分析には「チームと個人の2軸で、何をポイントに評価を下すか」が必要不可欠。【ジュニアの分析03/僕の仮説40】
ジュニア世代であっても、日本では大小さまざな国際大会が開催されているので、数多くの名門サッカークラブが海外からやってくる。
私が目にしたクラブでも、バイエルン、バルセロナ、レアル・マドリー、パルメイラス、ボカ、スポルティング、アーセナルなど20を超える。この世代の取材をしていて最大のメリットを感じるのは、名門を指揮する監督に直接取材できることだ。トップチームだったら不可能に近い個別インタビューも、育成世代なら実現できることが多々ある。
各クラブには通訳がついているので十分に取材が可能だ。彼らはいつも快く取材を引き受けてくれて、30分くらいは時間をとってくれる。毎年、来日するバルサなんかは契約を継続できている監督は、私のことを覚えてくれていたりもする。ただヨーロッパの名門は、この世代の監督であっても熾烈な競争が行われているので「監督が交代した」なんてことは日常茶飯事である。
Jクラブだとあまり見られないし、あまり想像が及ばない話かもしれない。だが、選手と同様に海外の名門クラブの監督やコーチは常にプレッシャーの中で戦っている。自分の首がかかっているから当たり前だと思うかもしれないが、日本の育成環境でこれを実行したら、きっと賛否両論が入り混じる大論争になるだろう。
さて、海外のクラブと日本のクラブとで、試合中の対応を観察していて一体何が違うのか? そう問われたら、大きな違いが一つある。
それは「局面に関わらない選手」に対する指導だ。
海外の監督は、試合中、意外と選手たちに声をかけ続けている。ベンチに座っていることが少ない。ボールエリアとは、逆サイドにいる選手たちの立ち位置に対して修正を促し、中間地点にいる選手たちに状況把握させて自分がどうプレーすべきかを投げかけている。
私が知る限り、「立ち位置」に対する問いかけはピッチ外から感情剥き出しで伝えていることが数多くある。それはチームのパフォーマンスに大きく関わるからだ。一度、「なぜボールエリア外へのアプローチが多いのか?」と考えたことがある。
その答えは、私なりに「サッカーがチームスポーツだいう認識を強く植え付けるためだ」と解釈している。
彼らが来日するのは夏が多い。プレシーズンの時期でもある。つまり、チームづくりの真っ最中なのだ。監督として結果を出すためには、チームの機能性を高めることが必要不可欠など。もちろん、自分の考えを浸透させる意味もあるだろう。ただ、その意図するところはまだ成長過程である選手に「チームの一員として機能するための心得」を教えているのではないかと思っている。
監督からすれば、今後自分たちの手元から選手が離れたとしても、彼らがしっかりと働き結果を残してくれたら評価は自然に上がる。それは未来に向けた指導につながっていることを指導者自身が自覚しているからではないだろうか。彼ら監督と話すとクラブを背負うことの意味や、チームの一員としての振る舞い、そしてプレーすることの意味を選手たちに説くことの必要性を必ず語る。
Jクラブの監督からこんな言葉をほぼ聞いたことがない。このことは大きな差を生んでいると、個人的には考えている。日本のジュニアを取材して思うのは、コーチの着眼点が「局面」ばかり。
ここは、私が間近で見てきた海外の名門クラブの育成監督と日本の監督との大きな違いだ。
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