この景色、巨匠が絵にしたら/実験9
私の素人スマホ写真を画像生成AIの助けで大画家の作品風に変換しようという虫のイイ企画の第9回です。
前回はこちら:
今回は、都市景観の写真3点をStable DIfusion XL.V1.0で巨匠の作品風に変換してみました。
1.今回の元写真
元写真は、私が9月14に日に新宿駅南口周辺で撮影した次の3点です。
2.今回の巨匠たち
今回登場いただくのは、次の三人の巨匠です。
2-1.クロード・モネ
印象派を代表するモネは睡蓮シリーズが有名ですが、実は、都市景観もかなり描いています。その一つが「サンジェルマン・ロクセロワ教会」で、これが私の写真の変換後のイメージです。
画像出典:旅と美術館
2-2.カミーユ・ピサロ
ピサロも印象派の代表的な画家ですが、晩年には視力が衰えたこともあって作風を変化させ、室内から街の風景を描いた作品を残しています。そのひとつ、『雨の中の午後サントレノ』が。今回の変換後のイメージです。
画像出典:「アートをめぐるおもち」
2-3.マーガレット・バーク=ホワイト
もう一人は、マーガレット・バーク=ホワイトです。ホワイトは20世紀を代表する女性写真家です。画家ではないので、変則的な起用ですが、それは、今回のテーマが現代の都市景観だからです。
このシリーズの第7回、第8回でわかったように、巨匠が生きた時代に存在しなかった対象物はうまく変換されません。そこで、1920年代~30年代にかけて素晴らしい都市景観写真の数々を残したホワイトに出馬をお願いした次第です。
ホワイトについては、artoday - chiaki さんが、noteへの投稿記事「マーガレット・バーク=ホワイトは女性の戦場カメラマンの草分けだ」で、とても詳しく紹介してくださっています。彼女の作品も多数取り上げられているので、是非、ご覧ください。
ホワイトには、元写真2と元写真3の変換をお願いしました。
3.SDXL V.1の設定
すべての変換に同じ設定を適用しました。
※Negative Prompt なし
※Style 指定なし
※Strength[元写真による縛りの強さ]
=0.5 (0~1.0幅の中間)
※Prompt Guidance[Promptによる縛りの強さ」
=18 (0~35幅の中間)
※Quality Detais [出来上がりの質]
=25(0~50幅の中間)
※CLIP Preset = Default
※Sampler=Default
※Prompt=画家名または写真家名)
(ただし、元写真3の変換時のみ、Margret Burke=White, Photographを使用)
各元写真・各巨匠について4点ずつ生成し、その中から私がいちばん気に入ったものを以下に掲載しました。
4.変換
4-1.元写真1の巨匠風変換
4-1-1. 元写真
4-1-2. モネ版
4-1-3. ピサロ版
同じ印象派なので、よく似ています。主な違いは、人間の描写でしょうか。ピサロの方が、人物の動きが大きくリズミカルな印象があります、
おおむね期待どおりに仕上がってくれました。
4-2.元写真2の巨匠風変換
4-2-1. 元写真
4-2-2. モネ版
4-2-2. ピサロ版
4-2-3. ホワイト版
元の写真がアクセントの乏しいノッペリした感じなので、変換後もパッとしませんでした。特に、ピサロ変換は、かなり残念な結果になりました。
それでも、モネとホワイトには「動き」を感じます。ホワイト版では歩行者が彼女の都市景観写真や工業写真に登場する勤労者の雰囲気を漂わせていて、これは気に入りました。
4-3.元写真3の巨匠風変換
4-3-1. 元写真
4-3-2. モネ版
4-3-2. ピサロ版
4-3-3. ホワイト版
これは、全部気に入りました。
モネ版は、ビルがパリの建築風になっていて面白いですね。現代の自動車もうまく絵になっていると思います。ただ、この絵は動きが乏しいですね。とても静的な印象です。
ピサロとホワイトには、動きが感じられます。行きかう多くの車からくるものですが、そのリズムが絵全体に伝播している感じがします。20世紀の大都会を知っているホワイト版に、より迫力を感じます。
5.今回の結論
第6回から第8回の経験で懲りていなければいけなかったのですが、表面がノッペリした現代風の高層ビルは、やはり鬼門ですね。空にむかってそびえ立つ感じとガラス壁の輝きがカッコよく見えるので撮影することが多いのですが、絵にすると、実に単調でつまらないものになってしまいます。
もちろん、撮影の仕方が下手ということもあると思います。構図や光の当たり方にもっと気をつけたら、絵にしてもサマになる写真が撮れるかもしれません。
トップには、元写真3のピサロ版を使いました。
このところ都市景観が続いたので、次回は自然のある風景を取り上げたいと思っています。
本日は、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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