3月になった、はじめての日曜日。
家で映画を観たあと、気付けば私は靴を履いていた。
空はどんより曇り空。
降水確率は40%
本当だったら外に出ず、家に引きこもる予定だったけれど…なんだか外に出たくなったのだ。
観ていた映画の影響なのかもしれない。
スマホと鍵と、貯金箱から取り出した500円玉をポッケに入れる。それだけを持って外へ出るとまだちょっと寒くて、身を縮ませた。
行き先は自由、とりあえず前から気になっていた森の見えるあそこへ行こうと思った。
まぁ…行った先は柵があってそれ以上は進めなかったのだけれど。
そのあと私は、自分が住んでいるわけでも、知り合いが住んでいるわけでもない住宅街に迷い込んでいた。特に急いでいるわけでもないので気ままに歩く。
それぞれの家の庭には手入れが行き届いている証拠か、綺麗に花が咲いていた。
スイセン、ウメ、シクラメン、ツバキにサザンカ、ボケにマンサク、モクレンやユキヤナギ。
冬の花と春の花が一緒に咲いているのを見ると何だか得な気がした。花は人を豊かにする。
私は今、どんな顔をしているだろう。
他にもゆっくりと見つけていく。
壁に生える逞しい雑草たち。
曇天のなか、干してある布団。
挨拶をするとゆっくりと返すおばあちゃん。
縄跳びをする子ども。
カレーの匂い。
よく吠える柴犬。
知らない道に、私の知らない暮らしが広がっている。
たまに、生活を続けていくなかで「このままでいいのか」と問うてしまう日があるけれど。
私の思いつき且つ迷い込んだこの住宅街が豊かで、曇天なのにカラフルに見えてしまうように。
暮らしの積み重ねで、自分では気付かなくても見えてくるものが必ず出てくる…のかもしれない。
それこそ、春だね。
なんだか花束みたい。
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