私だったら嫌だ
日テレの「調査委員会」の報告書については、あまりにもひどいというのが私の感想です。
もはや、自虐の報告書として世間に公表したんでしょうか?とツッコミを入れたくなるほど。
まず、インターミッション。著作権にまつわる「原作者」の大切な権利からです。
日テレの調査書については、この点について「一切」触れられていませんでした。
何で弁護士が関わっていて、著作権の問題をスルーしているんですかね?
この時点で、色々おかしい。
後は、報告書は延々と97Pにもわたり報告されていましたが、私が気になったのは「別表」のアンケート結果です。
まず最初別表のアンケート結果より一部を転載。
全般的に、「原作者の意向を尊重すべし」と考えている関係者が多い様子が伺えます。
ですが、気になったのが4番目の「原作者・出版社との契約についての理解」の項目です。
まず、この項目の説明について。
「コンテンツライツ部」という名称からピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが。
要するに、「コンテンツにまつわる各種法的権利」の部署ということです。
にも関わらずですよ?回答者の半数以上が
・理解できているか自信がない
・契約書を読むことはほとんどない
って、どういうことでしょう?
普通の企業だったら、「法務関係の書類を読まずにプロジェクトを進める」ということは、まず考えられないと思います。万が一訴訟になった際の法的リスクが、あまりにも大きすぎる。
民事裁判で「民法上の不法行為」として損害賠償問題になった際に、「契約書を読んでいませんでした」なんて言ったら、まず敗訴になるでしょうね。
それくらいの重過失です。
つまり、「原作者の意向を尊重すべし」と考えつつ、一方で「契約書を読んですらいない」ということ?
どう考えても、矛盾しています。つまり、「原作者を尊重する」というのは、あくまでも「建前」ということでしょうか。
そして、もっとひどかったのが「報告書本文」。
詳しくは公表された文章を読んでほしいですが、
原作者をとことん軽視していた様子が、克明に報告されています。
そして、原作者が関わったのが「途中から」というのも、おかしくないですか?
この点も、あまりにも「著作権法」上の「原作者の意思尊重」の方針を、ないがしろにしています。
総じて思うのが、「じゃあ、なぜドラマ化のオファーを出した?」ということでしょうか……。
本当に、ドラマ制作者側の虫が良すぎる。
ここまで齟齬があるならば、小学館側も「ドラマ化を断って良かった」案件なのではないでしょうか。
実は、私も「原作者の意思の無視」を原因として、noteでは封印した作品があります。その経緯については、ざっくりとこちらで説明しました。
法的問題の性質としては、割と今回の芦原先生の事件と似ているところがあります。
「封印」したおかげで、逆に「違法性」が証明されたようなものですが……。
そして、私が「封印」に踏み切ったのは、この朗読作品だけではありません。
一部の方には事情をお話しましたが、現在アルファポリスに出している「白露」についても、ちょっと思うところがありました。
賞の受賞如何に関わらず、手元保存用&ファンサービスとして非流通ルートで発行したのが、「スピンオフ」集です。
(商用ルートに乗せていないので、アルファポリスの規定には抵触しません)
わざわざ「非商用」「こちらから連絡した方のみ」に限定にしたのは、ネット上で「白露」について茶化すような書き込みがあった……という報告を受けたためです。
ご存知のように、戊辰戦争の悲劇は、作者にとっても扱うには非常に重たいテーマです。今でも時折遺恨が勃発する問題でもあり、書く方も非常に気を使います。
それを「面白半分に」茶化されたのでは、作者としてはたまったものではありません。
その一方で、非公開の「スピンオフ」についての存在もあり、一部の方とは情報を共有させていただいていました。そして、できれば「公開」にするべし!というありがたいご意見も頂いていたのです。
これらをどう両立するか?
熟考した末の判断が、「こちらから指名した人のみ読めるようにする作品集」という手法だったわけです。
原作者にとっては「作品は我が子同然」の存在です。
それを知りながら、なぜ「あたかも自分の所有物のように扱う」「茶化す」などの行為を、平然と公共の場で行えるのか。
私には到底理解できないですし、それが行われそうになったならば、とことん私が持てる限りの知恵を振り絞って、作品を死守するでしょう。
ですが、芦原先生の場合はそれが許されなかった……。
それを思うと、現在の「コンテンツの二次利用」について、一石を投じずにはいられません。
日テレのドラマについては、一定の理解は示していましたし、時には楽しむこともあります。
それでも、今回の調査報告書は元々大して期待はしていなかったものの、あまりにもひどいと思う。
元々、滅多にドラマを見ない私のことです。当分は、日テレ制作のドラマを見ることはないでしょうね。
最後に、改めて芦原先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
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