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【国語世論24】(3) 「読まない」の捉え方によって,不読率は20.6%や6.5%にもなり得る

前回の続き。


痒い所に手が届く質問

さて前回,不読率が62.6%であるが,高いかどうかは分からないな,という話をしました。この不読率の高さの一因は,「雑誌・漫画」を本から除外するという「本」の定義の狭さにもあります。

そこで「『雑誌・漫画』を入れたらどうなるのだろう?」という疑問が出てくるわけですが,これにもきっちり答える質問項目が含まれています。以下は電子書籍の利用についての質問ですが,ここから電子書籍に「雑誌・漫画」を含めています。

〔 問10:質問 〕
あなたは、ふだん、電子書籍を利用していますか。雑誌や漫画も含みます。 (一つ回答)

「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」p.30

問9までは電子書籍には「雑誌・漫画」を含めてこなかったわけですから,「回答者が混乱するんじゃないの?」と疑問に思いましたが,前々回述べた「注意書き」できっちりとフォローがしてあり,

ここでいう本とは,電子書籍も含みますが,特に記載のない限り,雑誌や漫画は除きます。(記載のある問10,問11とその付問は,雑誌や漫画も含みます。)

「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」p.23

としっかり書いてあるのですね!すばらしい。

「なんでこの質問項目は後半の問10に置かれているんだろう」とも思いましたが,電子書籍の定義の変更を後半にまとめたためなのですね。テクニカル~。

雑誌・漫画も「読書」とみなした場合,不読率は20.6%に留まる

さらに選択肢が最高で,「紙の本・雑誌・漫画も電子書籍も読まない」という選択肢が設けられているおかげで,

◎「『雑誌・漫画』を入れたらどうなるのだろう?」
→ 不読率は20.6%になるよ!

と明確に回答できます。激減しますね。

「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」p.30

本では読んでいなくても,SNSやネットで何らかの記事は読んでいる

さて,この調査で最高にイカすのは,「読まない」と回答した人に対して,以下の質問を追加していることです。

(イカす,がもう古すぎるのは自覚しています笑)

〔 問7付問1:質問 〕
(問7で「読まない」と答えた人(全体の62.6%)に対して)
あなたは,本ではなく,それ以外の文字・活字による情報(SNS,インターネット上の記事などを含む。)を読むことが,どのくらいありますか。この中から最も近いものを一つ選んでください。 (一つ回答)

「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」p.24

その結果が以下です。

「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」p.24

結果として,「読まない」と回答した人のうちの75.3%はほぼ毎日「文字・活字による情報」に触れていることが分かります。質問項目から推察するに,最初に「本」から除外されていた「漫画・雑誌」や「SNSやネットで何らかの記事」を読んでいるということでしょう。このnoteもまさにこのうちの後者に当たります。

「ほとんどない」の10.4%だけが真の不読だと仮定すると,62.6%のうちの10.4%なので,6.5%となります。このように考えれば,何らかのまとまった文字を本当に読んでいない,という意味での不読率はわずか6.5%とさえ言えるわけです。おお,この質問項目,なんと細かな気配りか。

どちらかと言えば,「読書離れ」よりは,ここの部分を中心にニュースで取り上げて欲しかったなと思います。まぁそれでは話題にならないでしょうし,web記事に全く記述がないわけでもなかったので,バランスを考えて書かれた記事なのだろうなぁと想像します。

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続く。

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