子どもの頃は「サッカー選手」として必要な能力をまんべんなく高める。 【発育発達編01/僕の仮説05】
私がサッカー指導で重視しているのは「人との関係性」とそこに伴う「心理的な影響」である。ここはサッカーがチームスポーツである以上、分断することはできない。特にジュニアサッカーに関わるコーチは、人との関係性を無意識に分断している傾向にある。だから「人のいない」、もしくは「人を意識させない」練習メニューを考案しがちなのだ。
この「僕の仮説」で立てた「サッカー指導に必要不可欠な要素」は、私がアドバイザーを務める街クラブを参考にして作ったものだ。「誰一人見捨てない」というクラブ哲学からサッカースタイルをイメージして言語化を図り、それを体現するためのキーワード「サポート」へと具体的な指導に落とし込みながら、クラブの代表と総体的に決めていった。
繰り返しになるが、私が思うサッカー指導は「人との関係性」とそこに伴う「心理的な影響」を重視しているため、まず心を育むことが核となる。構造としては、そこから個人(体/技術)と周囲(社会性/戦術)とが交互に重なり合うように広がっていく。どの要素が抜け落ちても、サッカー選手としては成り立たない。
ジュニア年代の指導目標は、この5項目を指標とする「選手に必要な能力を示すレーダーチャート」を高い位置で整えることだ。
だからと「平均的な選手を育てろ」にはつながらない。それぞれの子の発育発達期によっては、どうしても伸ばすことが難しい項目もある。その場合は、他に目を向けて指導すればいい。サッカーを技術と戦術だけで見てしまうから、選手を上手か下手かで判断してしまうし、コーチもトレーニングを考えるときに技術と戦術による新しい引き出しとアイディアが生まれなくて困るのだ。
あくまで私のジュニア期の指導目的は社会人になり、時間の余裕ができて「サッカーがやりたいな」と思ったときに、誰とでも、どの場所でも、どんな条件でもプレーが楽しめることである。だから、プロ養成を目的にしていない。しかし、この5項目のどれが欠けてもプロにはなれないし、プロになっても活躍できないことは断言できる。
それはジュニア期の指導目的が選手の土台づくりだから。
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写真提供=佐藤博之
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