Z世代の新人衆議院議員の理解不能な発言の真意とは
以前にも記事でZ世代の呆れた現状について書いたように、先の衆議院議員総選挙で比例復活で当選したZ世代の理解不能な新人の発言が問題視されているようですね。筆者が指摘した通り、大人を舐め切ったZ世代を体現したような若造として物議を醸すことは間違いないであろう新人を、自民党はよく公認したなというのが筆者の率直な感想です。選挙後になって議論のすり替えと揶揄されるのは時間の問題でしょうね。
問題とされる発言は自民党新人の大空幸星(こうき)氏によるものです。「幸せな星」と書いて「こうき」なんてキラキラネームを両親はよく恥も外聞もなく付けるもんだなと呆れるばかりですが。そんなどうでもいいことはさておき、小選挙区ではないものの弱冠25歳で比例で滑り込み当選といったところでしょうか、批判する側のコメンテーターから批判される側の国会議員になった大空氏に政治的手腕を期待するほうが馬鹿らしいと思いますし、何より政治家としての経験や実績が全くないにも関わらず、いきなり衆議院議員に立候補するという無謀無策な手段に打って出たことに疑問を抱かざるを得ないのは筆者だけでしょうか。
本人が主張する自民党から出馬した理由を引用すると
「コメンテーターの仕事が嫌になった。言論空間には存在意義があっても、個人としてはその人生が嫌になった。自分も政治に対して一方的に批判をしていた、社会に対してもいろんな問題提起をしたつもりだったけど、でも『なんで私は言ってるだけなんだろう』と思いました。何か行動を起こさなければいけないと思った」
と、コメンテーターに対して限界を感じたとの思いを明かしたと発言したそうです。こうした発言に、「世間一般の、アベプラに出ていたときの大空幸星のイメージが180度変わった」との指摘を受けながらも、
「私の気持ちは揺らいでない。私個人の考え方とか人権意識であるとか、社会問題に対する取り組みとかって1ミリも変わっていないです」
と強調した上で
「僕の考えるコメンテーターは、これは特定の人を言っているわけじゃないけれど、どこにも当たらないような誰でも言えるようなことをフワッと言って軟着陸させるっていうやり方を好まれる方もいらっしゃるじゃないですか」
と私見を述べ、自身はコメンテーターとしての役割に
「対立を起こすわけではないけれど、議論をして問題を前へ進めていく。そのことにコメンテーターの意義を感じていた」
と説明したとのことです。続けて
「コメンテーターはある種、私人だから、仮に自分の意見に反対する人がいても、その人たちのことを対処したり治療しなきゃいけないということは全くない。だけど政治家とか公職を目指す者は、自分と意見が違う、もしくは極端に言えば、今回の選挙で私に投票しなかった人、相手陣営に居た人たちの人生や生活も責任を負わなければいけない立場にある」
と持論を展開し、
「ということを考えると当然、立場が変わるので、思いは変わらなくても表現の方法であるとかアプローチの手段は変わってくる」
と説明したのですが、共演者からは
「端的に言ってうさんくさい。コメンテーターを馬鹿にし過ぎ。政治家の方が偉いのか」
と批判を受けました。そりゃ当然でしょ。まず何が言いたいのかさっぱりわからないですし(しかも話が長ったらしい)ましてや小選挙区では敗れたのに比例復活で当選したことで「自分は選挙に勝った」と思い込んでいる時点で相当のぼせ上がっているのがわかりますね。これ、かつての杉村太蔵元衆議院議員の空気を読まない発言を想起させますね。
これら一連の発言に対し、東国原英夫元宮崎県知事は、こうした大空氏の発言を紹介した記事を引用し、
「まぁ、こんな人間だったのかな。自民党化が進むのかな。まぁ、それはそれで政治家として有権者・国民・選挙区の方々が今後審判を下して行くのだろう」
と思いをつづったということです。つまり、東国原氏も大空氏の一連の発言には失望したということでしょう。筆者としては理解に苦しむといいますか、チンプンカンプン過ぎて何が言いたいのかさっぱりわからないのですが、これがZ世代の認知バイアスの典型だとしたら日本の未来は相当危ないと思います。
今回の衆議院議員総選挙で麻生内閣以来の歴史的大敗を喫し、連立与党の公明党までもが石井代表(代表辞任を表明しました)を含め多くの議席を失い、ついにというか来るべくして来た与野党のパワーバランスが拮抗するという「ねじれ現象」の再来に石破新総裁はどう出るか気になるところですね。国民民主党や立憲民主党としてはおそらく連立政権には前向きではないでしょう。
(追記:最大野党となった国民民主党は「連立には応じないが協力はする」という姿勢のようですが)
筆者の個人的な見解としては、石破新総裁は内閣総理大臣になるには遅過ぎた、ということが挙げられます。かつて自民党内部において石破氏が総裁になることでどのような不都合があったのかは筆者の知る由ではありません。しかしながら、既に岸田前首相の場当たり的な政策で多くの国民を欺いたツケが、今回の総選挙で多くの国民から自民党にノーという意思表示という形で回ってきたという事実は揺るぎません。ならば大空「議員」はどういった立場でモノを言うのか、野党からの追求があれば受け止めるのか反論するのかはぐらかすのか、更には新人議員として公認を受けた自民党側からの問いかけにはどう対処するのか、非常に興味深い事態だと筆者は思います。
新人議員の中には「給料いっぱいもらえる」とか「公の場で自分の思いを何でも堂々と言える」といった勘違いや思い上がり故に自民党からも公認を取り消され見捨てられた若手議員は過去にも数多くいたのはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、若い=クリーンというイメージはむしろ捨てたほうがいいと思います。それよりも、数々の修羅場をくぐり抜けてきた中堅議員のほうがよっぽどまともです。かつて安倍政権や旧民主党の中核を担った元閣僚たちも70代80代となり、そろそろ潮時(お家芸の政治とカネの問題で不祥事がバレた以上勇退とは言わせませんが)を見極めて次の世代に新しい政治を託すのもベテラン議員の役目ではないでしょうか。にも関わらずそういったことには目もくれず、目先の札束に目が眩むようではもう議員としても人間としても失格ですよ。渋沢栄一からも笑われることでしょう。
やはりこうした裏金問題や政治資金の報告を(恣意的に?)怠るといったカネの亡者共が、次世代を支える若者につけ入る隙を与え、大空氏のような勘違いZ世代議員を国政に参加させるという恥を晒したのは、自民党にとって痛恨のミスと断言できるのではないでしょうか。少なくとも筆者はそう思います。
これから短くても来年の参議院議員選挙までは衆参のねじれ現象が生じ、めでたく参議院で否決された議案も数の力で強引に通すことができなくなりましたね。これを石破新総裁一人の責任にできますか?国民の皆さん、どうか冷静になってください。全ては自民党自らの怠慢が招いた結果なんです。そろそろ目を覚ましましょう。再び政権を野党に明け渡すという屈辱を味わってもいいと仰るならそれもいいでしょう。もし来年の参議院議員選挙で連立与党が過半数を割ることになれば、2009年の悪夢の再現です。
話は逸れましたが、Z世代の若者がいとも簡単に衆議院議員になれるという「国会ごっこ」にだけはなってほしくないですね。
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