松宮恭一郎

製造業の専門家。技術士(機械部門)。プロセス型、バッチ型、組立型など多種多様な製造業の工程設計や設備設計を始め、ロボットやAGVといった自動化技術までカバーする豊富なキャリアの持ち主。経験を活かし、セミナー講師としても活躍し、若手技術者の育成にも尽力する。

松宮恭一郎

製造業の専門家。技術士(機械部門)。プロセス型、バッチ型、組立型など多種多様な製造業の工程設計や設備設計を始め、ロボットやAGVといった自動化技術までカバーする豊富なキャリアの持ち主。経験を活かし、セミナー講師としても活躍し、若手技術者の育成にも尽力する。

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2割に満たない技術士会入会者

1.技術士とは 技術士とは、技術系の専門家として高度な知識や技術を持つ人々を指す称号である。技術士制度は、日本の産業界や社会における技術の向上と発展を促進することを目的としてる。 2.日本技術士会 日本技術士会は、技術士制度の専門団体であり、技術士登録者や技術士を目指す人々が参加する組織である。正式名称は「公益社団法人日本技術士会」であり、技術士制度の普及や技術士の地位向上を図るための活動を行っている。 日本技術士会の主な目的は、以下のような活動を通じて技術士の交流や発展を

    • 【カイゼン道場】作って終わりではない。SCMの重要性(下)

      ここからはSCMを改善すべく、戦略について解説する。 5. SCM戦略 SCM戦略#1:生産方式 生産方式は大きく2つに大別できる。 ・プッシュ生産方式 ・プル生産方式 プッシュ生産方式は、需要予測に基づき生産計画を立て、それに従う方法である。在庫を前提とするため、欠品リスクは小さいが、需要予測が外れると在庫になるリスクがある。 一方のプル生産方式は、在庫を持たずに売れた分だけ生産する方法である。トヨタ自動車のジャストインタイムがこの代表例である。在庫は抑制できるが、

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        • トヨタの苦悩、そして終焉

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          安すぎる日本の技術者(日米賃金比較)

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          【カイゼン道場】協働ロボット入門

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          1. はじめに 工場責任者らは多品種変量生産について、「製品種数が多く、どう作ればよいかわからない」、「多品種でもコストダウンできる方法を知りたい」といった悩みを口々にする。 多品種変量生産においては、品種間の切替えロスを削減を目的に、まとめ生産をしがちである。その結果、在庫が膨れ上がることが問題となる。一方で、在庫を抑制するには、頻繁な切り替え作業が必要になり、生産ラインの稼働率が低下を招いてしまうという課題がある。 そこで多品種生産の解決策の一つとして考案されたのがグ

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          【カイゼン道場】作業を均して能力を改善 「山崩し」

          1. はじめに 「山崩し」とは、生産ラインにおいて作業量を平準化する慣用句である。 「山崩し」がなされていない生産ラインでは、忙しい作業者と手持ち無沙汰の作業者が存在する。この生産ラインの生産性は、忙しい作業者の生産性に依存することになる。 生産性を改善するには、下の図1のような「山崩し」と呼ばれる作業量の平準化が有効である。 これにより作業者全員が同程度の作業量をこなすようになり、手持ち無沙汰がなくなる。これがサイクルタイムの短縮や作業者の削減に繋がるのである。このように

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          技術士(論文試験)合格を最短ルートで

          本記事を執筆しているのは、GW中である。論文試験まで、残すところ二ヶ月を切っている。一般的には二次試験合格には500〜1000時間の学習時間が必要とも言われているが、焦る必要はない。遠回りすることなく、最短距離での学習に集中すれば、十分間に合うだろう。 最小の努力で最大の結果を得るには、出題者の意図に的を絞ることが極めて重要である。以下に、私が実践した学習方法を紹介する。 学習の3本柱 以下の3つが学習の柱である。 知識のインプット 論文構成力の強化 出題範囲の分

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