#1-13 マラッカのカフェで日常を過ごして
前回のあらすじ
Googleマップで「コーヒー」を検索。いくつかマップ上に候補が表示された。口コミの星評価が4以上のカフェがいくつもある。一つ一つお店の詳細を覗いてみて、私たちが選んだのは「The Coffee JRA」(…競馬?)。
もう一度マラッカリバーを渡り、ジョンカーストリートには入らずに右に曲がる。少し歩くと店先に植物が置いてあるカフェを発見。「The Coffee JRA」に到着した。
引き戸をそっと開け店内に入る。メニューを見ながら飲み物をどの2種類にするか相談していた。飲み物も同じものを2つ注文するということはない。理由は同じである。せっかく2人で来たのだから2種類味わいたい!ということである。
1つは最近ハマっているコールドブリュー、水出しコーヒーにすぐに決まった。もう1つはどうしようか、とメニューを眺めていると見慣れないものを見つけた。「cold brew oolong tea」。なぬ、水出し烏龍茶か!
実は烏龍茶にも最近ハマっている。この前のゴールデンウィークに台湾に行き、その時に烏龍茶の茶葉を買って帰っていた。それを急須で入れて、仕事終わりのリラックスタイムのお供にすることが最近のはまりごとである。しかし、水出しはやったことがない。いつも熱々のお湯でお茶にしていた。というか水で出すという選択肢があることに気が付かなかった。
注文を指差しで完了すると、店員さんから思わぬことを言われた。「日本の方ですか?」なんと流暢な日本語である。「え、はい。」とだけ答える私たち。満面の笑みの店員のお姉さん。
少し話をすると、彼女は日本人ではなくマレーシア人で、独学で日本語を勉強したらしい。すごい。たまに海外で日本語を話せる現地の方に出会うことがあるが、なんだかすごく暖かい気持ちにさせてくれる。なんでだろう。一生懸命に知っている日本語で会話しようとしてくれると、嬉しいとか幸せとかではないのだが、なんだか暖かい気持ちになるのである。それしか言えないのだが、なんだか暖かい気持ちになるのである(3回目)。
席に着き少しするとコーヒーとスタイリッシュなペットボトルのお茶が運ばれてきた。そっか、たしかに水で烏龍茶を出そうと思ったらかなり時間がかかってしまう。時間をかけて水で出しているというわけか。
そのペットボトルからグラスのコップに入れて、お茶を嗜むおしゃれスタイル。うむ、うまい!烏龍茶の香りが口の中に広がり鼻から抜けていく。水だしの方が香りを感じやすいような気がする。
続いてコーヒーを一口。こちらも素晴らしい。良い2つを選ぶことができて大満足である。お店の雰囲気もよく、店内はコンクリート調なのだがところどころに木が使われており安らぎも感じることができる。バスの中で読むために持ってきていた本を少しだけ読んだ。海外旅行に来て、カフェに入って休憩して、そこで読書をする。我ながらとても良い時間の使い方をしたものである。
40分くらいいたのだろうか。「非日常」を日常の様に過ごして、店員さんに別れを告げて外に出るとなんと晴れ間がさしていた。
「オランウータンハウス」に戻ろう。ときは遡りおよそ1000文字前、「店先に植物が置いてあるカフェを発見」したあたりで、もう1つ気になるお店を発見していた。壁に大きなオレンジの何か動物?が描かれた建物。気になった私たちは、カフェに入る前に1度その店を覗いていた。
かわいい、、。好きすぎる、、。オレンジの動物はオランウータンだった。とてもアートなTシャツが大量に壁際に置かれている。オレンジのオランウータンはブランドロゴなのか、全てのTシャツの背中側の首元にプリントされている。奥はアトリエになっているのか、長髪のおじさんがキャンバスに向かって筆を動かしていた。
平置きされたTシャツを2、3個チェックしたあたりで私たちは悟っていた。これは時間をかけて全てのデザインを見なければならない。そしてお気に入りの1枚を買わなければならないのだと。雨の神様が我々に与えたチャンスだと思った。だって雨が降らなければ、カフェに行こうともならなかったわけだし、カフェに行こうとしなければオランウータンに出会うこともなかった。初めて雨神様に感謝しながら、まずはカフェJRAに行くことにしたのであった。
そんな神に導かれし場所にいざ行かん。片っ端からTシャツを捲りまくる。あれもかわいい、これもかわいい。これにしようか、あれにしようか。何度も同じように捲っていると、サイズを探していると思われたのだろうか。レジに座っているピンクの小太りのおじさんが、棚に手をやって「L、M、S」と順番にどの棚にどのサイズがあるのか教えてくれた(声がおばさんのそれでハッとした)。
20分ほど迷いに迷って、私はオランウータンがフロントに大きくプリントされたTシャツと、先生が子どもたちに英語を教えているのだろうか、「Speak English」と書かれたTシャツのどちらにしようか迷っていた。どちらも黒がベースになっており、カッコ良いのに緩い。いいね、最高にかわいい。妻は「MALACCAMALACCAMALACCA・・」と大量にマラッカが書かれたマラッカマラッカTシャツと、ちょっと怖めな人が2人描かれたTシャツ(言葉ではうまく表現できない、、)で迷っているようだった。
ここからさらに10分ほど迷いまくり、最終的に私は「Speak English」Tシャツ、妻は「マラッカマラッカTシャツ」にした。ニッコニコでピンクのおばさんにお会計をしてもらう。いやー純粋に良い買い物をした。
明日の楽しみができた。