コーチが個人に対して、チームに対して意欲をマネジメントできているか?【個とチームの関係05/僕の仮説34】
ジュニアコーチにとって、いや日本スポーツ全体において「大人の理解」という曖昧な意思疎通が最も厄介な存在だ。
多くの街クラブがそれぞれのコーチのスタンドプレーによって成り立つジュニアサッカーでは、日本社会が独自に築いた「暗黙知」による共通理解(透明性の低いルールや忖度など)こそ最大の敵とも言える。この存在のせいでたくさんのコーチが知らないことを知らないとは言えず、知ったかぶりをし、多くの場合、大人の成長を妨げている。それは結果として子どもの成長をも阻害している
さらに、この大人の理解という曖昧な暗黙知は、若いコーチの才能の芽を潰す原因にもなっている。サッカー界でも若手コーチ不足が少しずつ表面化しているなか、今後この課題は深刻化するだろう。
きつい。
稼げない。
聞き流せない。
クラブから支払われる報酬が少ないうえ、その対価に見合わない代表や先輩コーチからの頼みごと、たまに「理不尽」とも感じる要望を若手が聞き流せるはずもない。体育会系で歩んできた、あるいは途中で離れた人も日本スポーツ界に蔓延する歪んだ上下関係もまた暗黙知であることは理解に事欠かないだろう。
ゆえに、それが積もり積もればサッカー指導を続けられないレベルに達することもある。
「良い指導とは何か?」と理想論を口にしながらも、試合になると「あのチームなら勝てるだろ」と矛盾した勝利主義をチラつかされ、保護者からの不平不満を聞きながら、若いコーチにとっては精神的なストレスも多い。
しかし、そんな昔ながらの世界に侵されてしまっているサッカーのオキテも若い世代には通用しなくなりつつあり、近い将来必ず小さな飲食店や町工場が陥っている後継者不足の現実が突きつけられるだろう。
街クラブとは何のためにあるのだろうか?
きっと今の時代、子どもの居場所であり、保護者の心の負担を少し減らしてくれる場所であり、コーチにとっても子どもの夢や目標を一緒に追うことができるすばらしい場所のはずである。だからこそクラブは地域に根づくことが大切なのだ。
クラブに関わる選手、コーチ、保護者が「このクラブで良かった」と、そう思える環境を作ることが代表、あるいは役員の義務である。まず、「個とチームの関係」はここがスタートであり、この安心安全な帰属意識をもとに「指導」に関わるさまざまな内容を分析し、詳細を詰めていく必要がある。
「このクラブで良かった」と思える大前提が、あなたのクラブにはあるだろうか?
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