小学校3・4年生までに「質問する→答える」価値観を身につける。 【発育発達編05/僕の仮説09】
出版界で働き、一番の収穫は「質問する→答える」価値観を植えつけられたことだ。
特に20代と若い頃に雑誌制作にたずさわり、このことを鍛えられたことがその後の人生を決めた。タイトルをつける。本文を書く。写真を置く。ページに関わるすべてに「なぜそうしたのか?」と呪文のように問わ続ける。一つでも答えられなければ「紙クズを作っているのか」と言われ、CAPの字数に至る細部にまで常に理由を求められた。いま振り返ると、この「質問→答え」の千本ノックを逃げることなく、真正面から受け止めたことが社会人としての基礎を築き、いまの仕事につながっている。
なぜこんな話をするのか?
それは「質問する」→「答える」という一連の行為、また各々の行為には背景や文脈の理解といった事前に考える作業が発生するからだ。答えるには必ず理由がなければならず、質問するにも前後関係の読解力と解釈力が不可欠になる。私はさまざまな欧州や南米の名門クラブの「育成コーチと選手とのやりとり」を間近で見て、彼らが「質問する→答える」ことを積極的にサッカー指導に取り入れていることに気づいた。
コーチと選手が「質問する→答える」行為を繰り返し積み重ねることで子どもの「思考力」が高まる。また、チームスポーツに大事なコミュニケーション能力も身につく。前回、私は「頭脳=思考力」を養うアプローチに視覚と聴覚が関係していることを伝えたが、復習のため、もう一度それぞれの言葉のサッカーにおける定義を記す。
視覚=ピッチ上の情報を正しく認識する
聴覚=言葉を介して戦術を理解、共有する
現場のコーチはきっと「当たり前だよ」と思うだろうが、私の目には一方的な説明に終始し、コミュニケーションが生まれていないように映っている。ここに日本のコーチのサッカー指導に対する理解不足が露呈されている。
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写真提供=佐藤博之
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