内田 樹の「街場の文体論」
先ずは人物紹介から。
内田 樹(うちだ たつる)教授。
神戸女学院大学名誉教授
日本のフランス文学者、武道家(合気道凱風館館長。合気道七段、居合道三段、杖道三段)、翻訳家、思想家、エッセイスト、元学生運動家、専門はフランス現代思想
彼の講義を受ける前に彼はこんな課題を生徒諸君に出したのだ。
「私がこれまで会った中で1番粗忽な人」
に、ついてレポートを提出しなさいと。
要約してルール説明をすると、
①ショートストーリーを1000字以内。
②文学的テクニックは必要なく説明するチカラを試すものである(読者を楽しませる文字を求める)
殆どの方が粗忽(そこつ)と聞いてもあまりピンとこないのではなかろうか。簡単な言葉で表せば「おっちょこちょい」な人の事である。
そんな事を題材にレポートを書いた事がある物がこれまでどれ程いたであろうか?そしてこのレポートにはテクニックは必要ないとまで前提が定義されているのだ。私はそれに感化され自分もそのレポートに取り組んでみる事にしたのだ。
文字を書き進めていくにしたがって私はその課題の虜になってしまっていた。まんまと内田教授の策略に嵌り、終いには彼の笑う顔まで想像できてしまうまでに陥っていた。
まるで名手とのチェスかの如く私の進める駒の先にはルークが待ち構えているのだ。しかしこれ程楽しい試合というものに出会える機会はそう滅多にない。
課題を書き終えた私はその勝敗に関わらず大満足であった。がしかし、私のレポートを内田教授に提出すればきっと跳ね返されてしまっていただろう。
なので私はこの片思いのレポートの不戦勝をもってこの話を締め括りたいと思う。
興味のあるお方は是非この課題にトライしてみると良いかもしれません。新しい何かに気がつくやもしれません。それではまた。
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