寝ている間に胃カメラの検査を受けた話
バリウムvs胃カメラ「二度とやるもんか」対決
会社員時代から、健康診断のバリウム(胃のX線検査)がとにかく苦手だった。
飲む時もつらいし、飲んでから台の上で技師の指示に沿ってのたうち回るのも疲れるし、その後追加でもう一杯飲まされるのが特にきつい。さらにアームのようなものが伸びてきて直接お腹をぐりぐりやられるのもつらいというか痛い。
検査が終わった後は、下剤を飲んでからのトイレとお友達状態も結構消耗するし、バリウムを出しきるまでもだいぶつらい(ご飯中の人ゴメンね)。初めてバリウムを飲んだ時は、検査当日にいまいち出しきれず翌朝超腹痛で難儀した。
しかも「これだけ苦労してバリウム飲んだんだから検査結果も何も出ないでおくれよ」と願うものの、私の胃はそうそうお淑やかではないから困る。
初めてのバリウムはまだ支店でのびのび作業をしていた頃だったからか何ともなかったのだけど、本社に異動になって知らず知らずストレスてんこ盛りになっていった翌年からは、3年連続「ポリープあるよ」の検査結果。
心電図で毎回のようにイチャモンつけられるとか、貧血だとか、そんなことよりも何よりも(いや、こいつらはこいつらで考えものではあるのだけど)「あれだけ苦労してバリウム飲まされて苦労してバリウム排出して、おまけに検査結果でイチャモンまでつけられる」というのが悲しい。何なら怒りすら覚える。
そしていつしか「こんなにバリウムつらいなら、胃カメラのほうが絶対マシだろ」と思うようになった。未経験ってつよい。
さすがに3年連続ポリープの結果は当時の自分もちょっと思うところがあったらしく、他にも体調不良が重なっていたこともあり、近所のクリニックで初めて胃カメラの検査を受けることにした。
「うちは鼻から管通すやり方をおすすめしていますが、鼻の穴が狭いとかでうまく入らない人には喉からもやってますよ。とりあえず鼻から試してみて、難しければ口からにしますか?」
かつて耳鼻科で鼻に管を通そうとした時に太い管が入らなくて細い管にしたけどそれも苦しかった——という思い出がヒュンと蘇る。
たぶん鼻からは無理だろうなあと思いつつ、「じゃあそれで」と頷いたのだった。
そして案の定、鼻から胃カメラの管は入らず(しかも全部の穴をことごとく試されたので痛いしかなかった)。
「これ以上やったら鼻血出ちゃうから、口からにしましょうか」という先生の言葉に(もっと早くそうしてほしかった)おえおえ言いながら口から管を通してもらう。
これはこれでまた苦痛しかなかった。胃カメラでまさか泣くとも思わなかった。先生にも「泣かせちゃった…」と言われた(誰のせいだ)。
結局、バリウムの結果で言われていたポリープ(良性だった)以外にも逆流性食道炎がわかって治療をしたりと、まあ胃カメラをやったこと自体は後悔はしていないのだけど。
「こんなにきついなら二度と胃カメラなんかやるもんか。バリウムのほうがまだマシ」と思うのは仕方がないことで。
ただ、その後転職したりとかで、健康診断の検査項目にバリウムが入ることがなく、結果的に2年続けて胃X線検査を回避することになった。2年目はオプションでつけることはできたのだけど、会社が補助してくれる金額からオーバーして実費になってしまうのが嫌で、他のオプションに逃げたのだった。
人間ドックでまたしても
そんなわけで3年目の今年。初の胃カメラ体験からは2年半ぐらい経過。
フリーランスになった初年度ということで、周りからも散々「健康には気をつけろ」と言われていたし、自分でも「今年はちゃんと受けるかー」と思い、人間ドックを受けることにした。
予約した総合病院では「バリウム・胃カメラどちらでもできますよ」と言われたのだけど(胃カメラは追加料金あり)、「あんなおえおえつらい思いをまたするぐらいならバリウムのほうがまだマシ」と思っておとなしくバリウムを選択。
久々のバリウムは相当つらかった。
追加で飲む量ってあんなに多かったっけ…(入れ物の大きさの違いだと信じたい)。技師さんが優しかったからまだ癒されたものの(初のバリウムの時は技師のおじさんが怖くて仕方がなかった)。
下剤はシロップ状で飲みやすかったけど、副作用なのかその日頭痛がひどかった(でも検査あるから絶食で鎮痛剤も飲めず)からか、下剤を飲んでしばらくして吐き気がひどくなり、家に帰り着くまでがかなりきつかった。
そしてまた、バリウムと下剤を飲んだということは出しきらないといけないわけで…(つらいの極み)。
まあ、ここまできたらやっぱり思うよね。
「胃カメラのほうがまだ何ぼかマシだわ」と。ほんとはやりたくないけど。
今回バリウムを飲んだのは、前回の胃カメラでポリープを切ってもらったその後が気になっていたからというのも大きかったんだけど、さて検査結果。
出たよ、胃に何かあるっていわれた。あと貧血もいつも通り。
検診担当の先生から直接説明が聞けるというので、予約とって話聞いてきた。
私「ポリープとは違うんですか?」
先生「ポリープとはちょっと形が違うかなあ。ポリープの可能性もあるけど」
何だか煮え切らない。
しかし前回の胃カメラでポリープとった後にこれなので、まあそれなりに私も神妙になる。
「消化器内科で検査してみたほうがいいですね。貧血も、検査のたびに言われてるんだったら、血液内科で一度調べてもらったほうがいいでしょう」
しかしここは総合病院。いきなりかかると紹介状がないので余計な金を払うことになってしまう。
「胃カメラが上手で貧血の治療もしてくれる近所の内科にかかろう…前に胃カメラやったとこはつらいしかないから他のところがいい…」と、しょんぼりしながら病院を後にした。
(一応、先生の名誉のために言っておくと、私が初めて胃カメラを受けたクリニックの先生も消化器内科専門だし胃カメラの件数はかなりやっているとのことなので、単純に私が鼻もやられ喉もやられつらいの極みだったから避けてるだけである。逆食の治療の時はほんとお世話になりました)
鎮静剤利用の胃カメラとは
数年前、まだストレスてんこ盛りになる前に坐骨神経痛になったのがきっかけで、整形外科&併設のリハビリにしばらく通っていたことがある。
症状が落ち着いたので受診をやめたのだけど、しばらくしてまた調子が悪くなり、「病院は症状のある部位しか診てくれないからな〜」とカイロプラクティックに通うようになった。これが自分には案外合っていたようで、何だかんだ通い続けて2年以上になる。
さて、そのカイロの先生が時々言うのが「胃カメラだったら、あの病院おすすめですよ」というもの。
先生「私はバリウム一度も飲んだことなくて。毎年そこのクリニックで胃カメラやってもらうんですよ」
私「おえってならないですか?(蘇るつらい思い出)」
先生「全然。鎮静剤使ってやってくれるので、寝てる間に終わりますよ。先生も慣れてるから上手だし」
私「鎮静剤…!?」
何それそんな素敵なやり方があるの。
聞いてみたら、私もよく知ってる(会社員時代は通勤中に前を通っていた)クリニックだという。消化器内科専門の先生で、胃カメラが上手で、結構人気なので予約も埋まりがちだとか。
…そんな話を施術中に何度か聞いていたことがあったので、人間ドックの結果説明を受けた帰り、電車の中で私はその病院をスマホで調べた。
鼻からも喉からも胃カメラやってるけど、前回つらかったという人には鎮静剤利用も可能ですよ、という。
「ここしかないやん」と思い、その日の午後に人間ドックの結果を携えて病院へ相談に行った。
先生は、たぶん私よりちょっと上の世代ぐらいだと思うんだけど、意外と若い。
地域のかかりつけ医って感じで、予約があってもそこそこ待つらしい(初診は予約不可と病院のHPに出ていたので、午後の診療開始時間に一番乗りで行ったところ、そのまま最初に診てもらえてラッキーだった)。
人間ドックの結果を見せて説明しつつ、胃カメラ希望の旨を伝える。
私「前回やった時、鼻からやろうとして穴が狭くて無理で、結局喉からやったんですけどめちゃくちゃつらかったんで、鎮静剤使ってお願いしたいです…」
先生「ああ、それは大変でしたねえ。わかりました」
先生優しい。ありがとう。
貧血の検査もしましょうということで、早速採血。私なかなか血管とりにくいってよく言われるんだけど、ここの看護師さん上手だった。
胃カメラは後日になるので、前日からの注意事項など説明(鎮静剤使うので同意書も渡された)を受けた後、予約をとる段になり。
「結構人気のクリニックだしな〜さっきも人間ドックの予約に来た人が10月って言われてたしな〜」とぼんやり思いながらスケジュール帳を取り出してたら(この時点で7月初め)、何と7月終わりに枠がぽっかり2つほど空いているという。是非にとお願いして入れてもらった。
鎮静下胃カメラレポ
胃カメラ前日。
21時から絶食なので、いつもよりちょっと遅めの20時前後に晩ご飯、あとおやつとデザートのアイス。食べ過ぎである。
水とお茶は検査の1時間前までは飲んでも大丈夫とのことで、この時期ただでさえ夏バテは避けたいのでルイボスティーを摂取しまくった。
胃カメラ当日。
空腹で鳴るお腹をなだめながら、予約の時間より少し早めに病院へ行き、前処置を行う。
最初に飲んだのが、胃の中の泡を消すための薬。めっちゃ薄いスポドリみたいな味がした。
その後、喉に麻酔するための薬。2分ぐらい喉にためておいて、それから飲み込んでくださいと言われる。麻酔薬って飲めるんだな…とぼんやり思った。喉にためている間に段々と舌が痺れてきて(歯医者の麻酔を想像してもらえればよいかと)、まだかなーまだかなーと思っていたところにタイマーが鳴り、「飲み込んでください〜」と。
ちなみに「つらかったら飲み込まず吐き出してもらっても大丈夫ですよ」と先に言われてあったんだけど、前回の胃カメラの時ここまでしっかり麻酔受けなかった気がするし(それもあって余計におえおえなった疑惑)、飲めるものは飲んでしまえの心意気で頑張った(何の報告)。
検査の準備ができるまで少し待った後、呼ばれて移動。喉はだいぶ麻酔が効いて、唾も飲み込みにくい(あの感覚はやっぱりちょっとつらいよね)。
台に仰向けになる前に、つけていたマスクを看護師さんに渡す。検査が終わったらすぐにつけてくれるという。
鎮静剤は点滴で入れてもらうので、前回採血したのと同じところからやってもらった。ここの看護師さんやっぱりさすの上手。
そこへ先生がやってきて、「鎮静剤入れていきますねー」と。導眠剤っていうのかな、そういう薬を飲んだことはあるかとか確認を受けつつ。
先生「少しずつ鎮静剤入れてますが、今どうですか? ちょっと眠くなったりしてきましたか?」
私「うーん、何となく…」
目が覚めて、しばらくぱちぱちと瞬き。
寝ていたのか? いやまったく、それすら記憶にない。
しかし最初に台に横になった時は掛かってなかったガーゼケット的なものが体に掛けられていて(点滴前に「寒くないですかー? 掛けときますかー?」「や、大丈夫ですー」のやりとりをしていた)、おまけに外して看護師さんに渡してあったはずのマスクもしてあった。
え、これって寝てる間に胃カメラ終わった?
喉に少し違和感があるような気はしたけど、横になる前にあった舌の痺れとかはもうなかった。
そのままの体勢でしばらく頭だけきょろきょろしていたら(とりあえず本当に事が終わったのかがまだ信じられず)、そばで器具の片付けか何かしていた看護師さんが気づいて声をかけてくれる。「あ、目が覚めました? 終わりましたよー」
本当に寝てる間に終わったらしい。
…これレポになってるのかなw
寝てる間に終わったという意味ではレポになってるからいいかw
まだ少しだるい気がしたので、隣の処置室で少し休ませてもらった。といいつつなぜか徐ろに柔軟を始める私。
もう少しマシになったところで、結果の説明で呼ばれるまで待合に移動してしばし待つ。
この時点で、胃カメラの予約時間から40分ぐらい経っていた。てことはマジで寝てる間に胃カメラやったんだな(ようやく信じた)。
これなら何度でも受けたい
結果の説明に呼ばれて診察室へ。
いやー自分の喉から食道から胃まで見るの2度目だけど、前回より綺麗だった。逆食も治ってよかったね…前回荒れてたからね…。
本当に寝てる間にやってもらったんだなーと説明聞きながら写真見ながら思ったのだけど、喉を管が通る時はちょっとおえっとなってたらしい。記憶にない。
人間ドックで指摘された例のブツはやはりポリープだったらしい。
良性なので切らずにそのままおいてあるそうで、「今後は定期的に様子を見ていくといいですね」とのこと。
とりあえず大事じゃなくてほっとしました。
採血の結果も出ていて、こちらは人間ドックの時よりも数値が悪かったらしく、早速貧血の治療を始めることに。鉄剤を出してもらったのだけど、合わないようなら早めに再受診して相談を、とのことだった。
ちなみに病院を出た後、近くの薬局に行って薬をもらったり、買い出ししたりして(食事からも鉄分とらねば…)帰ったのだけど。
鎮静剤がまだ効いているので若干体もだるいし頭もぼんやりしていて、色々と細々したうっかり(薬局のサービスの水を置き去りにして帰ろうとしたりとか)をしつつの帰路ではあった。
なるほど、これは確かに普通に日常生活に戻れるまでもちょっと時間がかかるわけだ。鎮静剤を使うので車や自転車の利用は避けてくださいと前もって言われていたのだけど、普通に歩いていてこれだったので…鎮静剤使う人は本当に要注意。
何だかんだで、バリウムvs胃カメラの仁義なき戦いのループにも結論が出た。
いやもう、これだけ無意識の状態で全部済ませてもらえるのなら、何度でも受けたいですよ胃カメラ…バリウムなんかただのつらみしかない。
ただし鎮静剤利用で。これだけは声を大にして言いたい。
胃カメラで過去に良い思い出がない人は、まずは鼻からやってくれるところを探すとよいかも。
私の場合は鼻が狭くて選択肢に入れられなかったので、そういう人は鎮静剤を使って胃カメラ対応してくれる病院を探すのもひとつの手かなと思ったり。
もちろん、鎮静剤にもリスクはあるので、その辺はきちんと説明を受けた上で、使うかどうかの判断をするのが吉です。
というわけで今回はここまで。
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