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優しさ

先日、母の還暦祝いを家族で行った。
母は今年60歳を迎え、定年退職をし、今後は義父と愛猫二匹とゆっくり過ごすらしい。

僕が幼い頃に両親は離婚をし、僕と兄二人を女手一つで育てるため、寝る時間や自分のしたいことを犠牲にしながら仕事に生きてきた。
そんな偉大な母へ、これからは仕事ではなくプライベートな時間を大切にし、色々な場所に行って欲しいという思いを込め、僕と兄はこの日のために、赤い夏用のサンダルとミニバッグを母に贈った。

年を取り益々涙もろくなった母は案の定号泣し、僕らに自慢の息子だよ、本当にありがとう言ってくれた。

お礼をするのはこちらの方だ。
幼い頃から、いじめや様々な挫折を経験した僕に厳しくも暖かい言葉や笑顔、小さくも大きな手を差し伸べてくれたから、今の自分が確かにいるし、そのことへの感謝は一生かかっても忘れられない。

そして何より、人への感謝や優しさや愛を忘れずに生きなさいと、母がいつも教えてくれたおかげで、今日僕は写真を通して人々にそれらを伝えたいと願いながら日々を過ごせている。

表紙の写真は、夜の街を楽しそうに歩く外国人の親子である。
観光で訪れた、普段見ることのない東京の街を沢山見せてあげようという思いなのか、小さな体の息子をぎゅっと手を回し守りながら前抱っこをし、子供へ希望を託しているようであった。

そんな親子と幼い頃の自分と母が重なったこと、普遍的な人間がもつ優しさや愛することの暖かさを感じ、
お二人の幸せを願いながらシャッターを切った。

優しさや誰かを大切に思う気持ちがこの世から無くならないように、母が人生を懸けて教えてくれた、人のもつ暖かい部分を、これからも撮っていこうと思う。
また母のように、人々の背中を優しく支えてあげられるような写真をとっていこうと思う。

最後に改めて。母さん60年間お疲れ様でした。
これからはただリラックスして、笑顔だけで過ごしてね。

息子より

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