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わからないことを楽しむ
自分が知らない世界や技術の話を聞いている時に、「言葉の意味がわからないから、ついていけない」的なことを言って理解しようとする努力を止めてしまう人がけっこう多いように感じる。
そんな時、僕は知らない言葉をとりあえず「置いておいて」話をそのまま聞き続ける。
「あの言葉はなんだろうな?」と思いつつ。
そんな間に知らない言葉が増えていくこともあるけど、話を聞き続けるうちに、「あの言葉はこういう意味かな?」とつながってくることもよくある。
そのうちのいくつかは、つながってきたと思った言葉の意味が違う意味なこともあるから、話を聞いた後に(もしくは聞きながら)ググっておくこともよくある。
で、この“わからないことを保留しつつ、聞き続ける力”って、けっこう大事だと思うのです。
というのは、新しいことを学ぼうとすれば、知らないことだらけなのは当たり前だし、そこで「わからない…」と止まってしまうと、どんどん理解が追いつかなくなるから。
というようなことを感じることがあって、この保留したまま進める力って?と思い当たったのが読書。
本を読みだす時は、たいてい、どんなことが書かれてるのかなんかわからない。
小説だと、登場人物はみんな知らない、街や背景なんかも知らないというのは当たり前。
そんな知らないことばかり書かれている文字を読み続けていくうちに、文字が単語が世界がつながっていく。
そんな経験をたくさん積んでると、少々のわからない言葉が出てきても、恐れることなく、躊躇することなく、読み進められる。
たぶん、そのうち、わかるようになるだろうと。
仕事で、まったく知らない業界の知識を吸収するような時も、そんな感じで怯むことなく読み続けてるし、話を聞き続けられる。
そういえば、志望校の大学受験の英語の試験の長文で「condor」という単語が何度も何度も出てくるんだけど、この意味がわからない。
「岩の上に…」「子どもに餌をやる…」とかとか、読み進めているうちに、岩場で生活する鳥っぽいことがわかってきて、“コンドルか!?”と思いついた時には、もうエクスタシーな気分だったことを今も覚えてる。
わからないことに耐えつつ、そのうちわかることに快感を覚えて楽しめる能力って、けっこう大事だと思う。