2020年上半期のランニングで見えた自身の欲求満たす対極にある捌け口
早朝ランと音との関係性を再考
突然だが、自分は以前のnoteで早朝に走るという事に関して
早朝ランといえば、まず静かです。車が少なく空気の振動がないので音の純度が高い。いろんな音が優しく入ってくるような感じと言っても良いかと思います。(空気が綺麗)
人も少ない。ほぼほぼ散歩かランナーの方にしか会いませんので人の目が気にならない。町、団地、坂、商店街を走っても貸し切り状態。
普段は味わえないまだ活動前の空間を堪能することができます。
と書いていた。さらに、
早朝ランについてもう少し掘り下げる為に、音との関係性などを通して考えたい
とも書いており。
それは静かな空間であることが自分の身体的な感覚などをより研ぎ澄ますのに重要なのでは無いかと考えていたのだが、どうもそこが最重要というわけでは無いようなのである。
もちろん最重要では無いというだけであって、早朝ランについて書いたことはあの空間を堪能すための大事な要素だと思っていることは間違いない。
なぜそのような想いに至ったのかは、どうやら先月の夏至を走る「オンライン・ラン」の時に感じられたことが引き金となったようである。
「オンライン・ラン」とはオンラインサロン「PLANESCLUB」の分科会であるランニング部で定期的に開かれている全国どこからでも参加が可能(地方在住者でも問題ない)で、各自がそれぞれの場所で走り、オンライン上(zoomなど)でリアルに交流することができるランニング企画である。
ここからはそのランニング企画である
「夏至をいつもより長く走ってみる」オンライン・ランに暫しお付き合いいただきたい。
「夏至をいつもより長く走ってみる」オンライン・ラン
2020年6月21日(日)夏至
PLANETSCLUB ランニング部では3:30~20:00までの日の出から日の入までzoom常時開放!繋げっぱなしのオンライン・ランが開催された。
自分の参加できる時間で、いつもより長い距離にチャレンジしてみる企画で、毎時0時ぴったりにzoomに入りその時走っているメンバーとばったりオンラインで会ってモチベを上げる事もできる企画である。
自分はこの日、日の出と日の入の数時間ずつを現場から。その間の時間はたまに誰かzoomに繋いでいるかを覗いたりしながら参加して、夏至の5:30~19:30までを堪能した。
まずは、日の出5:05をめどに大分の町が一望できる丘へ行く計画を実行に移すが、毎時0時ジャストににzoomに入ることを把握し切れておらず1発目の5:00のzoomを逃してしまう。
イベントスレッドに既にメンバーの集合スクショがあがっており、あちゃー。
気を取り直して現地についたのでスレッドにzoom入りましたアピールをかます。
優しい部長が覗いてくれて1on1で対面、曇ってる中ちょっとだけ日の出や市中心部を一望できる景色を紹介させて頂き、また6:00に再開しましょうとzoomアウトし、次なるポイントへ走り出す。
この丘までのコースは途中森の中を抜けていくのだが、ほぼ人とすれ違うこともないうえに野鳥のさえずり、雨や風があれば木々の葉っぱが揺れ動きざわめくのである。誰にも邪魔されずに。
この時点でもまだ、どこに向かって何キロ走ろうかも決めてなく、どうしようかと思いながら丘を来た道とは反対方向に下りながら、そういえば実家まで走って戻るというメンバーがいた事をなんとなく思いつつ、自分もそちらの方向へと取り敢えず舵を切ってみることにした。
6:00ジャストのzoomは大分川の川原から入ってみた。東京と滋賀のメンバーとご対面するが、自分はてっきり風景をzoomに写すのかと思っていたら、みんな自分の姿を写している。それもどうやら走りながら自分を写しているのだ。最初はそれはどうなんだとか思ったが、自身の姿も写しながら見ているとなんかほんとに一緒に走ってる躍動感みたいなものもある。画面も気持ち揺れているし、なにより走りながらしゃべっているので言葉を短く切って喋っている息づかいが音声でも分かるのだ。長時間はきついと思うが、数分だけならそんなに負担にならずにできるのでこれは新鮮で面白い体験だった。
そんな、東京はどうやら雨模様、大分もパッとしない曇りの中、滋賀の空だけ青空が写っていて静かで開放的な空間が窺える。大分の川原からは自分のAirpodsより野鳥(ひばり)のさえずりが入り込み、滋賀のメンバーがそのさえずりに気付き反応する。自分はむしろメンバーの声などの音声が気になっていたので、逆に自身が発信している音にメンバーに気付かされる。さらにどうやらこの時間のこの場所は回りに散歩してる人やランナーが多いのでそちらにも気を取られたりしているというわけだ。
そんなやりとりが数分。それではまた7:00に会いましょうとzoomをアウトし、また一人で走りだす。
その後は通り道にあった母校に寄り道したり、なんとなく川原からも見えていた霊山岳の麓付近まで引き寄せられるように向かった。
そんなふうに自分が子供時代に住んでいた地元地区では当たり前にあった里川の風景を味わいながら徐々に実家のある団地へ近づいている途中に7:00ジャストを迎えた。
どうやら実家までたどり着くというミッションを達成したメンバーがいたり、5時からずっと走り続けてるメンバーもいるし、新たに走り始めたメンバーも登場。
自分も『走りながらzoom』の自撮り状態で実家に向けて進み続けた。
ボチボチ朝一からのメンバーや、1人どうやら落とし物を捜しに来た道を戻ったりと、参加メンバーが徐々に離脱していく。
自分も次の8:00が午前の部最後になりそうなだなと思いながら地元に入り、団地では一番高い丘の上にある木々に囲まれた細い道を走り、最後に団地を一望できる絶景ポイントにて午前のランを締める。
この午前最後のコースはなんとなくではあるが、霊山岳麓の緑あふれる里川の空気感や、団地の丘の上の木々や土に包まれた自然を味わいながら、終盤の疲れた身体に自分が好きなビジュアルと醸し出される香りを堪能したような感じだ。
実家では汗を流させてもらったあと朝食も堪能せてもらいくつろいでいると、さすが山に囲まれた団地だけあってウグイスのさえずりのクオリティーが高い(どうやら庭の木にいるようなので距離感も近い)。久しぶりにまだ朝方の澄んだ空気に響き渡る清涼感あふれる美声を味わった。
午後からは先週頼んでいたバランスボードが届く予定となっていることもあり、今度は交通機関にてとんぼ返りし、日の入りのタイミングに備える。
無事にバランスボードも到着し、試乗しながらたまに0時ジャストにzoomをのぞいていると、夕方になり、もう一人東京のバランスボーダーが現れ、お互い画面オフのままのバランスボードに『乗りながらzoom』でカタカタとバランスを崩しながら交流し、「そろそろ走りますか」と日の入を目指してのスタートを切った。
目指す場所は朝一に部長と1on1した上野の森の丘。幸いにも天気が回復し晴れている。おまけに本日は部分日食も起こるとのことで楽しみにしていたが、お日様を直に見てもただただ眩しいだけで当然日食どころではない。
18:00となりzoomへダイブすると今回は島根メンバーが登場。それも宍道湖からの中継。東京、島根、大分で数分喋った後、19:00のに再開することで、夏至最後のランニングへzoomアウトする。
ここ上野の森は丘なので当然坂を登ってここまで来ることになり、この時点自分はかなりお疲れモードに。ここからはランニングではなく、19:00まで散歩に切り替え、この地域を堪能した。
重要なのは音だけではない
さて、ここで最初の問いに戻りたい。
それは静かな空間であることが自分の身体的な感覚などをより研ぎ澄ますのに重要なのでは無いかと考えていたのだが、どうもそこが最重要というわけでは無いようなのである。
もちろん最重要では無いというだけであって、早朝ランについて書いたことはあの空間を堪能すための大事な要素だと思っていることは間違いない。
早朝ランにおける静かな空間が重要であるという音との関係性に対する問いだ。
これを検証するために自身が走ったコースを振り返ってみたい。
まずは、ほぼ人とすれ違うこともないうえに野鳥のさえずりも堪能できる緑と土の香りがあふれる上野の森からスタートし、ランナーや散歩する人も多い蕩々と流れる本流域の川原では人に気を取られ、自分が発信していた、ひばりのさえずりをzoom越しのメンバーに気付かされ、山の麓を目指して山と里川の緑を堪能し、地元の団地の丘の上の木々や土のコースで香りを味わいながら実家へ。
午後は懲りずにまた上野の森へ。実はここは墓地公園でもあり、人も少なくとても静かな場所である。
なぜ自分はきつい坂を登ってまでこのような場所に向かうのか?
こう書いていても分かることではあるが、自分は誰にも邪魔されずにその空間に没入したいのだ。人や人工的なものに邪魔されずに、自然に触れていたいのだ。だから、回りに人がいると没入できないのである。
もちろん自分が育った場所上の郷愁に浸りたいといった感情も含まれているかもしれないが、それはごく一部分でしかない。
これはもっと自分の中から生まれた欲求を育ててきたものだ。
自分は2012年までの7年間シーズン中の休みの日はほぼ1人で渓流や本流で明るくなる前から暗くなるまで釣りをしていた。当たり前のようにあの濃密な自然の空気を味わったり、蕩々と流れる川や滝壺での水流の様々な音を持続音のように味わったりしながら緑あふれる美しい渓観を眺めていたのである。
それは人のいない空間(より天然に近い自然)を味わいたいという根源的な欲求であり。山、川、岩、木、水、草、土や石という7年間で染み付いていた土着の習慣なのだ。
自分にとって重要であった点はあの濃密な空気、空間を五感を通して味わうという自身に染み付いてしまっていた習慣を、走ることを通して擬時的に没入することにあるのだ。
そのために必要な要素として人の少ない早朝という環境なら邪魔されずに済むのでより好ましいというこのなのである。
仮に音について言及することがあるとすれば人工的な音(車や機械が起こす空気の振動など)が少ない空間なら、より没入しやすいぐらいの感じだ。
(ちなみにステレオ装置で聴く、人工的で無機質なノイズ音源を聴くのは好きな方である)
しかし、ここで新たな問題が発生している。
それなら、なぜオンライン・ランに参加しているのかという問いである。現に川原を走っているときに自身の背景でひばりのさえずりが聞こえているのにもかかわらず、zoom越しのメンバーに指摘されるまで気付いてないという、全然没入してないではないかという問題である。
ではオンライン・ランとは自分にとって何か?
それは今、自分が唯一身体を使って参加するライブエンタメだ。何より自分が走り出したきっかけは「オンライン・ラン」である。
言い換えればライブハウスにモッシュしに行くような特別な空間、騒がしい祭りである。
当然、静かに没入できるようなことは求めてはいない。でも、そのような特別な空間だからこそ普段自分が走ることで求めている、オンライン・ランとは対極にある静かな空間がより鮮明に感じることができたのだ。
それが今自分が求めているフレッシュな自然空間により近い環境を、何かに邪魔されずに五感を開いて没入できるランなのだ。
夏至の日の入とともに
それでは最後に夏至の19:00、最後のzoomへ戻ろう。
18:00のzoomを閉じた後は森の中の斜面を降りたり、墓地の静かな空間をほとんど人とすれ違わずに散歩し満喫したあと、夕日の見えるポイントへと移動し19:00ジャストzoomへ。
最後は18:00のメンバーにプラスして東京メンバー3人が現れ、計6名で夏至最後のzoomが始まる。
どうやら東京は朝から1日どんより天気のようだが、幸いにも大分と島根は晴れており、絶好の日の入のタイミングだった。大分は猿山で有名な高崎山にお日様が沈んでゆくアングル。島根は宍道湖に夕日が沈んでいくアングルがガッツリzoom画面に映っている。
特に宍道湖に沈んでいく日の入の光景は美しかった。宍道湖の水際では釣人もちらほらいるようでその釣人の姿が光の関係で黒い人影のようになっていて、なんだか味わい深いのである。
夏至最後のzoomはそんな美しい光景も重なり本日最長のzoom時間となり、日暮れのタイミングとともにzoomを閉じ、同時に日の出とともに始まった「夏至にいつもより長く走ってみるオンライン・ラン」も日の入とした。
オンライン・ラン予定とリンク
自分はオンライン・ランという非日常的なイベント味わうこと、そして、それを書く事によって、普段のランニングでシンプルに何を求めているかをより一層内省するとともに深く見直すことができるのだ。
そんなイベントがPLANETSCLUBランニング部では今月も開催される。
オンライン開催「海の日ラン」・2020年夏(海辺へでも川辺へでもどこを走ってもよい)
無論参加予定だ。というか二言目には「オンライン・ラン」って言ってるような気がするのだが、気のせいだろうか。
自分は「オンライン・ラン」ジャンキーなのではないのだろうか。
いや、それならばそれでもいい。
これからも肩までドップリ浸かって「オンライン・ラン」を堪能するつもりだ。
そして
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読後に、しっとりとしたほっこり感に包まれる素敵な文章です。まだ読まれてない方がいましたら、是非こちらもご覧ください。
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