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絵本・白峰アカネの冒険/5. アカネ、「魔獣永劫封印ソバ」を御馳走になる

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アカネが植込みから立ち上がると、さきほど魔獣に襲われていた老人が近づいてきた。相変わらず、箱を大事そうに抱えている。

老人の申し出について思案するアカネ

老人:私のせいで、大変なことになって、本当に申し訳ない。この埋め合わせをさせて欲しい。

アカネ:お気になさらないでください。あなたのせいではありません。あの魔獣が掟を破って街に下りてきたせいです。

老人:しかし、私を助けたばかりに、あんたは大事な巫女の環を取り上げられてしまった。なにかしないと、私の気持が収まらない。

アカネ(心の中で):山から5時間歩いて来たところに役所と組長からダブルパンチ。疲れとショックでお腹がすいたわ。

アカネ(老人に):私はまるで土地勘がないので、このあたりで美味しいものを食べられるところがあったら、案内してください。案内していただければ、それで十分です。

アカネ(心の中で):それでもご馳走してくださるようだったら、お言葉に甘えちゃおう。

食事を終え、街を行くアカネと老人

結局、アカネは老人からフモトノ市名物の「魔獣永劫封印ソバ」を御馳走になった。なかなかの美味に、アカネは自分が置かれたマズい状況をひととき忘れることができた。

アカネ:すっかりご馳走になってしまって、ありがとうございました。おソバ、すっごく美味しかったです。

老人:気に入ってもらえてよかった。それより、ずっと重い荷物を持ってもらって、すまない。

アカネ:あ、気にしないでください。私たち魔祓いの巫女は、基本、力持ちですから。このくらい、軽いもんです。

老人:それで、あんたは、これからどうするのかね?

アカネ:白峰山に帰ります。ここにいても何もできません。向こうで、組長が巫女の環を送ってきてくれるのを待ちます。

その時、突然、後ろから

男性の声:山には戻らない方がいい。

という男性の声がして、アカネと老人が振り向くと、ややイケメン風で長身の男性が立っていた。

アカネに声をかけた「ややイケメン風・長身の男性」

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