びっくりのインド ● 32 ● あなたの神は何ですか - Part 2
びっくりのインド ● 31 ● あなたの神は何ですか - Part 1 で、
の問いに 「 特に何も... 」 と答えて、その場を凍らせたことに困惑してしまった私。
その様子を見つめているインド人の同僚たちは、私がどう話しを続けるかを待っている。
という論理では、私は幼い頃から哲学的であるが宗教的ではない。
小学校の時、算数の時間に 「 いまの説明だと、その結果にはならないと思います 」 と言って、何度か担任の先生を困らせたことがある。
先生の教えてくれることを、とりあえずは覚えておいて、納得できないことがあるなら授業の後に先生にもう一度訊いてみるとか、自分で調べてみるとか、そんな要領の良さがなかった。
インドの 信じている人たち に、疑う私 が何をどう言うべきか
インドは釈迦が生まれた国だから 「 仏教を信仰しています」、あるいは日本人としては 「 神道です 」 と言うべきか。
いや、嘘はいけない。
3 秒の間に頭の中を色々なことが駆け巡り、出てきた言葉が
"But... I believe in science."
だった。
これはインド人のツボを突いたようでドッと笑いが起こって、場が一気に和んだ。
「 そうですよね。日本ならそれもあり得る! 」
と言ってくれて私は窮地を脱した。
さすが 0 を発見した国、インド。
このあたりの解釈は早い。
実のところ 「 科学を信じています 」 は、冗談で言ったのではない。
宗教は信じることから始まる という論理においては、私は科学を或る意味で宗教だと思っている。
ある方式や理論が どんな条件下でも正しい ことを前提として、それはいつも 必ず同じ結果をもたらす からだ。
そしてこれは私だけが思っていることではない。
数学者や物理学者が最終的に宗教に傾倒していくという話しを聞く。
最近では量子力学を精神的なものに結びつけて考える人は多い。
私は、科学を全面的に信じているわけではない。
しかし 神 という問いに対して " But I believe in science " という答えは、そのときの私を非常に的確に表現したと思う。
それにしても、あの時、彼はなぜ私にあんなことを訊いたのだろう。
それは単に、彼らにとって よくある会話 だったからだろうか。
あるいは、私がどんな人かを知りたかったのだろうか。
またインドに一本取られた気がする。
わたしは今でも 「 あなたの神は何ですか? 」 を時々思い出して、「 わたしはいま何を信じているのだろう? 」 と自問する。
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