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コ〇〇ロール

「制御」は"control"の日本語訳ですが、この言葉の日本語訳は制御だけではなく、管理、管制、規制、操作、操縦など色々あり、場合によって使い分けがなされています。多様な意味がある言葉ですが、その本質を一言でいうと「対象になるべく都合の良い挙動を行わせること」とのこと。通常、対象は環境によって挙動が変化するダイナミック(動的)な特性を持つものを考えるので、その挙動が変化するものに対し、都合よく変化させる、という、なかなか一筋縄ではいかないようなことをするのが"control"という言葉の本来の意味です。

制御には様々な理論があり、まだまだ研究の進む分野です。詳しくは語れませんが、理論を実践していく中で、制御対象が複雑で巨大になるとそこに含まれる要素も数多くなり、一つの制御器で全体を制御することが難しくなってきました。そこで生まれたのが「分散制御」という考え方なのですが、当初は"処理"を分散する制御として用いられ、階層制御にて下位制御を上位で指令する"集中制御"を行うやり方が主流でした。・・"分散"なのに"集中"なんですよね。

近年では"非集中化"として「自律分散制御」という"クラスター化されたサブシステム同士が互いに連絡をとりながら秩序ある協調的な制御を進める考え方"が注目されています。この方式の範となるのが生物(せいぶつ)。生命活動の働きに学び、制御工学に活かそうという発想です。

生物の進化の過程。ここにあるのは、隣接要素や環境との相互作用を通じて次第に秩序あるいは制御目的を達成していくプロセス。このプロセスを「自己組織化」と呼ぶのだそうです。

・・これは何だか、巨大なシステムに限らず、家族、チーム、会社、社会と、どんなシステム(二つ以上の要素からなるもの)にも当てはまりそうだな、というのが、先日読了した書籍からの"気づき"です。

参考書籍:
『現代システム科学概論 -システム思考を支える知の基盤』 木村英紀 著


[追記]
そうそう、大事なことを書き忘れていました。「自律分散制御」は日本で生まれた制御方式だということを。日本の「制御工学」を舐めてはいけません。日本のコロナ対策の根幹も「制御」です。欧米よりも最先端。この分野において、日本はどこかの国の真似をするのではく、真似をされる側だということです。

[2021.12.19投稿]いいね:43


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