「試合出場」という個人への報酬を全選手にきちんと与えているだろうか?【個とチームの関係06/僕の仮説35】
子どもの成長をコーチが促すには、意欲を刺激して「うまくなりたい」「負けたくない」などの気持ちをうまくコントロールし、意識してマネジメントすることが求められる。
サッカーはチームスポーツだから、試合では基本的にチーム全体に、練習では個人やグループに対して「意欲を揺さぶる」ような練習メニューや言葉かけをしながら成長にアプローチを行う。特にまだ選手として未完成の育成年代では大切なことだ。
ただ、人の意欲に対して「どのようにアプローチしたらいいのか?」が問題である。
たとえば、社会で働く人にとってモチベーションは何だろうか? そして、それを手にするだけで継続的に働くことができるだろうか? ここが大事なポイントだ。生活するためには、お金=報酬が必要になるから給料を手に入れなければならない。
しかし、給料を手にするだけでずっと働くことができるかといえば、難しいところがある。昇給や昇進、仕事の質が上がった、上司に褒められたなど、目に見える報酬と目に見えない報酬の両方がなければ個人にとって働き続ける動機にはならないだろう。
しかも企業人であれば部署に所属しており、会社から何かしらのプロジェクトを与えられることになる。そうすると自分のことだけでなく、プロジェクトチームのミッションをこなす必要があり、成長は「個人のため」だけではなくなる。プロジェクトは未知なことへの挑戦になる。ゆえに個人にとっても、チームにとっても答えのないチャレンジになる。
たとえば、わかりやすく個人の成長に必要な報酬を次のように置き換えることができる。当然、チームにも応用可能だ。
・給料=目に見える報酬=有限なモノ
・目標=目に見えない報酬=無限なモノ
この内容は、選手の成長にも同じことが言える。コーチから与えられる報酬によって選手の成長は大きく変わるからだ。また、コーチの成長も同様に、クラブ代表もしくは育成統括者から与えられる報酬によって指導スキルは大きく磨かれる。
それはサッカークラブが一つのコミュニティ形態であり、一つのファミリーだからだ。クラブの成長はコーチ一人ひとりの指導にかかっており、選手に良いアプローチができるコーチが多いほど、そのクラブは地域から信頼を得て、自然に「子どもがあそこでプレーしたい」と望まれるようになる。
コーチが、さらにクラブがこの仕組みを理論的に把握し、どう自分たちなりに取り組むかが今後「少子化」が進む街クラブに求められることである。
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