学びの原則とは何か? 子どもの成長を考慮した指導で大事なポイントを再考。【筆者の思考整理帳13/僕の仮説51】
■戦術=頭脳領域へのアプローチとは?
ボール遊びは相手がいない。
基本、子どもは一人だからボールを相手に夢中で遊んでいる。最初は足でボールを扱うことが難しいから簡単なことしかできない。しかし、徐々に扱いに慣れてくると難しいことにチャレンジし始める。どんどん難易度が上がり、いつの間にか自然にボールが体の一部化し、無意識にプレーできるようになる。
私自身はボール扱いそのものを「技術」とは定義していないが、一般的にはこれを「技術」と名付けている。
ただ、この技術をサッカーのプレーとは呼ばない。なぜなら相手がいないからだ。相手が現れた瞬間に一気に難易度が跳ね上がる。物とは違い、動くし、奪いに来るし、ボールを扱う条件がそもそも違う。だが、この条件化で無意識にプレーできるようになることが、サッカー選手として練習する目標の一つとなる。
きっとこれが「サッカーで使える技術」である。
しかし、ボールを一つ挟んで自分と敵がいる環境はサッカーではない。ここにゴールと時間と人という要素が加わって、初めて正式なサッカーの条件がそろう。特にゴールがあるから判断基準がある。それはサッカーが一点でも多くゴールを決めたほうが勝ちだというルールがあるからだ。
サッカーの条件がそろうと「技術力」だけが勝敗を決める要素ではなくなる。例えば、技術力の高い選手を複数人でマークすればゴールを守ることができるからだ。他にも、技術力の高い選手を封じる方法はある。マンマークをし続けて疲弊させる手法だ。人と時間が加わると戦略的に相手の技術力で勝負が決められないように遠ざけることが可能になる。
そこで、サッカーをプレーする上で、もう一つ大切な条件になってくるのが「戦術」だ。
戦術とは、相手がいる中でサッカーの勝負に勝つためにゴールという最終目標に向かって適切なプレーを実践していくために必要な頭脳領域のこと。
難しく表現したが、90分という時間のその時々で相手を上回ってゴールにたどり着いたり守り切ったりしていけたら勝利に近づくので、簡素化する=部分的に切り取るとチームとして局面で勝ち続けるための基準を持ちつつ、「各個人がプレーを選べる」判断ができるようになる力のことを指す。
ここには「チームという条件が課される」から当然、チームごとに細かい基準は異なる。だから、判断は違ってくる。しかし、そのチームにおける条件は基準なのであって、個人の判断を助ける要素の一つ。そう捉えると従うものではなく、個人が実力を発揮するための要素である。ここを勘違いしてはいけない。
この基準は絶対的な条件ではない。それを守らなくてはならないルールでもない。あくまでチームが勝つためにゴールを目指し、ゴールを守ることを選手全員がコンセプトをもって戦うことを補助する条件である。
個人の特徴や力量によっても、試合の流れの中でも、さまざまな状況下で判断を変えて優先すべきものが変化するので、「戦術を頭脳領域」だと表現した。
最近では、そのチームの基準をプレー原則と表し、そこへの取り組みを始めている。
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所属クラブのプレー原則は、冒頭で話をした「一人遊びのボール扱い」と同様に無意識にできるようになるまで訓練が必要だ。
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