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<北嶺中>2025算数入試問題分析

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。道内最難関校『北嶺』の2025年度入試算数分析です。


全体の印象

制限時間は60分、120点満点。大問5題(例年と同じ)、小問23題(昨年は22題)で問題数がやや増えています。
全体の難易度は難化した2024年と比べると易しくなりました。全体的に(大問5の容器と水量を図形分野と考えると)図形分野の比率が高かったのが大きな特徴です。
※学校より平均点が公表されたら,この部分に追記します。

解答例

※この解答は私の求めた解答で学校公表のものではありません。
大問1
(1)23 (2)301/297 (3)0.32 (4)2時間41分46秒
大問2
(1)7200円 (2)181 (3)8.6cm (4)32個 (5)59/9,142/9
大問3
(1)ア:7個,イ:40個
(2)①ウ:2 ②18個 ③136個 ④8個
大問4
(1)9:8 (2)16c㎡ (3)832c㎥ (4)432c㎥
大問5
(1)①244L ②A:5L/分,B:16L/分
(2)①24分後 ②15分後 ③148.5L

大問1 計算問題

2025年も計算問題は4題でした。制限時間が60分と長いため,じっくりと取り組んで全問正解を目指しましょう。北嶺の計算は,決して易しくありません。油断せずに,解き切る計算力が必要です。

(1)北嶺にしては珍しく,「×23」でまとめる計算でした。ここは正解したい問題。

(2)分子が左から1,2,3,4,5,6で,分母が右から7,8,9,10,11,12ときれいに並んでいる計算問題でした。ただ,答えはちょっと汚いですね。自信を持って答えを書けたでしょうか。

(3)2024年に引き続き,逆算を含む四則計算でした。比較的易しめの数値設定で,正答にたどり着きやすかったと考えらえます。

(4)今年も2024年に引き続き,時間の計算でした。(4)では単位を含む計算がよく出題されます。÷7があるので,思い切って秒に直しても良かったかもしれませんね。
学校側が想定した計算としては,次のようになるでしょう。
・3時間46分=226分=224分120秒とします。
・残った34秒を加えて,224分154秒とします。
・すると,224÷7=32分,154秒÷7=22秒と出ます。
これで比較的容易に計算できるようになります。

大問2 小問集合

大問2は毎年恒例の小問集合。落ち着いて、解けるところを確実に得点したいところ。2025年は(5)の正答率が低そうです。5題中4題取れると合格が近づきます。

(1)倍数算の標準的な出題でした。A:Bの合計が揃っているので,全体を比の45にすればOKですね。

(2)循環小数の標準的な出題でした。3/7=0.4285714285……と「428571」が繰り返し現れることがわかります。

(3)色の塗られた2つの図形の面積が等しい→共通部分を加えても等しい,という標準的なテクニックを使う問題。計算も容易でした。長さを求める辺を間違えていないかどうか,最後のチェックが重要です。

(4)やや長文の規則性の問題ですが,樹形図を書いて順序よく調べる標準的な問題でした。条件にあう数が,2倍,さらに2倍,またさらに2倍,……となっていくことに気づけば,最後まで調べ上げなくても答えにたどり着きます。

(5)点の移動に関する,やや難しい問題でした。答えとなる2つの図を正しく書けるかどうか,これまでの演習量で差がつく問題でした。

大問3 割合と比(条件整理)

長文読解の条件整理です。長文化は最近の流行ですが,北嶺の算数も例外ではありません。
以下のような,類題を解いたことがある人もいたかもしれません。

ある王様が何人かの娘たちに宝石を分け与えます。
「1番目の娘には1個と残りの7分の1を与える」
「2番目の娘には2個と残りの7分の1を与える」
「3番目の娘には3個と残りの7分の1を与える」
……

有名問題より

今回の問題では,リード文の『例えば』から続く部分に,「取ることができる」ルールについて,かなり詳細に記載されています。ここをしっかり読み取ってから,問題に取り組む必要がありました。

(1)問題のルールを正しく読めているかを問うだけでした。ただし,最後の人が40個もとる(?)…と,数字がちょっと大きいので困惑した受験生もいるかもしれません。何度か確かめをして時間を使ったかもしれませんね。

(2)ですが,①~④が誘導になっていますが,③の合計が最初に出てしまったという受験生も多いと思います(実際に,試験後に話した受験生にも「最初に136が出たよー!」という子が複数いました)。③が出ればあとは①~④の全問クリアが近いです。全滅か全丸か,2極化したのではないかと予想します。うまく誘導に乗れた受験生は,あまり多くなかったかもしれませんね。

大問4 立体図形(四角すい)

正四角すいの定番問題で,(1)から(3)までを確実に得点したい問題です。

(1)面積の比を求めるのが,三角形OABと四角形ABFEであったことに注意が必要でした。1:8とか,1:9とかの誤答が目立ちそうな問題…求める場所を最後に必ず確認する習慣をつけましょう。

(2)前問で求めた比を使い,長さ(あるいは直接面積比で面積)を求めれば終了。確実にとりたい。

(3)おなじみの,『相・面・体』を使って,体積比で処理すればすぐでしょう。ここも確実にとりたい問題です。

(4)正解者はかなり少ないでしょう。解けなくても合否に影響のない問題です。かなり学習の進んだ受験生であれば,正四角すいの切断から断頭三角柱,の流れは解いた経験があると思います。それを4方向全てで行うとどうなるのかを考えていく問題でした。
結果,最後にでき上がるのは,もとの正四角すいの高さを半分にした正四角すいになります。とても難しいですが,結論のきれいな良問でした。

大問5 容器と水量

最後に容器と水量を持ってくるセットは北嶺としては珍しさを感じます。文章が長く,また残り時間も少なくなることから,解き切れた受験生はそれほど多くないと思われますが,難易度としては標準的です。
とは言え,ここまでの計算量と問題の分量を考えると,大問5で余裕を持って解き終わった受験生は多くはないでしょう。

(1)①
1000c㎥を入れると,水面が0.25cm上がるので,底面積が4000c㎡と出ます。あとは,高さの61cmをかければ正解がだせます。文章を読み取れれば,それほど難しくない問題です。

(1)②
Aを4分・Bを14分入れたときと,Aを20分・Bを9分入れたときの給水量が同じになることから,A:B=5:16が出せれば,正解はすぐそこです。
ただ,文章がとても読みにくくて,焦って読むと題意を取り損ねるでしょう。

(2)
前問までで精一杯で,(2)では読むことすら諦めた受験生も多そうです。(独り言…大問1から4までの分量をこなし,最後の大問5でこの文章量は厳しくないでしょうか,北嶺さん…)

(2)①
いつも通り,条件を正面から見た図に整理していくと,水そうに30cmの高さまで水が貯まるのは何分後ですか,という問題だとわかります。4000×30÷5000=24(分)が答え。

(2)②
つるかめ算です。もしAだけで24分間給水すると満水には,4000×66-24×5000=144000(c㎥)=144(L)足りない。Bの給水量は毎分16Lより,144÷16=9(分)がBが給水した時間になるので,24-9=15(分)が答えになります。

(2)③
②で求めたところから,全体の水の量が少しだけ減っていることが厄介で,ミスを誘う問題です。
小型水槽よりも水面が高いところで排水されるのは136L,水面が低いところで排水されるのは,75Lの6分の1で12.5Lなので,136+12.5=148.5(L)となります。

普段だったら出来るレベルの問題だった,という受験生もいるでしょうが,全体の分量や入試独特の緊張感を考えると,大問5はなかなか得点しにくい状況だったと思われます。

難易度のまとめ

A…合格のためには得点したい問題
B…この問題のうち半分取れたら合格は近い
C…合否に影響のない問題

大問1(1)A (2)A (3)A (4)B
大問2(1)A (2)A (3)A (4)B (5)B
大問3(1)ア:A・イ:A (2)①B ②B ③B ④C
大問4(1)B (2)A (3)A (4)C
大問5(1)①B ②B (2)①B ②C ③C

Aが10題,Bが10題(うち半分以上とれて5題),合計15題を正解できていれば余裕で合格圏です!

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