『Starfield』航天日誌 3日目
【注意!】この記事はネタバレだらけです
航天3日目を終えて
まずい。プレイ開始3日目にしてすでにまずい段階に入ってきた。
海賊にとらわれたバレットを救助したし、その他にもちょっとした頼まれ事をこなしたり、人助けをしたりもした。しかしその記憶はクエストを終えるやいなや潮のように後退していく。
研究のツリーを開きたいと言う気持ちに行動の全てが支配されている。医薬品や拠点形成、武器のエンジニアリングの選択肢を広げるために、あちこちから素材をひっかき集めては、貨物室を膨らませ、ヴァスコに脊椎が折れますよと言われながら荷運びをしている。その行為によって、冒険の物語性の高い部分がすっかり埋没してしまっている。
少なくとも現段階では、そうして素材集めに奔走し、自らの研究ツリーを広げ、自らの手で装備を充実させていくのは、さほど冒険を有利にするわけでも、富を産むわけでもないと思う。多分敵と戦ったり物語を進めたりするうちに、ゴージャスな装備が金庫等から見つかるのを待つ方が効果が高いんじゃないだろうか。しかし私は道標フェロモンに従って機械的に獲物と巣の間を行き来する蟻のように動いている。もはやその行動に自分の意思など感じない。
私はこの世界にまだ愛着を抱けていないのだと思う。その大きな原因は、このゲームのPCに対して要求する処理能力の高さと、それをうまく満たせないときに起こるキャラクターの挙動の不自然さである。私はこのゲームのために、割と良いPCを買ったつもりだった。私の経済状況を鑑みれば、この金の使い道について、人によっては眉を顰めるだろう。しかしちゃんとスチームに表記されているスペック要件を満たしているものを買ったのだ。にも関わらずどうやらゲームは私のPCに不満らしい。私もその不満そうな態度が不満だ。私のかわいいPCを馬鹿にするな。
以下はその不満点。
キャラクターに話しかけても、キャラクターは粘土でできた人形のようにぎこちなくこちらを向くだけで、数秒間会話をしてくれない。やっと声を発したと思っても、唇が動かない。そして第二センテンスに入ってようやくリップシンクしてくれる。それも度々いっこく堂が操り人形のように遅れる。これでキャラクターに感情移入するのは難しい。リップシンクを要さないヴァスコは例外。どんどん好きになる。
また、開けた地表を走るとき、マップの読み込み処理が追いつかずに停止してしまうことがある。私は、この現象に出くわすたびに、『ゼルダの伝説 風のタクトHD』が発売される際に、ゲームキューブ版ではマップの読み込み処理が追いつかないが故に、船を遅くせざるを得なかったと言う開発エピソードをしていたことを思い出す。あれからゲーム技術は格段に進歩したはずなのに、同じような現象が起こっている。
『スターフィールド』の発売前トレーラーでは、この世界の物理演算が非常に詳細にされていることを誇りに思っているスタッフの言葉が発信されていた。しかし、実際のゲームプレイがこんな調子では、そういったこだわりも有害な酔狂に思てしまう。
問題は、処理の負荷が高いせいで、制作陣の方々がとてつもないこだわりを持って作られたであろうマップや、ゲーム内デバイスの細やかなUI、移動に際する微細な仕草と言うものを、プレイヤー側は快適なゲームプレイのために端折ろうとしてしまうと言うことだ。街を通り抜け、満天の星空が広がる未踏の星を走り、宇宙船のはしごを登って、コックピットに座り、船を操って銀河を旅したい。当たり前だ。しかし、これをするために、膨大なロード時間や、読み込みの間に合わないポリゴン、カクついて思い通りにならない自分のキャラクターの姿を見ることになる。そうなると、どうしても、マップを開いて、目的地を選び、ファストトラベルすることを選んでしまう。これでは本末転倒だ。
どうしても1年前にプレイした『レッドデッドリデンプション2』と比較してしまう。『RDR2』は以前のスペックの低いPCでプレイしたものだったが、私にあの世界を見せてくれた。『RDR2』の世界の美しさを否定できる人はほとんどいないだろう。私はそこで生きる人間たちに深く心動かされたし、何より、そこに広がる景色を愛することができた。川が流れ、野生動物が機敏に動いては、その影を地表に落としていた世界を、優雅な一定のペースで歩く馬に乗って進んでいる時、私は主人公アーサーと一体になった。私はほとんどファストトラベルを使わなかった。移動することそれ自体がドラマだった。
そういったゲーム体験を可能にしていたのは、草木や動物や人間の動きに対するこだわりであると同時に、それをプレイヤーに十分な軽快さで見せるための工夫であったはずだ。そういった工夫は妥協では無い。
『Starfield』も軽快さ重視のアップデート等をしてほしい。また、ゲームプレイを改善する設定などの方法があれば教えて欲しい。