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DXは魔法の杖?

DXに対する世間の期待

「DXは、不可能を可能にするんでしょ」
「DXは、なんでもできるんでしょ」
「AIが何でも決めてくれるんでしょ」
“るんでしょ“3兄弟とでも呼びましょうか。なんか可愛い

最近読めてませんが、星新一さんはじめSF小説が大好きです。
夏への扉」は捨てられずにいまだに本棚にあります

どうも、多くの方が、SFの世界とDXを結び付けて、すごく期待されているように感じます
確かに、空飛ぶ自動車など、SFの世界が現実になりつつありますが、DXはSF世界の実現のことではないので、DX担当者としては困惑する場面もあります
DXをきちんと伝えられていない私の力不足です。すみません

世田谷区役所内にも、上記のような誤解がまだまだ残っているので、現在作成中の世田谷区のDX推進の指針には気合が入ります

世田谷区のDXを説明してみる

改めてDXについてうまく説明できないかな、と頭を捻っていたら、言葉が降ってきました

こちらでも触れたように、世田谷区のDXは、「ミッションの効率達成のため、環境変化、技術進化に応じて、業務プロセス、ツール、体制、サービスを見直し続けること」と暫定的に定義しています

何やらこむずかしいぞ、と思われる方もいらっしゃると思いますので、もう少しかみ砕いてみると、

世田谷区のDXについて
定義は、組織全体で時代の変化についていくこと
目的は、区のミッションを効率的に達成すること
実施するのは、DX担当者ではなく職員全員
やることは、デジタルツールの活用だけでなく、組織そのものの改革。更には、時代の変化に合わせて、改革を継続すること(何かを実現して終わりではない)
実にシンプル!

たまたま、今はオンライン申請ができる技術が存在するので、今に追い付くことができれば、オンライン申請ができるというだけで、それがDXの目的ではありません

世田谷区の進め方

昭和時代は、紙とそろばんや電卓でした。役所も企業も同じような働き方をしていたと思います。コンピューターは一部の人たちが使うものでした
平成になり、Excelなど表計算ソフトが出てきてデータを一般職員が扱えるようになりました
2000年に入り、一人1台PCを持つようになり、Web技術が花開き、スマホの出現、ネット世界やネットビジネスへと進化していきます。一方、右肩上がりの人口ボーナス期が終わりをつげ、少子高齢化、温暖化、感染症、個人の権利や自由、幸福に関する意識など社会的変化も加速していきました。

世田谷区役所は、デジタル化を進めるも、いまだに紙文化を色濃く残しております(2023年の今から約20~30年遅れているイメージ)
その理由はちゃんと存在します(各種規制に加え、デジタル化を防いできた組織風土や体制などの仕組み)

なので、まず、目指すべきは、組織全体で今の社会に追いつくことです
そのためにはデジタルツールの導入によりデジタル化、デジタル活用を進めると同時に、区のミッションを効率達成できるような仕組みや風土に組織全体を変えていくことです
前職の会社は時代に合わせ10年かけて組織風土や体制を大きく変えていきました。規模が大きい世田谷区役所であれば、更に時間がかかると思います

アキレスと亀のパラドックスではありませんが、10数年かけて2023年に追いつく間に、技術も社会もさらに大きく変化していきます。なので、2023年に追いつきつつ、更に加速する時代と技術の変化も取り入れていかないといけません
また追いついても、その後の変化についていけなければ、結局、時代遅れになります

「そんなことできるんかいな?」と思いますよね
アフリカでは皆、パソコンではなくスマホを持っていてお金の決済をしているようです(パソコン時代はすっ飛ばしている)。技術進化には追いつくことは可能だと思います(使いこなせるかどうかは別の話)

意識すべきは、
組織のルールや制度や風土を柔軟に変え続けること
言い換えると、問題発見と問題解決型組織になること
です
時代に追いつき、その変化についていくことができれば、DXなんて言葉はなくなります

松村がやってきたこと

問題発見・解決型組織にするために、やってきたことは以下の通りです

<ザツダン文化の醸成>
(横の連携があまりない)縦割り組織であり、職場の中でも会話文化が実はあまりないように感じてます。挨拶の声も聞こえない職場もあるようです
2022年6月からお昼ザツダンを、2023年2月からお夕ザツダンを初めて、2022年度は44組の方々にご利用いただきました(2件は予定)

<松副のDXだより>
2022年12月から、毎週、DXに絡んだメッセージを、庁内の掲示板にて発信しています
今年度15回のタイトルは次の通り
#1 世田谷区のDXとは
#2 DXは〇〇〇だ!
#3 理想を作る
#4 事実と解釈
#5 ミスと向き合う
#6 弱さと向き合う
#7 関心を持つ
#8 見える化のススメとザツダン枠新設
#9 会話の見える化
#10 敵は紙文化にあり
#11 アンテナを立てる
#12 コンセプトを考えてみる
#13 税金だから失敗できない?
#14 お金の使い方
#15 やりたいを揺り起こす

<問題発見と解決の文化づくり>
2022年12月にDX推進委員会の下に8つの組織横断プロジェクトチーム(PT)を立ち上げました
そして各PTにて設定していただく短期の目標表現をよくある表現「〇〇をやります」から、「〇年〇月で〇〇となっている状態」という風にしてもらいました
これまでの役所文化としては、予算〇〇円を使って〇〇をやります、というのを目標としがちなので、なかなかなじまない表現なのですが、これが問題発見と解決には重要な第一歩になります
役所用語だと、アウトカムという表現がこれに近いです
(詳しくは別の回で)
2023年度は、もう少し本格的に取り組みたいと考えてます。

おまけ

美輪明宏さんが紅白で歌った「ヨイトマケの歌」がずっと頭に残ってました。先日、よいとまけ体験イベントがあったので参加してきました。重さ100kgの丸太を、3つの滑車(写真参照)で持ち上げ、石の基礎の上に落として埋め込むというものでした(今はコンクリートの基礎がほとんどで、石の基礎は珍しいらしい)
ちゃんと、掛け声というか拍子をとる歌があって、それも面白かった。何十人と集まって、ピザ窯で焼いたピザや持ち寄り、ケータリングを楽しみました
ここ数年、ネットイベントに慣れてたので、こういう体験を共有しながらのイベントはメチャ楽しかった
楽しいは正義!

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