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2024算数入試問題分析<北嶺中>

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。道内最難関校『北嶺』の2024年度入試算数分析です。過去問演習の振り返りにご活用いただけると嬉しいです!


全体の印象

制限時間は60分、120点満点。大問5題(昨年と同じ)、小問22題(昨年は21題)で例年通りの分量ですが,小問内での解答数が多いためボリュームがアップしたように感じます。
全体の難易度はここ数年だと最も難しく,学校公表の合格者平均は77.4点,受験者平均は71.9点。なお,専願で出願した場合は合格ラインが下がります。専願の合格者平均は,65点くらいと予想されます(配点が均等だとすると,22題中13題程度,正解できていると良いでしょう)。
2025年度以降も同様の難易度であれば,専願受験者にとってはなかなか点数の取りにくい入試と言えます。

大問1 計算問題

2024年も計算問題は4題でした。制限時間が60分と長いため,じっくりと取り組んで全問正解を目指しましょう。北嶺の計算は,決して易しくありません。「計算問題くらい」と油断せずに解き切るように練習しましょう。

(1)最初の問題にしては数字が複雑すぎて,悩んだ受験生も多かったようです。自信を持ってこの答えを書けるくらいまで,計算練習を積んできたかどうかが問われる出題です。

(2)複雑な小数計算でした。ここも決して易しくはありません。√2や√3の近似値が登場しているのが,医学部に強い北嶺らしいところです。(2020年には三角比の表が出されています…)

(3)逆算を含む四則計算でした。3問目にして,やっと正統派の計算が…受験生の気持ちを考えると,ここまでが大変すぎる…

(4)今年は時間の計算でした。長さ,面積,体積に,今年の時間と(4)では単位を含む計算がよく出題されます。忘れることが心配な場合は,直前期に確認をしましょう。

大問2 小問集合

大問2は毎年恒例の小問集合。落ち着いて、解けるところを確実に得点したいところ。2024年は(3)と(4)の正答率が低そうです。5題中4題取れると合格が近づきます。

(1)大問1の続きのような,計算力が問われる問題でした。素因数分解を駆使して,整数の構成を考えていく問題です。正答率が低くはないでしょうが,時間を使った受験生も多かったかも。ここで得点できていれば,時間を多少使ってもOKです。

(2)割合の文章題でした。125%増し(1.25倍ではなく)という条件が珍しく,読み飛ばすと足元をすくわれる問題でした。日頃から,条件は丁寧にチェックするように気を付けましょう。

(3)大問2で毎年出題される場合の数の問題。今年は例年に比べると,典型的な出題でした。北嶺の場合の数は,手を動かして考える出題がほとんどです。技術的に解けるものもありますが,「書き出すぞ!」という意識で臨んで良いと思います。

(4)2024年の大問2は,ここが最難関でした。問題の図を見たときに,30度・60度・90度の三角定規が頭に浮かんできたかどうかが勝敗を分けました(でもたぶん,この問題ができなくても合格します)。どれほど算数の技術を鍛えぬいてきたかを問われる問題でした。

(5)調べ上げの問題。3つの条件から数を絞り込んでいく作業でした。

ちょっとした呟きですが…
(1)といい,(5)といい,素数や素因数分解が好きな先生が作問しているのかな?という感じがします。2018年の大問5も素数のプログラミングが出題されました。
6年周期(担任団の周期)で作問者が繰り返すというのは,受験業界で時々耳にする話ではありますが…

大問3 条件整理

長文読解の条件整理です。長文化は最近の流行ですが,北嶺の算数も例外ではありません。
とは言え,この年の出題ではあまり差がつかなかったような気もしますが…。

(1)ここは確実に正解しておきたい問題。ただ条件を読み取れば,正解を出せる問題です。

(2)このあたりから大きく正答率が下がったと思われます。ショップBで支払い金額の合計が最も少なるなるようにするには,できるだけ多くのポイントをもらうのが良いので,商品を購入する順番が決まります。

(3)ここで見切りをつけて大問4に進んだ子が多そうです。(2)の流れを十分に理解できていれば,どの商品をどの順番でどのショップで購入すれば良いかが見えてきます。

(4)取り組まないほうが賢明でしょう。時間がかかる上に,正解かどうかの確信が持てない問題です。時間のあるときに考えるには楽しい問題ですが,入試本番ではパスしたいところです。

大問4 速さ

(1)と(2),(3)①までできていれば十分でしょう。見た目の悪さや長い問題文に惑わされず,取れるところをキッチリ仕上げておきたい大問です。

(1)小数点を四捨五入したり,切り捨てたり切り上げたりは北嶺得意の出題です。万が一,記憶があやふやな場合は,必ず確認しておきましょう。今回はただの計算問題。丁寧に取り組んで正解したい問題です。

(2)「がんばれBさん!」と応援したくなる問題。ラスト20kmからガクンとペースが落ちてしまいます。暑さにやられたかな…。
冗談はさておき,落ち着いて条件を整理して丁寧に計算するだけの問題。ここは落とさずいきたかった…間違えた人は,原因を必ず見つけておきましょう。

(3)の①
問われていることが,『CさんがDさんより2000m多く進んだのは何時間何分後ですか?』だとわかればすぐに解けました。追い越すときの様子を普段からイメージして解いていたかが問われる問題でした。ここは正解してほしい問題です。

(3)の②
正解者はかなり少ないでしょう。解けなくても合否に影響のない問題です。
速さの和が毎分,200+190=390mなので,分数も登場し非常に厄介な問題です。もっと数値がシンプルならば解ける子が多かっただろう…と思える問題でした。
1回目にすれ違うまでに,100/39(分)
1回目にすれ違ってから次にすれ違うまでに,200/39(分)
であることを使えば,あとは計算で答えをだせるでしょう。

(3)の③
これも正解者はかなり少ないはず。5回目までなので,ダイヤグラムで処理すると良いでしょう。最後にまた,北嶺得意の小数点以下の切り捨て条件。

大問5 立体図形の回転移動

おそらく,合否に影響するのは(1)①だけでしょう。他ができていたら素晴らしい。選ぶ点と,動いた長さが完全回答か,バラバラかで点数が変わってきそうですが,この年の全体の難易度と平均点を見ると,バラバラに採点しているような気がします。

(1)①
解説を見れば,それほど難しくないと感じる問題ですが,本番の環境では焦ってしまったかもしれません。こういった問題で確実に得点できるかどうかが合否の分かれ目です。長方形AEFBだけを取り出して回転させると,5cmの対角線で90度と,4cmで90度の2つのおうぎ形の弧を足したものが最も長いとわかります。

(1)②
①で調べた図を使い,そのままADとEHが面積最大かな?と予想できると良かったでしょう(実際に試してみると,ABやEFの方が通過面積が小さくなります)。結局のところ(1)①の長さに奥行きの3cmをかければ答えでした。

(2)①
今度は2方向に回転します。回転する様子を図に表すと,点Dが最も長い距離を動くことがわかります(半径5cmで2回まわる)。シンプルな問題でしたが,時間切れで答えられなかった受験生も多そうです。

(2)②
ほとんどの受験生ができていないでしょう。試験全体で見れば,もう調べている時間は残っていないだろう…という問題です。合否に影響ありません。本番でも,このレベルの問題には手を出さないのが賢明です。

難易度のまとめ

A…合格のためには得点したい問題
B…この問題のうち半分取れたら合格は近い
C…合否に影響のない問題

大問1(1)A (2)A (3)A (4)B
大問2(1)①A ②A (2)A (3)B (4)B (5)A
大問3(1)A (2)B (3)C (4)C
大問4(1)A (2)B (3)①B ②C ③C
大問5(1)①B ②C (2)①C ②C

Aが9題,Bが7題(うち半分以上とれて4題),合計13題を正解できれば合格圏です!

みなさんの健闘を祈ります!

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