサーチチームを作ってSNS上の誹謗中傷を分析という画期的ことも行われている。
2017年に被害者でありながら実名で顔をだして性被害について訴えてをあげた伊藤詩織さん。
それがあったからだろう。#MeToo運動で、多くの女性が声をあげだしたのだ。
『Black Box』を読んで、こんな物は嘘だと言い切る人間がこの世の中にいることが理解できない。
だから戦争はなくならないのかも。
見当もつかない価値観の人間も世界に存在する。
これは踏み絵かな?
けど、あ、あなたはそっち側の考えなんですね。って、私は分断したくない。
ジェンダーやセクシャルにからくる差別だけじゃない、黒人差別、病気の差別、部落の差別、学歴の差別、書き出したらキリがないぐらいの差別がある。
様々な差別が世の中からなくなって、多様であることが当たり前の社会になっていくことに働きかけていきたいとずっと思っている。
分断を少しでもやわらげるために、私は戯曲を書くのだと、最近、はっきりと自覚した。
『男社会がしんどい』の中では、弁護士さんの解説がある(田房永子さんの著作には専門家が登場することが多々あってそこも信頼を寄せているひとつ)
私も全く知らなかったのだけれど、
2017年に110年ぶりに刑法が改正されて「強制性交等罪」に罪名がかわって非親告罪になった。
いままで、親告罪だった。
性被害は、国に守られてなかったのだ。2017年ってほんの3年前だよ?!そんな中、伊藤詩織さん闘ってたの??すごすぎるよ。
姦通罪のこととかもわかりやすい解説。
加害者側のすり替えで、モンスター化するおばさんの絵とかも本当に的確。著作権の関係あるから、ここに載せられないけど、だからマジでこの本買って読んでほしい。(2回目)
そして、この本について、いろんな人と語り合いたい。
いい流れがいま世界中でおこってる。多様であることが当たり前な世の中になれば世界はもっと良い方向に変わるのでは?と安直に考えている。
それに関してアプローチし続けたいと思っている。
神様がいるとしたら、人は生まれたときから、不平等すぎやしませんか??生まれ持って貧しい人、戦争がある国に生まれてくる人、と思っていた時期があった。
いまは、ちがう。
どんな環境の中で生まれてきても、すべての人はしあわせになる権利があるのだと思うようになった。
神様は外側にいない、自分の中にあって、すべてのみんなの中にあるものなのだと思う。