絵本・白峰アカネの冒険/10. アカネ、「組長」の力の正体に興味を持つ
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老人:あの子は、すっかり変わってしまった。確かに、もともと気は強かったが、心が真っすぐで、なにより弱い者イジメが大嫌いな子だったのに。
アカネ:もしかして、「組長」のことですか? 昔からお知り合いなのですか?
老人:あの子の名前はミネノ・リンと言ってね。一家でアキトの家の隣に住んでいたんだ。二人は幼馴染だ。リンちゃんが14歳のときに一家が突然姿を消した。10年後にリンちゃんが独りで戻ってきたが、そのときは、もう、ああなっていた。
老人:どうして謎なのかな?
アカネ:白峰山では、魔祓いの力は白峰山で生まれ育った女子にしか現れないと言われています。それが事実とすると、ふもとで生まれ育ったリンさんが身につけた力は、魔祓いの力に似た別の何かです。
老人:なるほど。
アカネ:でも、白峰山に私が知らない特別なコースがあって、外から受け入れた人間に魔祓いの訓練をしていないとは言い切れません。その場合は、リンさんの力は、私たちの魔祓いの力と同じものかもしれないし、訓練コースが違うのだから別の力かもしれません。
老人:気になるかね?
アカネ:気になるというより、興味があります。私たちの魔祓いの力の他にも似た力があったら、面白いと思います。
老人:しかし、そうなったら、魔獣退治を独占できなくなるよ。
アカネ:魔獣を倒せるのは今のところ私たちだけです。でも、だからといって、私たちが最適任とは限りません。実際、私たちの力では封じきれない魔獣もいるんです。リンさんが私たちとは別の力を持っていて、その力で私たちが抑えきれない魔獣も封印できたら、その方が、この国にとって安全安心です。
老人:そうなったら、君は失業してしまうかもしれないよ。
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