【国語世論24】(3) 「読まない」の捉え方によって,不読率は20.6%や6.5%にもなり得る
前回の続き。
痒い所に手が届く質問
さて前回,不読率が62.6%であるが,高いかどうかは分からないな,という話をしました。この不読率の高さの一因は,「雑誌・漫画」を本から除外するという「本」の定義の狭さにもあります。
そこで「『雑誌・漫画』を入れたらどうなるのだろう?」という疑問が出てくるわけですが,これにもきっちり答える質問項目が含まれています。以下は電子書籍の利用についての質問ですが,ここから電子書籍に「雑誌・漫画」を含めています。
問9までは電子書籍には「雑誌・漫画」を含めてこなかったわけですから,「回答者が混乱するんじゃないの?」と疑問に思いましたが,前々回述べた「注意書き」できっちりとフォローがしてあり,
としっかり書いてあるのですね!すばらしい。
「なんでこの質問項目は後半の問10に置かれているんだろう」とも思いましたが,電子書籍の定義の変更を後半にまとめたためなのですね。テクニカル~。
雑誌・漫画も「読書」とみなした場合,不読率は20.6%に留まる
さらに選択肢が最高で,「紙の本・雑誌・漫画も電子書籍も読まない」という選択肢が設けられているおかげで,
◎「『雑誌・漫画』を入れたらどうなるのだろう?」
→ 不読率は20.6%になるよ!
と明確に回答できます。激減しますね。
本では読んでいなくても,SNSやネットで何らかの記事は読んでいる
さて,この調査で最高にイカすのは,「読まない」と回答した人に対して,以下の質問を追加していることです。
(イカす,がもう古すぎるのは自覚しています笑)
その結果が以下です。
結果として,「読まない」と回答した人のうちの75.3%はほぼ毎日「文字・活字による情報」に触れていることが分かります。質問項目から推察するに,最初に「本」から除外されていた「漫画・雑誌」や「SNSやネットで何らかの記事」を読んでいるということでしょう。このnoteもまさにこのうちの後者に当たります。
「ほとんどない」の10.4%だけが真の不読だと仮定すると,62.6%のうちの10.4%なので,6.5%となります。このように考えれば,何らかのまとまった文字を本当に読んでいない,という意味での不読率はわずか6.5%とさえ言えるわけです。おお,この質問項目,なんと細かな気配りか。
どちらかと言えば,「読書離れ」よりは,ここの部分を中心にニュースで取り上げて欲しかったなと思います。まぁそれでは話題にならないでしょうし,web記事に全く記述がないわけでもなかったので,バランスを考えて書かれた記事なのだろうなぁと想像します。
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続く。
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