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#1-10 マラッカを目指して

 朝は7時に起きた。ホテルからTBSまで車で30分、TBSからマラッカまでバスで3時間なので、昼頃にはマラッカに着くために早起きをした。まずは腹ごしらえをしよう。
 なんと今回は朝食付きのプラン。ロビーフロアに降りて、朝食会場に向かった。入口で朝食券を手渡し中に入るとそこは絶景だった。まずお出迎えしてくれたのは、タルトやパイやクロワッサン。小麦色が光り輝いている。(これはたぶん食べられないのだが)壁にはカラフルなドーナツが飾られている。思わず席に着く前に写真を撮りまくってしまった。
 座る席を探しながら奥の方に入っていくと、絶景は入口だけではないことが程なく分かる。たくさん種類のあるサラダバー、炒飯にカレー、揚げ物や麺類、なんでもござれだ。スイーツも果物も沢山ある。当たり前かもしれないが、良いホテルの朝食はやはり良い。
 もちろんどれもおいしかったのだが、私が1番気に入ったのは「ロティ・チャナイ」。マレー語で「ロティ」はパン、「チャナイ」は回す、飛ばすという意味らしい。マレーシアのパンケーキだ。パンケーキとはいうものの、カレーとセットで食べる。正直食べている時はナンだと思っていた。写真を振り返ると「ロティ・チャナイ」と書いてあり、慌てて調べて、今書いているというわけである。
 もちもちした食感にピリッとしたチキンカレーをつけて食べた。多民族国家マレーシアは、マレー系が約70%ともちろん1番多く、ついで世界中に散らばる中国系が約23%、そして残りの約7%がインド系である。つまり何が言いたいのかというと、カレーがうまい。それだけ。
 民族構成比率まで持ち出したが、言いたいことはそれだけである。カレーがうまい。あれ、ロティ・チャナイが好きだったと思っていたが、カレーが好きだったのかもしれない。文字に起こすと自分の感情も正確に理解できるようになりますね。最後にデザートのスイカを食べまくって、豪華朝食を終わりにした。

ホテルの朝食より ロティ・チャナイ

 予定よりも朝ごはんに時間をかけてしまったが、軽く身支度をして2日目スタート。9:00にGrabを予約しておいたのでサクッと乗り込む。TBSまでは約30分。約16リンギット。日本円にして約550円。貧乏性の私でも利用できるお手頃価格。日本では絶対にタクシーなど乗ることはないが(セレブが乗るものだと思っている)、東南アジアに来るとGrabはかなり利用させてもらっている。
 今回は2人旅行なのでcarを選択したが、1人旅の時は必ずbikeを選択することにしている。もちろんcarよりもbikeの方が安いというのもあるが、アクティビティ要素が追加されるのも大きなポイントの1つだ。ヘルメットをかぶっておじさんのバイクに2人乗りをする。異国の文化や気候や社会の中を、湿った風を顔で感じながら走るのは、それだけでとても楽しい。その時ばかりは「旅行者」ではなく、「生活者」としてその地にいるような錯覚も感じられる。
 海外旅行に行き観光地を回っていると、どこに行っても観光客が多く、現地のなんとやらを感じることが少ない、というのは旅行者の悩みの1つである。とはいえ観光地にいっさい行かずに「暮らす」という選択をすることは、2泊3日の忙しい旅行者にはなかなかできることではない。そんな時、Grabのbikeタクシーは手軽に、そして手頃に、「生活者」になれるオススメの手段だ。目的地が観光地だとしても、束の間、旅行者から抜け出すことができる。ちなみに、Grabからのプロモーション依頼は受けていない(お待ちしています)。
 予定通り9:30頃にTBSに到着した。5個くらいあるチケット売場に、それぞれ10人くらいずつの列ができている。10:00にマラッカ行きのバスがあるようなので、そのチケットを購入する。
 日本で有人の窓口でチケットを買う機会はかなり少なくなったように思う。発券機が置いてある所がほとんどだし、オンラインで事前購入することも簡単だ。なので海外で窓口購入をするのは少し緊張感がある。マラッカ、アダルト、トゥー、の3つの単語が言えれば、たぶん大丈夫ではあるのだが。小声で3単語を繰り返しながら、自分の番になるのを待っていた。
 結論から言うと、チケットは買えたのだが、出発が予定より1時間半も遅くなってしまった。既に10:00の便は満席だったのである。当たり前だがマラッカ到着も1時間半遅くなることになる。到着予定時刻は14:30。マラッカ観光は3〜4時間くらいで充分そうだったので、元々17:00にはクアラルンプールに向けて帰るつもりだった。
 3時間かけて行って2時間半しか滞在しないのもなぁ。しかも、バス停であるマラッカセントラルから、観光地が集まっている市内の中心部までは車で30分ほどかかる、往復1時間だ。つまり1時間半の観光時間しか無くなってしまう。くそう、昨日のうちにオンラインでチケットを買っておくべきだった。
 いや待てよ、17:00のバスに乗れる保証はどこにもないのではないか?行きのバスが満席なのだから、帰りのバスも満席になっている可能性がある。慌ててオンラインで帰りのバスの空き状況を調べてみると、究極の2択を迫られることになってしまった。


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