『Starfield』航天日誌 9日目
【注意!】この記事はネタバレだらけです
航天9日目を終えて
ウェルの電気屋にいた怪しいあんちゃんのクエストで、遠くレッドマイルという場所にやってきた。
施設のエアロックを開けると、きららかなアーマーを着たエクリプティクの警備主任が会計をバックレようとしていたおっさんを脅しており、施設のオーナーらしき女性にとりなされていた。
警備主任さんは短髪でハスキーな声をしていたが女性のようだった。オーナーの女性と良い仲だったりするのだろうか。そう考えた途端、人を見て男であるか女であるか、性的嗜好はどのようなものかを見極めようとすることに、一体どれほどの意味があるのだろうと憤りに近い感情を覚える。未来を舞台にしたバーチャル空間でまで私はそんな浅ましい邪推をするのかとムカついてくる。しかしこの警備主任とオーナーが妙齢GLをしているところは喉を掻きむしるほど見たい。自分のキモさから逃れられない。
レッドマイルとは宇宙時代のコロッセウムらしい。獰猛な異星生物だらけの雪道をゴールまで走り抜けられるか、挑戦者は賭けの対象にされる。試しに出場してみたら案の定バリバリ食い殺された。現状銃弾がとにかく不足しているので、また装備を整えて踏破を目指そう。
同じ星系に街らしきものがあったので降り立った。パラディーゾリゾートだ。だが、この星の周回軌道上で起きた一件については話したくない。私の嫌いなこと、土地と金の問題で揉めた。うんざりだ。リゾートCEOの脳天がホテルの朝食ビュッフェ用スイカポンチみたいになるまでレスキューアックスでぶっ叩いてやろうかと思った。そうすべきだったろうか? 私はこの世界でそれなりに行儀よくしているので、非敵対的NPCを殺したことはまだない。そろそろ潮時かもしれない。心に怒りの葡萄が実っていくのを感じる。スタインベックの時代から400年経ってこのざまかよ人類。勘弁してくれ。
リゾート施設に美容整形クリニックが隣接しているのもエグい。吐きそうだ。
『Starfield』をプレイしていて感じるのは、正規のストーリーを進める上で不可避的に関わるコンステレーションのメンバーのモラルの高さだ。時にそれは窮屈で、無粋で、あまりにも2023年に生きている私たちに要求される道徳律と似すぎている気がする。
私は新しいものが見たくて『Starfield』を始めた。複雑さや物語性のあるゲームに思えたからだ。本を開いたり、映画館に足を運ぶのは、新しいものを発見したり、自分の心に新しいものが兆すのを感じたいからだ。しかし、それなりに長い時間このゲームをプレイしたが、私はまだこのゲームで圧倒され心が攫われるような新しさに出会えていない。
このゲームは凡庸なのだろうか。このゲームの中で戦う敵の凡庸さと同じように? かの名高きベセスダ・ソフトワークスの最新作『Starfield』は、スケールとボリュームが大きいだけの、皿に山盛りにされた二流の料理のようなものなのか? 高いお金を払ったのでそうは思いたくないのだが、正直旗色が悪い気がする……。