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【俳句幼稚園】~2024.秋の二本松

音もなく名もなきむすひ冬近し
【季語】冬近し(晩秋)

今年も、秋の二本松に行ってまいりました。
訪れたのは11/10なので、暦の上ではとうに立冬ですが(^_^;)

実はこの日、二本松藩の御家老のご子孫である「日野様」のご案内で、日野家の墓前で手を合わせてきました。
日野源太左衛門和美かずよし様は、拙作(鬼と天狗)の登場人物の一人ですが、そのお墓はまだお参りしたことがなかったのです。

日野家の菩提寺は、蓮華寺。
丹羽家が白河に封土があった時代(1627~1643)、京において丹羽家の日野・樽井・浅見家の三家老が法華宗(日蓮宗)に帰依し、白河の大工町に法華宗の寺院を建立しました。それが、蓮華寺です。

後に、丹羽氏が白河から二本松に移封になった際に、この蓮華寺も二本松に移されました。

私は今回初めてお参りしたのですが、二本松市内では「枝垂れ桜」の美しい寺院としても知られているそうです。

そして蓮華寺でもう一つ印象深かったのが、山門をくぐってすぐ右手にある、たくさんの墓標です。明らかに、「無縁仏」のお墓でした。

日野様によると、戊辰戦争の城下戦で亡くなられた無名の藩士らが、一堂に眠っているとのこと。
初冬の釣瓶落としの夕暮れ時に長時間滞在するわけにはいかず、さっと手を合わせてきただけなのですが、思わず背筋を正してしまう光景でした。
そんなわけで、久しぶりに「句」としてしたためてみた次第です。


安達野あだちの赤心せきしんありてまゆみの実
【季語】檀の実(晩秋)

日野様にお目にかかるのは、今回で2度目です。

そのうち書くかも……ですが、この日、二本松訪問のメインの目的は、「算法少女」の上映会に参加することでした。

特に参加するとお伝えしていたわけではないのですが、日野様はわざわざ日野家の伝承などをまとめた資料をご用意してくださっていました。
そして、上映会場のすぐ裏手に蓮華寺があるため、映画の上映後、日野家のお墓への墓参の流れとなったわけです。

このお心遣いを、「赤心」と言わずして何と言いましょうか。
僭越ながら私も、帰宅後、二本松藩の天狗党討伐にまつわる各種資料を送らせていただいたのでした。

また先日、「まゆみ」を題材として使った俳句や短歌を、某コンテストに出しました。
このコンテストのために二本松に縁の和歌や枕詞を調べる中で知ったのですが、かつての二本松は、弓の材料となる「まゆみ」の産地だったとのこと。
俳句の世界であれば、丁度「まゆみの実」が晩秋の季語の一つということもあり、使ってみた次第です。


片隅にありてあざやぐ紫式部
【季語】紫式部(晩秋)

ちなみに、菊人形の会場も行ってきました。もっとも、菊人形は昨年詠んだので、今年は菊人形のテーマとなっていた「源氏物語」の作者である、紫式部を詠んでみたのです。
この植物に「紫式部」のネーミングをした人は、なかなかのセンスの持ち主ではないでしょうか。

おまけ

会場では、「五節の舞姫」の一コマの菊人形や……

藤原道長の正妻倫子ともこと、紫式部の有名なやり取りや……
(→これは、ぜひリアルの菊で再現してほしかった一コマです(^^))

赤染衛門や清少納言も参加してのバーチャル歌会の場面が、再現されていました。

そんなわけで、今年もある意味?吟行となった、秋の二本松訪問でした。

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