『勝利』
試合や競争、ゲームや遊びにおいて『1位を獲る』や『勝つ』という事は確かに大切な事であり皆が求めるものであろう。またその席は誰しもが無条件に目指し求める地位や状況(状態)である事は明白である。だがしかし本当にそうなのだろうか?つまり私が言いたいのは『勝利』よりも『敗北』でしか得られないものがあるのではないかと常々考えている訳です。
また、追筆して良いのであれば勝負事において勝敗の結果そのものよりもましてその行為(勝負、決闘、戦etc...)自体を『楽しむ』事が出来たかどうかにこそ真の価値が存在するのではないのだろうかと考えてしまうのであります。
ここにきて少しばかり小話を一つ。
これは私が青年期であった昔、実際に経験した話であります。当時、私のクラスを担任していた教師がこんな話をしたのである。
『一位、二位、三位の価値はどの様なものか皆んなは考えた事があるだろか?』というものであった。少し間を置いて各々自分の意見を話し合った。結論、皆の意見と私が持っていた考えは同じかそれに近しいものに落ち着いた。つまり表している数字が全てでそれ以外の解釈など必要ない。と、いうかそれ以外の捉え方など何かあるのか?あったとするのであればどんな理屈であろうか?という答えに一同まとまったのである。そんな我がクラスの様子をじっと眺めていた教師がゆっくりと冷静に淡々とこう語り始めたのである。
『一位というものは変わる事なき揺るぎない地位である事は明白である。だが、二位というものはどの様な者に与えられる栄誉であるだろうか?そう、それは一位の者と勇ましく戦い敗北した。しかしその勇気や健闘に対して与えられる賞。つまり負けたけどよく頑張ったから讃えましょう。の二位なのだ。負けた結果与えられるのがこの二位、つまり負けの二位なのだ。』と『では三位は?そう、これは実は四位の者と戦い勝ち取った者に与えられる賞が三位なのだ。つまり勝ちの三位。』『一位、二位、三位の中で唯一負けても表彰されるのは二位で一位と三位は勝った者の賞なのだ。』と。そしてそれは合唱コンクールを目前に控えていた時分であった。
今考えると恐ろしい価値観を持っている教員だと思う。話している事は真実ではあると思う。ただ正し過ぎる悍ましい思考ではないだろうか?教員として未成熟である我々に世界の真実を真っ直ぐに伝えようとする姿勢については私は尊敬するに価する方だと思った。しかし、その日を境に私の中での『二位』や『銀賞』は欲しくない地位に成り下がってしまった。その考えは今でも尚、私を制約する枷になっている。
さてさて、小話はこれにて。
今回のテーマであった勝負の価値。皆様にはどの様に伝わりましたでしょうか?また、何かしらの影響を与える事ができましたでしょうか?
小話はさておきと先程お伝えした矢先にふと思い出したお話がありました。いやぁ先にこちらを話すのが良かったかもしれませんが後悔しても仕方がありませんので訂正撤回見直しを相手に筆者の特権濫用を行使させていただくとしましょうか。
では、ちょいと小話を最後にもう一つ。
今回のテーマをとても分かりやすく表現した作品がこの国、日本にはあります。国民的大人気子供向けアニメ(漫画)の『ドラえもん』のとある回での事です。
雑多諸々は端折りまして、本文をストレートにいきましょう。
いつもは殴られ、泣き叫びながらドラえもんに助けを求めるのび太くん。だがそんなのび太くんがその回では何度ジャイアンに殴られようと何度も、何度でも立ち上がりジャイアンに挑み続けるのです。のび太くんには負けられない理由がありました。近日の間に未来へと帰ってしまう事になったドラえもん。そんなドラえもんに心配をかけずまいと。ドラえもんが安心して未来に帰れる様にと『自分の力だけでジャイアンに勝ってみせる』、、、そんなお話しの回がございます。
ジャイアンとの喧嘩にのび太くんは確かに負けます。勝てません。敵いません。それでものび太くんは立ち上がりジャイアンに挑むのです。
おっとおっと、ネタバラシは御法度、、
説明はこれくらいにしておきまして。
つまり、喧嘩には負けたとしても本当の意味での勝負ではのび太くんは負けていないのです。勝負、決闘、戦etc…において本当の意味での勝者とは誰の事を指すのでしょうか。もしかするとのび太くんは途中からもう既に勝者であったのかもしれません。
もちろんこれは私が感じた事や感慨深いと考えさせられた出来事を少しばかり文字にまとめただけであり読者諸君皆様にそれを理解しろ!真似をしろ!奉り崇めろ!などと声を荒げたい訳ではないのです。ある一人の人間がこれまで生きてきた中で得た知見の一つにこんなお話がありましたとさ。というだけのお話しでした。
それでは読者諸君皆様の貴重な時間を少しばかり拝借失敬。否、有難き有難きかな。
追筆、何か機会があればこのお話の続きを誰かと出来れば幸いです。
では、これにて失礼。
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