見出し画像

あなたは何も悪くない | 岡田沙織著

NPO法人「若者メンタルサポート協会」理事長の岡田沙織さんの著書、「あなたは何も悪くない」。

お勧めされて読んでみましたところ、非常に最高な一冊でした。

精神的につらい人ほど、身近に置いてほしい一冊です。

自分が自分を扱うように、他人からも扱われる

知らなかったのですが、「自分が自分を扱うように、他人からも扱われる」という法則があるそうです。

他者からの扱われ方が、実は自分で自分に対してもやっていた、ということ。

他者は自分の鏡であるという言葉もありますが、まさに、自分に対して存在な扱いをしていると、同じように他社からも同じように扱われることがあるなぁと、はっとしたんです。

私の場合。
例えば、自分に対してかなり厳しく律していた時期がありました

仕事も誰よりもタスクをこなして、家事も妻よりもやることを目標にしていました。残業時間も誰よりもこなしていましたし、毎日終電は当たり前。自分の時間なんてなし。

そんな生活をしていたら、周囲の人々も自然と私にタスクを振るようになってきたんです。

忙しいのは目に見て明らかなのですが、それでも私に仕事を振るんです。

家族も同じです。家事をこなす量は決して少なくないのですが、それでも追加であれもこれもと家事を依頼してきます。

自分が自分を扱うように、まさに他人も自分をそのように扱うのです。

逆を言えば、そうではない人をイメージしてみると、まさに自分の時間を大切にしていて、仕事のペースが定時きっかり見たいな人は、周囲の人からも残業にならないよう気を使われていました。

自分を大切にしなければ、それ以上に他者が自分を大切にしてくれることなどない、という法則のようで、これには気づきませんでした。

自分を大切に扱うことが、他者を大切にすることにつながる

さらに逆説的には、他者を大切に扱うためには、自分を大切にしなければならないとも著者は解説しています。

先の例では、自分を大切にしている自分自身を、他者が同様に扱うということでしたが、今度は反対方向。他者を大切にするためには、自分を大切にしなければならないということです。

シンプルに、満たされていない状態では、他者に与えることが難しいのです。

水を入ったコップを想像してみてください。

コップには、

A. 水が1割ほどしか入っていない
B. 水が満タン近く入っている


コップの水を他者のコップに与えやすいのはAとB、どちらでしょうか。

明らかにBの方が与えやすいでしょう。水をすくう難易度も、与えた後残る残量を考えても、Bのほうが与えやすい状態です。

水は幸福度や大切にする思いやりの力、愛情などの比喩です。

Aのように、乾ききったココロでは、誰かに何かを与えるにも、余裕がない状態です。

まずはBのように自分自身を満たし、そして初めて他者を慈しむことが出来るでしょう。

小さな自分を助けよう

人間の感情は、「その感情がある」と意識せずに押し込められると、消える事なくどんどん溜まっていくという性質があるそうです。

何年も、何十年も、その感情に蓋をしたままでいると、押し殺したつもりでも、押し込めただけで、蓋を開ければ溢れてしまう、そういった状態であるそうです。

本田圭佑選手が「心の中のリトルホンダに聞いてみた」という表現をされていましたが、だれしも心の中には「小さな自分」がいます。

その時分は幼少期からの原体験によって形成された、本当の自分であり、いつもそばにいてくれる唯一の自分です。

その「小さな自分」が、押し込められた感情に押しつぶされそうになっている状況を想像してみてください。

つらい、悲しい、苦しい、ムカつく、嫌い、大嫌い

そんな負の感情に押しつぶされそうになっている「小さな自分」の親友になることを著者は推奨しています。

「小さな自分」の味方が出来るのは、いつも四六時中一緒にいるあなただけです。

心の奥にいるはずのその「小さな自分」の小さな声に、気づくことができるのもあなただけ。耳を澄まさなければ聞こえないその声を聴き、認識することから始めると良いそうです。

社会性を持った外側の人格である「自分」と、幼少期からの原体験によって形成された「小さな自分」は、どちらもあなた自身です。

されて嫌なこと、本当はこう扱ってほしいという気持ち、
小さな自分が抱いているその心の声に、あなたがまず寄り添ってみてはいかがでしょうか。


非常に優しい語り口で解説されたこの一冊。
ちょっと疲れたな、なんて時にページをめくると、忘れていた優しいあなたに出会う、いい機会を与えてくれるでしょう。



創作意欲の支えになります!