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この景色、巨匠が絵にしたら/実験5

私が気に入った風景をAiにお願いして私が気に入った景色を巨匠の絵画風に仕立ててもらうこのシリーズも第5回になりました。今回から、Ai画像生成アプリに Standard Diffusion XL も加えていきます。

前回はこちら:

 今回は、8月3日の夕刻に自宅近所の公園で撮影した写真3枚を、Ai画伯に絵にしてもらいます。


1.ショット1/弓道場へと続く斜面/広重


 ゆるやかな斜面を見下ろす角度で撮ったこちらのショット。奥に建屋が見えますが、これは弓道場です。

元写真/ショット1

 まず、Standard Diffusion XL v1.0 (略してSDXL) に 歌川広重 風でお願いしてみます。SDXLはTwitter(X)とInstagramへの投稿で使ったことはありますが、noteへの投稿に用いるのは、これが初めてです。私はLime WireAI Studioを有料サブスクしていて、このサイト経由でのSDXL利用です。もしかしたら、無料版とは機能が異なるかもしれません。両方を比べたことがないので、そこが確かでないことを、初めにお詫びしておきます。

 次の条件でお願いしました。
※Prompt = Utagawa Hiroshige
※Negative Prompt なし
※Style 指定なし
※Strength[元写真による縛りの強さ]
= 0.5( 0~1.0幅 )中程度
※Prompt Guidance[Promptによる縛りの強さ]
= 18( 0~35幅 )中程度
Quality & Details[出来上がりの質]
= 25 ( 0~50 幅 ) 中程度
※CLIP Preset = Default
※Sampler = Default

 そして、出てきたのが次の絵です。

ショット1/SDXL/広重

うーん、がっつり和のテイストになっていますが、これが広重っぽいとは私にはあまり思えません。

 では、LeonardoAiにも頼んでみましょう。アプリが違うのでやりにくいのですが、SDXLの時と同じく縛りの強さが中程度になるように、「Image to Image, Strength=0,5」で設定します。LeonardoAi用設定の詳細は、第4回の記事をご参照ください。

ショット1/LeonardoAi/広重

 これは......面白いです。ぱっと見では、SDXLが元写真に忠実でLeonardoAiは好き勝手しているように見えます。
 ですが、よく見ると、構図が元写真通りなのはLeonardoAiの方です。斜面とその先にある道を一体として捉え、ゆるやかに左にカーブする道として描き、その先に建屋を配しています。
 これが広重かと言うと、それほどでもない感じはします。 

 ここでは、SDXLは元写真の雰囲気をざっくりと、LeonadoAiは元写真の構図をがっちりと、それぞれ巨匠風絵画に反映させています。
 
Promptで他の画家を指定しても同じような結果になるのでしょうか?

2.ショット2/周回路/セザンヌ
 

 比較実験としては同じ元写真を用いる方が良いのでしょうが、記事としては退屈になるので、写真を変えます。
 この公園は自然の丘を造成して作られていて、丘のふもとを周回する通路が設けられています。その周回路の写真です。
 元々の写真では、手前側の路面が広く写りすぎていたので、その部分をトリミングした上で元画像にします。

元写真/ショット2

 セザンヌで行ってみます。まず、SDXLから。設定は1の広重の場合と同様に、元写真による縛り、セザンヌの画風による縛りのどちらも中程度にします。

ショット2/SDXL/セザンヌ

 薄っぺらい印象は否めないながら、セザンヌの特徴は出ていると思います。セザンヌは印象派の影響を受けながらも対象の質感と重量感を重視しましたが、そういう感じがこの絵には現れています。

 次にLeonardoAiで。こちらも、設定は広重の場合と同じにします。

ショット2/LeonardoAi/セザンヌ

うーん、綺麗な絵で、私は好きですが、あまりセザンヌ的ではないですね。むしろ、かなり印象派寄りだと思います。

 試しに、LeonardoAiで同じ設定でモネにしてみます。

ショット2/LeonLeonardoAi/モネ

 LeonardoAiセザンヌとよく似ています。3つを並べてみると、LeonardoAiセザンヌが中間形態という感じです。

左から:LeonardoAiモネ⇒LeonardoAiセザンヌ⇒SDXL セザンヌ

 構図的には、SDXLとLeonardoAi で違いは見られません。ショット2はショット1に比べて解釈の自由度がはるかに小さい構図なので、構図の差を見るには不適切だったようです。

 ここでの違いは、SDXLは指定された巨匠の画風を優先し、LeonardoAiは元写真のディテールを大切にしているように見受けられることです。

3.ショット3/密集した木立/アンリ・ルソー

 
 最後に、密集した木立をアンリ・ルソー風に描いてもらいます。

 元写真は、こちらです。

元写真/ショット3

まず、SDXL 版から。

ショット3/SDXL/アンリ・ルソー

 すごくアンリ・ルソーっぽいと思います。植生までルソーの作品寄りに大胆に変えてきています。

 次に、LeonardoAi版。

ショット3/LeonardoAi/アンリ・ルソー

アンリ・ルソー的雰囲気が出ていると思いますが、SDXLのようには大胆にルソー寄りにせず、元写真のイメージを残しています。

 SDXLが指定された巨匠の画風を優先して元写真を大胆に改変しているのに対して、LeonardoAiは巨匠の画風に寄せつつ元写真のディテールも大切にしているように見受けられます。

4.結論めいたもの/SDWLとLeonardoAiの特徴

 
 今回の実験だけから結論めいたものを引き出すと

SDXLは元写真をヒントに大胆に巨匠の画風を再現する

LeonardoAi は元写真を丁寧に観察し巨匠の画風に寄せていく

と言えると思います。
 また、どちらもあまり広重らしい絵を作れなかったのは、西欧の巨匠の画風ほどには日本の巨匠の画風を学習していないのだと思われます。

 今後もこの2つのアプリは頻繁に使うことになるので、使用例を積み重ねることで、それぞれの特徴をより正確に捉えられるようになることを期待しています。
 
 ショット3の元写真を中央に、左右にSDXLアンリ・ルソーとLeonardoAiアンリ・ルソーを配した画像をトップ画像にして、この記事を投稿します。

 私のこのシリーズではイラストには触れませんが、SDXLは非常に優れたイラスト生成機能を持っています。これについては、kimamanaDr さんが分かりやすい記事を投稿なさっているので、イラスト好きの方にお勧めです。


最近の記事を紹介しておきます。

 
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

次回はこちら:


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